投票のパラドクス

(とうひょうのぱらどくす voting paradox [voters' paradox])


フランスの数学者兼社会理論家のコンドルセ(1743-94)が発見したとされる パラドクス。ただし定式化はエドワード・ジョン・ナンソン(1850-1936) によるらしい。

このパラドクスの簡単な例は次のようなものである。 今、ある社会には市民が三人(A, B, C)だけいて、 かれらはそれぞれの選択に基づいて社会的決定をなそうとしている。 選択肢には、x, y, zの三つがあるとする。 このとき各人の選好順位は以下のようなものであるとする。

このとき、社会的選択としてはどの選択肢が選ばれるべきだろうか。 よく見るとわかるが、実は、この事例においては、 xをyより選好している人が二人、yをzより選好している人が二人、 zをxより選好している人が二人いて、どれか一つには決まらないのである。

このパラドクスは、 各個人の選択から社会的な意思決定を導き出すことが困難なことを示すのに 用いられる。アローの定理も参照せよ。

26/Apr/2000


参考文献


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Wed Apr 26 17:10:44 2000