A04・A05-5

A05-5 大人の障害の申請について

障害者の手帳の申請ということであれば、「すべき」ということはありません。吃音のために就労が困難であるとか、吃音の合理的配慮をしてくれないなど、診断書だけでは(「障害者差別解消法」の枠だけでは)問題が解消できないとかで、手帳が役立つと思われる場合に、個人の考えに基づいて申請をなさるとよいと思います。手帳があると、障害者雇用促進法によって、障害者枠での就職が可能になり、雇用主には、合理的配慮をする義務が生じます。

吃音で申請が可能な手帳には、「身体障害者手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」があります。

身体障害者手帳の場合、言語症状が非常に重症で、かつ治療をしても改善が期待できないと判断される場合のみ交付されます。この制度は主に脳卒中による失語症を想定しているものなので、吃音で身体障害の言語障害に該当する人はごく少数です。さらに、吃音は相当な重症でも治療や職場等での慣れによって改善することがあるので、一度の認定で一生有効とすることは難しく、一般には数年後に再認定が必要という条件付きになることが多いと思われます。重症であっても、治療を受けたことがない場合は、まず治療を受けるべきと思われます。

小児期からの吃音であれば、「発達性吃音」という診断になり、「発達障害者支援法」によって、精神障害者保健福祉手帳の交付対象になります。精神障害者保健福祉手帳は、うつ病などの精神疾患でも、自閉症や吃音などの発達障害でも、同じ名前の手帳にはなりますが、関係する法律は違いますし、担当する医師も専門が異なるのが普通です。

これらの手帳を取得するためには、医療機関にかかって医師の意見書を書いてもらい、役所に申請する必要があります。自治体によっては指定された書式があるので、市区町村の福祉課の窓口で確認します。発達性吃音の場合、いずれの手帳を申請するにしても、通常は耳鼻咽喉科で診断しますが、言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあります。リハビリテーション科やその他の科が対応している病院もあります。
 意見書では、吃音検査の結果と、吃音のためにできないことがあって、他人の助けが必要であることを説明する必要があります。ひどく吃っても、筆談などの代替手段や他人の助けなしに、自分の発話でなんとか生活も仕事も対応できている、という場合は、手帳の交付対象になりません。

言語症状よりも、吃音による心理的負担が大きい場合(うつ状態や社交不安障害)は、精神科を受診して、発達性吃音ではなくて精神科の病名で精神障害者保健福祉手帳を申請することも可能です。

いずれにせよ、精神障害者保健福祉手帳の場合は、初診日から半年以上経たないと意見書を書いてもらえません。その間に治療をして改善するかどうか確認することになります。また、有効期限が2年になっておりますので、2年間治療や訓練で改善がなければ、医師から意見書を再度書いてもらって、手帳の継続の申請をすることになります。

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