学術集会長挨拶
~がん看護の未来に向けた新たな価値を創造する~
このたび、第41回日本がん看護学会学術集会を2027年2月27日(土)・28日(日)に神戸国際展示場および神戸国際会議場にて開催いたします。
がん看護は、患者の生と死、希望と苦悩、そして人間の尊厳に深く関わる専門領域です。私たちが日々向き合う臨床現場には、技術や制度の変化だけでなく、患者一人ひとりの生き方や価値観、人生の歩みが息づいています。そうした背景の中で、忘れてはならないのが、看護の原点~目の前の人の存在に真摯に向き合い、その人にとって最善のケアとは何かを問い続ける姿勢です。こうした実践の積み重ねが、看護のアイデンティティを形づくるとともに、新たな価値を生み出す創造の力となっていくと考えます。その営みは、ナイチンゲールが照らす灯りに、今を生きる私たちが改めて向き合うことでもあります。
近年、AIや遠隔医療、個別化医療など、医療技術の革新が急速に進んでいます。看護職は、これらの変化に対応するだけでなく、変化を先導する存在であるべきと考えます。テクノロジーとの融合は、患者のQOLを維持・向上させるための新しい可能性を広げるものであり、看護職はその価値を創造する担い手として未来の医療を牽引する役割を果たすことも求められています。技術に翻弄されるのではなく、技術を活かして人間らしいケアを実現すること-それこそが、がん看護の新たな挑戦です。
また、看護の役割は医療現場にとどまりません。患者の生活を支える視点から、家族との協働や地域との連携がますます重要になってきます。がんという疾患がもたらす影響は、患者本人だけではなく、家族の生活や社会の価値観にも広く及びます。看護職は、患者の生き方を支え、家族の支え方を導き、社会の受け止め方に働きかける存在として、より広い視野でのケアを担う必要があります。こうした関わりの広がりは、看護の可能性を広げると同時に、私たちの専門性を問い直す契機ともなります。そのため、教育・研究・臨地の三位一体による価値創造が不可欠であると考えます。看護職の専門性は、単なる技術や知識の集積ではなく、実践の中で培われる洞察力、研究によって深められる理論、教育を通じて継承される知恵の融合によって形成されます。今こそ、看護職の専門性を見つめ直し、がん看護の未来に向けた新しい価値を創造する時代がやってきました。
私たちが歩んできた道には、先人たちの知恵と努力が刻まれています。その歩みを受け継ぎ、今を生きる私たちは、未来に向けて新たな価値を創造する挑戦を続けていきたいと考えます。
本学術集会を通して、がん看護の原点を見つめ直し、未来に向けた新たな価値を創造する機会となるよう開催準備を進めております。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
第41回日本がん看護学会学術集会
学術集会長 平松 貴子
川崎医科大学附属病院 看護部長/がん看護専門看護師
