CDC42遺伝子異常症、Takenouchi-Kosaki症候群とは
巨大血小板性血小板減少症、知的障害、特徴的顔貌、感音性難聴、脳構造異常、屈指、リンパ浮腫、反復性の感染症、甲状腺機能低下症などを特徴とする先天異常症候群の一つです。多くの症状が認められますが、症状の組み合わせから臨床的に診断することが可能な疾患です。CDC42という遺伝子の異常によって起こることが原因であることがわかっています。
一方で、CDC42遺伝子の異常を持つ方が、すべて同じ症状を持つようになるわけではありません。CDC42遺伝子の特定の部分に変異を持つ場合にのみ、上記のような特徴的な症状が現れると考えられています。
有病率
病因
CDC42遺伝子に変異が起こった時に、なぜ巨大血小板や屈指とった症状を引き起こすかについてのメカニズムは不明ですが、細胞の骨格の働きがうまくいかなくなることが関係しているのではないかと考えられています。遺伝子変異の種類の違いによって、症状に多少の差が生じることがあるようです。
遺伝
鑑別診断
治療法
症状
巨大血小板性血小板減少症
本疾患に特徴的な血液検査の所見として、血小板の数が減少し、一部の血小板のサイズが大きくなる現象が観察されています。これは、通常の診療で行われる検査(末梢血の血算および塗抹標本検査)でも確認することができます。診断を付ける上でとても重要な所見です。
一般的に、血小板数が少なくなり過ぎると、血が止まらくなったりする症状が出ることがありますが、本疾患の患者さんではそこまで血小板数が少なくなることはありません。
知的障害
本疾患の患者さんでは、知的障害は認めます。知的障害の程度には差がありますが、会話は可能です。退行(これまでできたことが徐々にできなくなること)はありません。
特徴的顔貌
本疾患の患者さんでは以下の顔貌の特徴が共通してみられます。
- 眉毛が濃く、全体にやや多毛
- 逆三日月型の眼瞼
- 人中(鼻と口の間の距離)が短い
- 上唇が薄い
- 口が小さい
- 上顎に比して、下顎が突出している
- 耳朶が小さい
脳構造異常
本疾患の原因であるCDC42遺伝子は、脳の形成に重要であることが知られており、脳室拡大や小脳低形成といった所見を認めます。これまでの患者さんの経過では、てんかんになりやすいという報告はありません。
感音性難聴
出生直後から補聴器を必要とするほどの感音性難聴になることが知られています。内耳の形成不全が原因と考えられています。
屈指
手指や足指の屈曲を認めます。
リンパ浮腫
下肢を中心に「むくみ」を認めることがあります。特に、成人の患者さんで知られている症状です。
反復性の感染症
一部の患者さんでは、細菌による感染症を繰り返すことが知られています。まだはっきりとした原因はわかりませんが、免疫能が低いことが関与していると考えられています。
甲状腺機能低下症
血液検査で甲状腺機能低下症が見つかることがあります。