この情報はuminの学術情報共有サーバーに公開された「臨床検査の尤度比を利用して診断確率を計算」と題された記事に基づきます。Observation Islandに掲載された元記事では、臨床検査における尤度比を用いた診断確率の計算方法について、詳細かつ具体的に解説しています
1. 尤度比を用いた診断確率計算の重要性
- 出題傾向: 医師国家試験や内科学会の専門医試験で頻繁に出題される重要なテーマです 。
- 背景: ベイズ統計の考え方に基づいており、事前確率から検査結果に基づいて事後確率を求める手法です 。
2. 尤度比の定義
- 陽性尤度比 (Positive Likelihood Ratio, LR+):
- 定義: 感度 / (1 – 特異度)
- 陽性尤度比が高いほど、検査が陽性だった場合に疾患の可能性が高まります 。
- 陰性尤度比 (Negative Likelihood Ratio, LR-):
- 定義: (1 – 感度) / 特異度
- 陰性尤度比が低いほど、検査が陰性だった場合に疾患の可能性が低くなります 。
3. 尤度比を用いた診断確率の計算手順
- 事前確率の設定: リスク因子、臨床症状や理学所見に基づいて、検査前の疾患の確率(P(疾患))を決定します 。
- 事前オッズへの変換: 事前確率を事前オッズに変換します。
事前オッズ = P(疾患) / (1 – P(疾患)) 。 - 尤度比の乗算: 検査結果(陽性または陰性)に応じた尤度比(PLRまたはNLR)を事前オッズに乗じます。
事後オッズ = 事前オッズ × 尤度比 。 - 事後確率への変換: 事後オッズを事後確率に変換します。
事後確率 = 事後オッズ / (1 + 事後オッズ) 。
4. 具体例
例1: 大腸病変の診断(医師国家試験問題より)
- 疾患: 大腸病変
- 検査: 便潜血反応
- 条件:
- 検査前確率 (事前確率): 20%
- 感度: 80%
- 特異度: 90%
- 検査結果: 便潜血反応陽性
- 計算:
- 事前オッズ: 0.2 / (1 – 0.2) = 0.2 / 0.8 = 0.25
- 陽性尤度比 (LR+): 0.80 / (1 – 0.90) = 0.80 / 0.10 = 8.0
- 事後オッズ: 0.25 × 8.0 = 2.0
- 事後確率: 2.0 / (1 + 2.0) = 2.0 / 3.0 ≈ 0.667 (約67%)
- 結論: 便潜血反応が陽性だった場合、大腸病変の診断確率は約67%に上昇します 。
例2: 急性心筋梗塞 (AMI) の診断
- 疾患: 急性心筋梗塞 (AMI)
- 検査: 心電図におけるST上昇
- 条件:
- 事前確率: 30%
- ST上昇の陽性尤度比 (LR+): 13
- 計算:
- 事前オッズ: 0.3 / (1 – 0.3) = 0.3 / 0.7 ≈ 0.42857
- 事後オッズ: 0.42857 × 13 ≈ 5.577
- 事後確率: 5.577 / (1 + 5.577) = 5.577 / 6.577 ≈ 0.848 (約84.8%)
- 結論: 事前確率30%の患者でST上昇が確認された場合、AMIの診断確率は約84.8%に上昇します 。
これらの例を通して、尤度比を用いることで検査結果に基づいて診断確率を定量的に更新し、臨床現場での意思決定に役立てられることが示されています 。
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原著のリンク:
ライセンス:
CC-BY 4.0
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0
書誌事項:
臨床検査の尤度比を利用して診断確率を計算 [Internet]. Observation Island; 2025 Jul 16 [cited 2025 Jul 29]. Available from: https://plaza.umin.ac.jp/~OIO/?p=3836
改変と限界:
本コンテンツは参照した論文の内容に基づいて、生成AIによりその内容をまとめなおしたものです。
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