ご挨拶

  

第54回日本臨床腎移植学会
会長 湯沢 賢治
国立病院機構水戸医療センター 臓器移植外科

 第54回日本臨床腎移植学会を開催させていただくにあたり、改めて御挨拶を申し上げます。
 まず初めに、COVID-19蔓延の中で日常の医療を維持するだけでも大変な今、腎移植医療を維持するためにご尽力されている本学会会員の皆様に敬意を表します。また、不幸にして罹患された方々、医療者の皆様の快復を祈ります。
 2020年2月に八木澤隆会長のもと東京で開催出来た第53回日本臨床腎移植学会は、今にして思えば平穏な学会の最後だったのかも知れません。その後、第1波、第2波、そして2020年12月第3波と言われるCOVID-19新規感染者数の増加のなか、第54回日本臨床腎移植学会を完全web開催+会期後1ヶ月間オンデマンド配信とすることを決定し、12月3日に全学会員へメールさせていただきました。
 そもそも、臨床腎移植検討会として始まった本学会は温泉旅館で開催され、浴衣姿で参加する大宴会場での懇親会も大きな楽しみで、一晩中飲み明かしたものでした。まさに「三密」の学会でした。1991年1月に、第24回研究会を私の恩師である筑波大学の深尾立先生が会長として福島県いわき市のホテルハワイアンズで開催した際、私は事務局を担当させていただきました。今回、30年の時を経て第54回学会を会長として拝命し、それを再現すべく準備を進めていたところでした。完全web開催となりますことは残念ではありますが、この時代の新たな1歩を踏み出せることに誇りを持ちたいと思います。
 本学会のテーマは「継往開来」(けいおうかいらい)としております。これは、中国の遺産に刻まれた文言で「先人の事業を受け継ぎ、未来を切り開く」という意味です。1969年1月に第1回腎移植臨床検討会が開催され、その時から先人が築き上げてきた腎移植医療が、現在の若手腎移植医や医療者に受け継がれているのだろうかという思いから考えたものです。
 今回、COVID-19蔓延で困難な移植医療の現場であるにも関わらず、多くの演題をご応募いただきました。幸いにも予定通りの会期として3日間、4会場で開催出来るのは、会員の皆様のご協力があってのことと感謝いたします。完全web開催となりましても、web上で三密どころでなく百密になるくらいの第54回日本臨床腎移植学会にしていただければ望外の喜びです。
30年前、私が事務局を務めた第24回日本臨床腎移植研究会は、「ハワイ」での開催であったため、学会参加や演題発表はハワイでの正装であるアロハシャツとムームーでした。今回、完全web開催となりますが、気分は「バーチャル ハワイ」です。ぜひ、動画作成にあたりましても、live討論でも、アロハシャツとハワイアンドレスでのご参加をお願いいたします。
 初めての完全web開催となる本学会については、不慣れで不行き届きの点が多いことと察しますが、新たな時代の本学会の始まりとしてご容赦いただければ幸いです。
 会員皆様のお力添えをお願いいたします。
(2020年12月6日記)



 ☆現地で皆さまとお会いできることを願って☆
 「この度2021年2月17日(水)~19日(金)の3日間にわたり、福島県のホテルハワイアンズにおきまして第54回日本臨床腎移植学会を開催させていただくことになりました。」と始まるはずだった「ご挨拶」を、2020年6月の今、書き改めます。
 1年前には誰も想像することが出来なかった新型コロナウイルス感染症蔓延の中で日常診療のみならず、日常生活さえままならない状況です。この困難な状況下にあっても亡くなった方からの臓器提供はあり、その意志を無駄にすることなく移植医療が遂行できていることに、明日への希望を感じています。
 2020年2月の第53回日本臨床腎移植学会が通常の学会として東京で開催されたことは、今としては奇跡とも思え、その直後から秋にかけての多くの学会が延期やウェブ開催となっています。2020年9月に予定されていた日本移植学会は、11月の1か月間のオンデマンド配信となることが決定しています。その様な状況で2021年2月の第54回日本臨床腎移植学会が、通常通りの学会として開催出来るか否かは、まだまだ未定です。
 今までの学会の様に、限られた「密閉」空間である会場に多くの会員が「密集」・「密接」して活発な議論を交わすような「3密」の学会の開催形態を変更する必要があるのかもしれません。オンデマンドでの配信スタイルの学会、オンラインでの対話可能なバーチャル学会、サテライト会場を作っての分散型の学会、これらをセッション毎に組み合わせたハイブリッド学会など色々な形式が考えられます。
 日本臨床腎移植学会は、日本における腎移植実施施設の経験を共有する目的で1969年に腎移植臨床検討会として発足し、1992年より腎移植臨床研究会に発展、2002年には日本臨床腎移植学会となり、2019年より一般社団法人化されました。本学会は、医師だけでなく、看護師、薬剤師、臨床検査技師など腎移植に関わる全ての医療職が「3密」の集まりとして、腎移植の普及・啓発とともに腎移植実施施設間の技術の標準化にも貢献して参りました。
 今、まさに変革の時かもしれませんが、今学会のテーマは「継往開来」(けいおうかいらい)とさせていただきました。これは、中国の遺産に刻まれた文言で「先人の事業を受け継ぎ、未来を切り開く」という意味です。1969年1月に第1回の検討会が開催され、これら先人が築き上げてきた腎移植医療が、現在の若手腎移植医や医療者に受け継がれているのだろうかという思いから考えたものです。
 2020年6月の今、第54回日本臨床腎移植学会の開催におきましては、皆様の安全を第一に考えた方法として前記の通り色々な学会開催形式を考え、準備しているところでございます。
 現時点では、皆様の笑顔が直接見られるよう、アロハシャツとムームーでの参加をしていただけるホテルハワイアンズでの開催も念頭に入れ準備を進めております。
 多数の皆様のご参加と、演題のご登録をお待ちしております。
(2020年6月記)