第61回 日本鼻科学会

第61回 日本鼻科学会第61回 日本鼻科学会

ご挨拶

  1. HOME
  2. ご挨拶

会長ご挨拶

会長ご挨拶

第61回
日本鼻科学会
総会・学術講演会

会長 三輪 高喜
(金沢医科大学耳鼻咽喉科学 教授)

このたび第61回日本鼻科学会総会・学術講演会を開催させていただくにあたり,会 員の皆様ならびにご指導,ご協力を賜りました役員の皆様に厚く御礼申し上げます。

 今世紀の科学,医学の発展は目覚ましいものがあり,鼻科学も例外ではありません。 中でも嗅覚受容伝導機構の解明,好酸球性鼻副鼻腔炎という新たな疾患に対する診断, 治療法の開拓,アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法などは,わが国が先陣を切って 世界をリードしてきた21世紀の学問領域と言っても過言ではありません。日本鼻科学 会は昨年,開設60周年,人間でいえば還暦というひとつの節目を迎えました。そして これから新たな歴史を刻んでいきます。そこで今回のテーマは本来の意味とは異なりま すが,「新世紀 鼻科学」とさせていただきました。本大会に参加すれば,現在のそし て近未来の鼻科学のすべてがわかる大会を目指したいと思います。

 今回の大会では,上記に加え,内視鏡下手術の領域拡大,新たに出現した鼻科領域固 有の難治性疾患,難病に指定されている遺伝性出血性毛細血管拡張症,睡眠への鼻がも たらす影響に着目し,さらに新たに出現しアウトブレイクをもたらした新型コロナウイ ルス感染症,時代が求めるダイバーシティ,男女共同参画社会に着目し,10のシンポ ジウムを企画しました。いずれも直近の各領域の進展をご紹介いただくとともに,今後 の展開についても最新の研究成果をご発表いただきます。特別講演では,嗅覚基礎研究 の国際的第一人者である東京大学の東原和成先生に「ヒトの嗅覚を科学する:遺伝子, 記憶,生理,心理」と題して嗅覚という魅力あり謎めいた感覚に関して多方面からのア プローチによる研究成果をご講演いただきます。

 日本鼻科学会はこれまで国際化を目指し,アジアならびに欧米の鼻科学関連学会と連 携を持ってきました。招待講演としまして,2023年のERS,IRS,ISIAN会長でブルガ リア鼻科学会理事長のDilyana Vicheva先生にご講演を賜ります。また,新たな連携学 会として,台湾鼻科学会との連携が決定し,昨年末に調印式が行われました。そこで本 大会では,Presidential seminarとしまして,Seung-Heon Shin韓国鼻科学会会長,Yeh Te-Huei台湾鼻科学会会長にご講演いただくとともに,従来の日韓シンポジウムを発展, 拡大させ,日韓台シンポジウムを企画しました。テーマはType2炎症と嗅覚障害であり, いずれもわが国でも,韓国,台湾でも関心高く重点的に研究が進められている分野で各 国の第一人者にご講演を賜ります。近年,定着しました国際セッションには,日本,中 国,韓国,台湾から22題の演題が集まりました。国際化の一環としましては,「海外留 学のすすめ」と題する特別企画を行います。ドイツと米国に留学経験を持つ2 名の会員 に経験を話していただき,留学先のボスにコメントをいただくという企画です。若手の 医師には是非ともご参加いただきたく存じます。

 一般演題にはポスターを含め300題もの応募がありました。いずれも優れた演題ばか りであり,全題採択させていただきました。さらに本大会では学会の未来を背負って立 つ若手に奮起を期待し,若手優秀発表賞を設けましたところ,21 題もの応募がありま した。腫瘍,嗅覚,鼻副鼻腔炎の3つのテーマから各1名を選出しますので,工夫をこ らしたプレゼンテーションを期待します。基礎ハンズオンセミナー,臨床ハンズオンセ ミナーとも例年通り開催いたします。定員に限りがありますので,参加を希望される方 は早めにお申し込みください。

 コロナ禍が2年以上におよび,新年会,忘年会,歓送迎会などさまざまな「会」とつ くものがなくなりました。「会」とは人と人とを直接結びつけるもので,振り返るとこ の2 年は人との出会いの少ない浅薄な期間であったことに気付きます。学会も同様で, オンライン開催のノウハウも整ってきましたが,やはり対面でのディスカッションには かないません。本大会は十分な感染対策を施した上で,できる限り対面での「会」を目 指したいと思います。ただし,金沢にお越しいただけない方には企画演題のオンデマン ド配信を予定しています。

 大会終了後には「潤いのある暮らしは健康な鼻と耳から」と題する市民公開講座を企 画しています。福井大学耳鼻咽喉科頭頸部外科,高林哲司先生のご講演と,近隣の医師 たちで構成されました「メディカルオーケストラ金沢」によるコンサートを行います。 金沢らしいお土産を準備しますので,最後まで金沢での学会を味わってください。

 会場の金沢市文化ホールと金沢ニューグランドホテルは街なかにあり,周囲には古都 金沢を彩るさまざまな文化施設が徒歩圏内にあります。また,足を伸ばせば能登や加賀 の温泉や観光地も豊富にあります。この季節は最も快適で目も舌も鼻も楽しませてくれ るベストシーズンです。教室員一同,準備万端お待ちしておりますので,ぜひとも多く の皆さまに金沢にお越しいただき,秋の金沢を鼻と目と口で堪能してください。