当院の医療medicine
当院は、「 生き生きとした健全な地域づくりに貢献する 」 ために
生活習慣病 : 糖尿病/脂質異常症/高血圧症/高尿酸血症(痛風)、
消化器疾患、
を柱に診療していますが、その 「こころ」 は、
目 次
- 健康に長生きするためには...
- 糖尿病
- 1)糖尿病とは 2)診断 3)合併症糖尿病 4)検査
- 糖尿病 治療
- 1)食事運動療法 2)治療薬 3)薬物療法
- 糖尿病 急性合併症
- ギャラリー
健康に長生きするためには for your life with QOL
日本では、2002〜2007 の5年間に 「糖尿病および糖尿病の疑われる方」 が 590万人増加、約120万人/年、毎年札幌市分の人口が 糖尿病および糖尿病予備群 となった計算です。これを受け、2006年より 「特定健診」 が実施されるようになり、2012年には初めて総数が減少しましたが、糖尿病患者数は 950万人 と増加、日本人13人に1人が 糖尿病患者となっています。
糖尿病の激増は日本に限らず、欧米はもとより、アジア・アフリカにても急増し、全世界での糖尿病関連死は 10秒に1人 。この現状から 2006年、糖尿病撲滅に向けての 「国連決議」 がなされ、11/14が「世界糖尿病デー」に制定されています。
当院はこの糖尿病を中心に、脂質異常症、高血圧症 など動脈硬化疾患の診療に当たっています。 動脈硬化 とは、高血糖(糖尿病)、血圧高値(高血圧症)、コレステロール・中性脂肪の異常(脂質異常症)、喫煙 により、血管が狭窄・硬化することです。この 動脈硬化は 症状なく静かに、しかし確実に進行し、最終的に、狭心症、心筋梗塞、脳卒中 (脳梗塞、脳出血)、足壊疽 をおこします。つまり、心筋梗塞、脳卒中は、糖尿病、脂質異常症、高血圧 が主因の病気であり、その予防には、血糖、血圧、脂質の厳格な管理が必須なのです。
糖尿病、脂質異常症、高血圧症 といった生活習慣病は治癒する疾患ではありませんが、うまく付き合っていくことで 「生活の質 QOL」 を維持しての長寿が可能です。
糖尿病 狭心症、心筋梗塞
脂質異常症 → 脳卒中 (脳梗塞、脳出血)
高血圧症 足壊疽、閉塞性動脈硬化症(ASO)
日本人の死因統計 (厚生労働省H20.)を見ると、
1位 : 悪性腫瘍(癌) 〜 30.0%
2位 : 心疾患(心筋梗塞、狭心症) 〜 15.9%
3位 : 脳卒中(脳梗塞、脳出血) 〜 11.1%
と、上述の動脈硬化による 心筋梗塞、脳卒中 が、2位 3位、27%、4人に1人以上 を占めており、やはり 糖尿病、高血圧、脂質異常症 の治療が重要なのことがわかります。
日本人の死因第1位は 癌 (がん)です。癌は全身に発症しえる疾患ですが、その発症傾向を理解することで有効な予防、早期発見が可能です。そのために男女の部位別に癌をみてみましょう。
< 男 性 > 1位:肺 、2位:胃、3位:肝臓、4位:大腸
< 女 性 > 1位:大腸、2位:胃、3位:肺 、4位:乳房
これらから、男女ともに 胃カメラ、大腸カメラ、胸部CT が重要なことが理解されます。さらに、男性では 肝臓癌のための 腹部エコー検査、女性は 乳癌検診、子宮癌健診 も重要なことは明らかです。
以上から、日本人が 「健康に長生きする」 には、
癌 : 大腸癌、胃癌、肺癌、肝臓癌、乳癌
心筋梗塞、脳卒中 : 糖尿病、脂質異常症、高血圧
に対し、検査による 「早期発見」、適切な 「治療」 が大切です。
当院ではこの 3大疾患 (癌、心筋梗塞、脳卒中) の予防、検査、治療 に十分に応えられる体制で診療にあたっています。
これが当院が、「生活習慣病」、「消化器疾患」 を主として診療にあったている 「こころ」 です。
糖尿病diabetes mellitus
「糖尿病」 は、他の生活習慣病:脂質異常症、高血圧症 とともに治癒する疾患ではありませんが、うまく付き合っていくことで 「生活の質:QOL」 を維持した長寿が可能な疾患です。そしてこれが 「糖尿病の治療目的」 そのものなのです。
以下の記載は簡略化、単純化しております。 ぜひ 患者教室、地域セミナー、患者会「三一会」 へご参加下さい。
糖尿病 とはconcept、definition
【定義】
体内で唯一血糖値を下げるホルモン:インスリンが、「出なくなったり」(1型糖尿病)、「出づらく
なったり、効きづらくなる(= 「インスリン抵抗性」という)」(2型糖尿病) ことで、食事に関係なく
常に血糖値が高くなる病気
(「インスリン作用不足による、慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群」 日本糖尿病学会 )
・インスリン ... 膵臓(β細胞)から分泌され、各細胞のブドウ糖取込口を開かせる「鍵(キー)」
の働きをする、生体内で唯一の血糖値を下げるホルモン。
つまり、細胞側からすると「エネルギー源:ブドウ糖を与えてくれる使者」、
血管側からすると「血糖値を下げてくれる役者」ですね。
【 分類・病因】
1) 1型糖尿病 : インスリン生成場所である膵臓β細胞が破壊・消失し、インスリン欠損に
よって発症する糖尿病。 児童〜思春期 ≫ 成人。
(病因) 自己抗体 ≫ 原因不明(特発性)
2) 2型糖尿病 : 遺伝(多数の遺伝因子)を主に、過食(特に脂肪食)、運動不足、ストレス
などの環境因子が加わり発症する糖尿病。 児童〜思春期 ≪ 成人。
(病因) 遺伝因子 ≫ + 環境因子
3) 他の疾患などから2次的に発症する糖尿病
4) 妊娠糖尿病 : 妊娠を契機に発症・発見された糖尿病。
(糖尿病患者さんの妊娠は「糖尿病合併妊娠」といい、4)同様の治療)
診 断diagnosis
糖尿病型 : @ 空腹時血糖値 ≧ 126mg/dl
A 75gOGTT 2時間血糖値 ≧ 200mg/dl
B 随時血糖値 ≧ 200mg/dl
C HbA1c(NGSP値) ≧ 6.5 %
→ @〜C いずれかを満たすとき
正常型 : D 空腹時血糖値 < 110mg/dl
E 75gOGTT*2時間血糖値 < 140mg/dl
→ DE 双方を満たすとき
境界型 : 「糖尿病型」「正常型」何れにも該当しないとき
【診断】 1) 別の日の検査も 「糖尿病型」 を認めたとき
2) @〜Bいずれかと、C を認めたとき。
3) @〜Bいずれかと、糖尿病特有症状や糖尿病網膜症を認めたとき
合併症complication
[急性合併症]
急激な血糖値の変化によって起きる症状。詳しくは こちら で。
[慢性合併症]
【 細小血管症 】 毛細血管など細い血管の障害
糖尿病網膜症 : 単純、増殖前、増殖/網膜症
失明原因第1位、≧ 3,000人/年
糖尿病腎症 : 第1〜5期
人工透析導入原因第1位、≧ 15,000人/年
糖尿病神経症 : ASOと関連し、
下肢切断原因第1位、≧ 3,000人/年
【 大血管症 】 太い血管の障害、動脈硬化症
冠動脈 : 狭心症、心筋梗塞
脳動脈 : 脳卒中 ( 脳梗塞、脳出血 )
下肢動脈 : 慢性閉塞性動脈症(ASO)、足壊疽
【 その他 】
認知症 : 脳血管性/アルツハイマー型、ともに 2倍以上のリスク
消化器系 : 大腸癌 (高インスリン血症より境界型から高リスク)、
逆流性食道炎(GERD)など
検 査check
診断検査 : 血糖値、HbA1c、75gOGTT
定期検査 : (血液) 血糖値、HbA1c、LDL、HDL、中性脂肪(TG)、
腎機能(BUN、Cr、UA)、肝機能(ALT/AST)
(尿) 尿タンパク、尿中微量アルブミン、尿ケトン体
不定期検査 : 心電図、ABI/PWV、頚動脈エコー、大腸/胃カメラ、
腹部エコー
他科検査 : 眼底検査
* 血糖、脂質(LDL、HDL、TG)、血圧、肥満(体重、腹囲) は、
動脈硬化の管理から治療目標 に即した治療が重要
* 眼底検査を忘れずに
* SMBG (自己血糖測定) を是非行いましょう。日々の血糖自己管理はもとより、低血糖、
高血糖など 急性合併症 の予防・早期発見のためにも。
糖尿病治療diabetes mellitus treatment
【 治療目標 】
健康な人と変わらない 「生活の質:QOL」 を維持して、寿命を確保する
QOL維持、寿命確保
→ 合併症予防
→ 日々の 「血糖、脂質、血圧、体重」 の管理
食事運動療法meal-exercise therapy
食事療法 食事療法は基本かつ最も重要な治療です。
食事の 「量・バランス・時間帯」 が重要です。 「身長」 と
「作業量(軽・中・重労働)」 から
適正食事量 を計算します。
詳細は 栄養指導 を受けましょう。
(適正食事量kcal) = (身長m) x (身長m) x 22 x A
A : 軽労働=25、中労働=30、重労働=35
運動療法 (意義) 継続する有酸素運動で インスリン抵抗性 の改善。
(内容) 息が弾む程度の散歩、1日30〜60分10,000歩
程度、週4日以上。
* 病態によっては運動が逆効果のこともあり、主治医とよく
相談しましょう。
治療薬drug
生体内インスリン分泌の様態
1) 基礎インスリン分泌(besal) : 24時間持続分泌され、空腹時
血糖(FBS)の上昇を抑える。
2) 追加インスリン分泌(bolus) : 食事刺激によって分泌され、
食後血糖の上昇を抑える。
[ インスリン製剤 ]
1) 持効型インスリン : ランタスXR(R)、トレシーバ(R)etc.
基礎インスリンに相当する、1回の注射で 12〜24時間
一定の血糖降下作用をする作用時間の長いインスリン
2) 超速効型インスリン : ノボラピッド(R)、フィアスプ(R) etc.
追加インスリンに相当する、食直前の注射で食後血糖の
上昇を抑制する作用時間の短いインスリン
3) 混合型インスリン : ライゾデグ(R)、30mix etc.
作用時間の長/短作用インスリンを混合した製剤。製品名の
数字は、短作用インスリン製剤の比率(%)です。
短作用成分 = 超速効型インスリン
長作用成分 = 中間型インスリン(N) 〜 作用時間 8-12時間
[ 非インスリン製剤 ]
4) αGI(グルコシダーゼ阻害剤) : ベイスン(R)、セイブル(R) etc.
食直前に内服し、小腸のブドウ糖吸収を抑制する内服薬
(注)食直前内服。腹満・放屁の副作用が多い
5) ビグアナイド : メトグルコ(R) etc.
肝臓からのブドウ糖流出抑制 ≫ インスリン抵抗性改善。
小腸のブドウ糖吸収抑制効果も。
6) アクトス(R)
インスリン抵抗性改善 ≫ 肝臓からのブドウ糖流出抑制
(注)浮腫、心不全増悪
7) SU剤 : アマリール(R)、グリミクロン(R)etc.
膵臓β細胞を刺激し持続的にインスリン分泌をさせる内服薬
(注)低血糖
8) グリニド系 : シュアポスト(R)、ファスティック(R) etc.
作用時間が短いSU剤。食直前に内服し食後血糖の上昇を抑制する内服薬
(注)低血糖
9) インクレチン(*1)関連薬/DPP4阻害薬 : マリゼブ(R)、ネシーナ(R) etc.
膵臓β細胞表面の受容体に作用したインクレチンを分秋する酵素:DPP4 を
阻害することで、インスリン分泌を刺激するインクレチンの作用を延長する
内服薬
(注)低血糖
10) インクレチン(*1)関連薬/GLP-1製剤 : オゼンピク(R)、リベルサス(R) etc.
膵臓β細胞表面の受容体に作用しインスリン分泌作用を示すインクレチン(GLP-1)
を長時間作用型に修飾した注射剤(毎日/週1)、内服薬。
血糖値改善に加え、体重減少、肝機能/腎機能の改善が期待できる。
(注)低血糖
11) SGLT2阻害薬(*2) : スーグラ(R)etc.
血中ブドウ糖は、腎臓で一旦、尿中に全排泄された後、運び屋(担体):
SGLT2、SGGLT1 により血中に再吸収され戻されます。この担体の片方:
SGLT2 を阻害し、余剰ブドウ糖を尿に排泄させ血糖値を低下させる内服薬。
(注)尿路感染症、性器感染症
(*1)
インクレチン : GLP-1
食事とともに小腸から分泌され、インスリン分泌などの糖尿病改善作用や他の生理作用を有する腸管ホルモンの総称。 GLP-1、GIP 等があるが、糖尿病では 「GLP-1」関連薬がある。生体内では、その分解酵素:DDP4により数分で分解される。 インクレチンの作用 は 「膵作用」「膵外作用」 に大別される。 膵作用の第1は、膵β細胞を刺激してのインスリン分泌作用、しかもこの作用は 膵β細胞内のブドウ糖濃度が高いとき、つまり高血糖のときにのみ発現する。 したがって、血糖値が高いときのみインスリン分泌を促すため低血糖を極めてきたしづらい。内服すると常時インスリン分泌をする SU剤、グリニド系 との違いがここにある。 第2に糖尿病患者で更新している血糖を上昇させる膵α細胞ホルモン:グルカゴンの分泌抑制、第3にインスリン分泌で疲弊した膵β細胞の活性化。 膵外作用としては、摂食抑制、胃排出抑制 などがある。
(*2)
SGLT2阻害薬
いよいよ、待望の 「SGLT2阻害薬」 が2014.4月頃 発売となります。何が 「いよいよ」 なのか?
血中の糖は、腎臓(糸球体)にて老廃物やナトリウム(Na)とともに、尿の流出路の開始点:近位尿細管に一旦全排泄されます(原尿)。排泄され早々に、SGLT2、SGLT1 2つの運び屋(担体)によって血中に戻され、再び元の血糖値が維持されます。この運び屋の一方 SGLT2 の糖再吸収作用を抑えるのが、 「SGLT2阻害薬」 です。余分なブドウ糖を排泄させるのですから、@血糖値が改善する、だけではなく高血糖が主因であった「インスリン抵抗性」(末梢細胞のインスリンの利きづらさ)、膵臓β細胞のインスリン分泌の過労(過分泌、疲弊)という A「糖毒性」 の改善という糖尿病治療の根本対応、さらに糖排泄による B「体重減少」 、これらが期待できる薬剤です。「糖排泄なら低血糖は大丈夫か?」 という糖尿病治療の最大留意点は、もう1つの担体:SGLT1 がしっかりかつ十分に糖再吸収を担いますので、C単剤での低血糖は極めてまれです(当然、他剤併用時は注意が必要ですよ)。 副作用としては、細菌にとっても栄養源となるブドウ糖が、通常以上に尿中に排泄されるため、尿路感染症、性器感染症 に十分の注意が必要です。
- 1) 持効型インスリン ランタスXR、ランタス、トレシーバ、レベミル
- 2) 超速効型インスリン ノボラピッド、フィアスプ、アピドラ、ヒューマログ、ルムジェブ
- 3) 混合型インスリン ライゾデグ、ノボラピッド30mix、ヒューマログmix25 etc.
- 4) αGI ベイスン、セイブル、グルコバイ etc.
- 5) メトフォルミン グリコラン、メトグルコ etc.
- 6) ピオグリタゾン アクトス
- 7) SU剤 アマリール、グリミクロン etc.
- 8) グリニド系 シュアポスト、ファスティック、スターシス、グルファスト etc.
- 9) DPP4阻害剤 マリゼブ、ジャヌビア、ネシーナ、スイニー、トラゼンタ、テネリア etc.
- 10) GLP-1製剤 オゼンピック、リベルサス、ビクトーザ、トルリシティ、リキスミア etc.
- 11) SGLT2阻害剤 スーグラ、デベルザ、フォシーガ etc.
- 12) GIP/GLP-1製剤 マンジャロ
薬物療法drug treatment
糖尿病は何れの病型においても 「食事運動療法」 は必須、基本治療で
す。 その上で各病型病態によって治療法がありますので、それを見て
みましょう。
1型糖尿病
1)強化インスリン療法
生体の正常インスリン分泌に対応する、各食前3回超速効型インスリン、1日1回(就寝前)
持効型インスリン 計4回のインスリン療法
2)インスリン持続皮下注入療法 (CSII)
タバコ大の携帯型インスリンポンプにより皮下に埋めた針から持続的にインスリン注入する
治療。 ポンプのインスリン流量は簡単に変更でき、運動時などに対応する。強化インスリン
療法の亜型。
3))膵移植/膵島移植
膵移植は膵臓の全部もしくは一部を開腹手術によって行う移植です。
膵島移植は提供者の膵臓を分解しインスリン分泌をつかさどる組織、膵ランゲルハンス島を
分離し、これを輸血の要領で肝臓に生着するように点滴にて移植する。 肝臓に生着した膵組
織が新たな「膵臓」となってインスリン分泌を始めます。
何れにも課題がありますが今後期待したい治療です。
2型糖尿病
インスリン非依存状態(NIDDM) : インスリン生成・分泌能が確保された状態
インスリン依存状態 (IDDM) : インスリン生成能低下、SU剤にても十分なインスリン
分泌がなされない状態
4)
経口剤への基礎インスリン補充療法(BOT)
2型糖尿病NIDDM では食事運動療法でコントロール不十分のときは内服治療となります
が、長期の高血糖のためインスリン分泌能が一時的に低下し、インスリン抵抗性も亢進
した状態(=糖毒性の増悪状態)では空腹時/食後血糖ともに上昇しており、全体の血糖
を下げるために短期間(約2〜8週)基礎インスリンに相当する持効型インスリンの自己
注射を追加します。 これを 「BOT」 といい、このインスリン補充により、
@ 外部インスリンで膵β細胞が休め、インスリン分泌能が改善
A 末梢細胞のインスリン抵抗性の改善により、インスリンが効きやすくなる
という双方の効果で糖毒性が改善、糖尿病の状態も改善します。
妊娠糖尿病/糖尿病合併妊娠
妊娠と関連した糖尿病での治療は必ずインスリン治療です。 内服薬での催奇形性は否定
されてますが、内服薬は胎盤を透過するため胎児低血糖の危険があります。妊娠中の高血
糖は巨大胎児、先天異常の危険が高く、妊娠中の厳格な血糖管理はもとより、糖尿病女性
の妊娠は 「計画妊娠」 が望ましく、妊娠希望時よりインスリン治療へ変更します。
糖尿病 急性合併症acute complication
急性合併症は、急激な血糖値の変化によって起こる症状で、生命危機につながりえる病態です。したがって、予防・早期発見が重要になりますが、それを可能にするのが自ら手元で血糖値測定をする SMBG (自己血糖測定) です。自らの命を守るために主治医と相談し、是非、SMBG を行ってください。
低血糖
インスリン、SU剤 など血糖値を積極的に低下させる薬剤の過剰効果により、血糖値が低下
しすぎた状態を 低血糖 といいます。 症状としては、
自律神経症状 (血糖値70mg/dl程度) : 発汗、動悸、頻脈、手指振戦(ふるえ)
中枢神経症状 (血糖値50mg/dl程度) : 頭痛、眠気、目のかすみ、昏睡
ブドウ糖、角砂糖などを補給し早々に主治医に連絡相談しましょう。
高血糖
インスリン、SU剤 の打ち忘、飲み忘、自己判断中止や、脱水(小児、高齢者に多い)、感染症・
発熱などにより、高度のインスリン作用不足から血糖値:300〜600mg/dl以上という急激な
高血糖となることがあり、意識障害 〜 昏睡 をきたしえます。
糖尿病ケトアシドーシス ( 1型糖尿病に多い)
高浸透圧高血糖症候群 ( 2型糖尿病に多い)
直ちに、点滴、インスリン注射が必要ですので、主治医、専門医を受診しましょう。
シックデイ
糖尿病患者さんが、発熱、嘔吐、下痢、食欲不振などで、食事ができないときを シックデイ と
いいます。普段、良好な血糖コントロールの方でも、上記の低血糖や高血糖をきたしやすくなり
ます。特に、1型糖尿病のかたはこの傾向が強いので、決して自己判断でインスリンを中止した
りしないで下さい。
→ 絶飲食は危険! 水分補給を忘れずに、極力 おかゆ、アイスクリーム、ジュース などを
摂取し、主治医へ連絡しましょう。
日頃から、主治医と シックデイ対応 は相談しておきましょう。