橋渡し研究戦略的推進プログラム 拠点間ネットワーク 監査に係る取組 │ 拠点間ネットワーク 監査ワーキンググループ

臨床研究法が適用される試験の監査手法に関するQ&A

臨床研究法が適用される試験の監査において疑問が生じた事項につき、監査担当者を含む関係者の理解を深めることを目的として、Q&Aを掲載しました。ぜひご活用ください。

公開年月:2020年2月

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【多施設共同研究】

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Q 臨床研究法施行規則第18条第4項では、多施設共同研究を実施する場合は、報告を受けた研究責任医師は、必要に応じ研究代表医師に監査結果を報告し、研究代表医師は当該通知の内容を、他の研究責任医師に情報共有しなければならないとされるが、監査で確認した指摘事項が 軽微な指摘のみ だった場合にも、研究代表医師は他の研究責任医師に情報共有が必要か。
A 臨床研究法施行規則第18条第4項により、同条第3項で監査結果の報告を受けた研究責任医師が、その結果を研究代表医師に報告するのは、「必要に応じ」とされており、どのような場合に報告すべきかは、予め関係者で規定しておくことが必要です。研究そのものの実施、結果に影響するような事項については、研究代表医師への報告が必要と考えられます。
研究責任医師が研究代表医師に結果を報告した場合は、その内容に関わらず、研究代表医師が他の研究責任医師に知らせることは、同規則第18条第4項に記載の通りです。

【臨床研究実施基準】

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Q 監査担当者の要件を満たすか否かを研究責任医師が判断する材料は何か。
A 監査担当者の技能的要件に関して法令等に特に規定はありません。
「臨床試験のモニタリングと監査に関するガイドラインⅢ.監査編」(臨床試験のモニタリングと監査に関するガイドライン作成委員会)では、監査担当者の要件として、臨床試験の倫理原則、科学的、臨床的知識及び品質管理・品質保証の知識を有していること、適用される規制要件に関する教育・研修を継続して受けていること、試験実施計画書等や当該試験の実施手順書等の内容を十分に理解していること等の記載があります。
なお、臨床研究法施行規則第18条第2項において、「研究責任医師は、監査の対象となる臨床研究に従事する者及びそのモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない」と記載されており、研究責任医師が実施計画や研究計画書、研究分担医師リスト、モニター指名書等を確認することにより、同規則第18条第2項に抵触するか否かを判断する必要があります。

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Q 診療科メンバーがモニタリング担当者として業務を行う場合に、監査担当者として確認すべき事項は何か。
A 監査担当者は、モニタリングを担当する者が、臨床研究法施行規則、実施計画及び研究計画書、説明同意文書、手順書を熟知しているかどうかを確認することが必要です。
また、臨床研究法施行規則第17条第2項において、「研究責任医師は、モニタリングの対象となる臨床研究に従事する者に、当該者が直接担当する業務のモニタリングを行わせてはならない」と記載されています。そのため、当該研究の診察・処置・処方等の診療行為(緊急回避のための診療行為等はこの限りではありません)や、原資料作成に従事する者も、当該者が直接担当する業務のモニタリングを担当することはできませんので、この点についても確認が必要です。

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Q 診療科メンバーが監査担当者として業務を行う場合の留意事項は何か。
A 臨床研究法施行規則第18条第2項において、「研究責任医師は、監査の対象となる臨床研究に従事する者及びそのモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない」と記載されています。そのため、当該研究の診察・処置・処方等の診療行為(緊急回避のための診療行為等はこの限りではありません)や、原資料作成に従事する者も、監査を担当することはできません。
また、監査担当者の独立性については、研究責任医師が説明できるようにしておく必要があります。例えば、当該研究に直接携わらないが立場が弱い者が監査担当者になる場合、診療科としてCOIがある場合等には留意が必要です。

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Q 臨床研究法施行規則第19条に、研究責任医師は監査に従事する者が行う監査に関し、必要な指導および管理を行わなくてはならないとされているが、具体的にどのような指導・管理をすればよいのか。
A 臨床研究法施行規則第18条第1項により、研究責任医師は、研究計画書と自ら作成した監査手順書の定めるところにより、監査を実施させなければならない、とされています。研究責任医師は、監査が計画書、手順書通り適切に履行されているかどうかを、実施状況から確認等することが必要です。

【臨床研究の実施の手続き】

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Q 特定臨床研究において、実施医療機関の管理者(病院長)の承認を得る前に、厚労大臣へ実施計画の提出(jRCT登録)が行われている事を監査で確認したが、実施医療機関の管理者(病院長)の承認後にjRCT登録を行う必要があると判断するべきか。
A 単施設の研究においては、jRCTへの登録前に実施医療機関の管理者の承認が必要です。
多施設共同研究の場合、「臨床研究法の施行等に関するQ&A(統合版)について」(令和元年11月13日厚生労働省医政局研究振興課・厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課事務連絡)-問2-3に記載の通り、全ての実施医療機関の管理者承認が受けられていない時点でも、jRCTにその旨を公表すれば、承認済みの施設での臨床研究開始が可能とされています。なお、この場合でも、研究代表医師施設では単施設の場合に準じて、jRCTへの登録前に、実施医療機関の管理者の承認が必要です。

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Q 臨床研究法では、実施医療機関の管理者(病院長)への監査結果の報告を要さないが、報告の必要はないか。
A 監査担当者として報告する対象は、監査実施を指示した研究責任医師です。その報告をどう取り扱うかは、研究責任医師が判断すべきことです。実施医療機関で管理者への報告が規定されている場合には、研究責任医師はその規定を遵守する必要があります。
なお、多施設共同研究として実施する場合は、必要に応じ、当該報告の内容を研究代表医師に通知しなければなりません。この場合において、当該研究代表医師は、当該通知の内容を他の研究責任医師に情報提供しなければなりません。

【認定臨床研究審査委員会】

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Q 臨床研究において、監査手順書/計画書をCRBに提出する必要があり、監査の契約締結前に研究責任医師より監査手順書案/計画書案の提供を求められた。委託契約はいつまでに締結しておく必要があるか。
A 原則として、業務開始前に契約の締結が必要です。
ただし、補助金の交付が後になる等の理由で契約締結前に業務が発生する場合、少なくとも業務開始前に合意書等の取り交わしが必要です。

【利益相反管理・資金提供等】

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Q 「臨床研究法における臨床研究の利益相反管理について」(平成30年11月30日医政研発1130第17号厚生労働省医政局研究開発振興課長通知)別添1「臨床研究法における利益相反管理ガイダンス」(平成30年11月30日一部改訂)3(4)の①〜⑤の要件に該当するにもかかわらず、研究責任医師として研究に関与する場合には、研究期間中に監査を受けることとあるが、該当する研究責任医師が実施する研究は、監査を受ける必要があるか。
A 研究責任(代表)医師が監査を不要と考え、それをCRBが承認した場合は、必ずしも該当する研究責任医師が実施する研究全てが監査を受ける必要があるわけではありませんが、研究としては監査を受けることが推奨されています。

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Q 「監査WG_Q&A_9」 で示すガイダンス3(4)の①〜⑤の要件に該当するにもかかわらず、研究責任医師として研究に関与する場合には、研究期間中に監査を受けることとあるが、該当する全ての研究責任医師が監査を受ける必要があるか。
A 研究責任(代表)医師が監査を不要と考え、それをCRBが承認した場合は、必ずしも該当する全ての研究責任医師が監査を受ける必要があるわけではありませんが、研究としては監査を受けることが推奨されています。