アローの定理

(あろーのていり Arrow's theorem)


経済学者ケネス・アロー(1921-)が発見した、 社会的選択に関する最も重要な定理の一つ。 アローの不可能性定理。

常識的に考えると、
「(1)社会の中の個人はそれぞれ個人的な選好を持ち、 そうした各人の選好を合計すると社会全体の選好を得ることができる」
というのはもっともらしいと思われるが、 アローによると、 次の(三つの前提と)四つのごくあたりまえの条件を受けいれるならば、 おどろくべきことに、(1)は正しくないことになる。

三つの前提:

四つの条件

アローにより、以上の条件を満たすならば、
「社会の中の個人はそれぞれ個人的な選好を持ち、 そうした各人の選好を総計すると社会全体の選好を得ることができる」
という(ごく普通に考えると)民主的な意思決定が不可能なことが示された。 このアローの主張に対しては、 アローの提示した条件のいくつかを否定する学者、 アローの結論を受けいれて社会的選択(社会の各成員の選択に基づく社会的意思決定) は不可能であると主張する学者、 アローが考慮外においている効用の個人間比較を 取り入れることによって解決を計ろうとする学者などがいるようである。

アローの定理のもっともよく知られている適用例としては、 投票のパラドックスがある。

26/Apr/2000


参考文献


関連文献


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sun Jun 12 18:14:57 JST 2005