個人間の効用比較の不可能性

(こじんかんのこうようひかくのふかのうせい the impossibility of interpersonal utility comparison)


ある人の快または選好の強さと、 別の人のそれを比べることはできない、という主張。
人はそれぞれ、 さまざまな事柄によってさまざまな程度の快苦を得る (さまざまな事柄に対して、さまざまな強さの選好を持つ)が、 ある人の持つ快苦(選好)の尺度は、別の人の持つ快苦(選好) の尺度とはずいぶん異なるかもしれない。 たとえば、AさんもBさんもミカンがそこそこ好きで、 リンゴはすごい好きかもしれないが、 Aさんの「そこそこ」と「すごい」にはあまり違いがないかもしれないが、 Bさんの「そこそこ」と「すごい」には、Aさんの場合に比べて、 大きな違いがあるかもしれない。 そこで、各人の持つ快苦(選好)の尺度は通約不可能(incommensurable)だ、 ということが言われるようになった。 この立場を取った場合の問題点についてはまた今度。 (06/18/99)


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Jan 28 03:51:49 JST 2000