(せんこうこうりしゅぎ preference utilitarianism)
功利主義の一種で、 利害関係者の選好を可能なかぎり 充足させる行為を正しいとする。
ベンタムやミルのような 古典的功利主義においては、 快ないし幸福の最大化 ということが言われたわけであるが、 ある人が快を感じているかどうかを他の人が判断することは難しい。 特に、殉死などの「自己犠牲的な行為」において、 その人がはたして快を感じているかどうか、 というのは快楽説に対する反論の一つとなってきた。 そこで、快に比べれば客観的な評価が容易だと思われる「選好」 に注目し、選好充足を道徳判断の基準にする考えが有力になった。 しかし、このような選好功利主義も、古典的功利主義同様、 個人間の効用比較の不可能性などの批判に 答える必要がある。 (06/18/99)