ラオス保健研究コンソーシアム・三好前代表の後任として2019年10月より三代目代表を申し付かりました。ラオス保健研究コンソーシアムは2003年に、初代代表・門司和彦教授(現長崎大学)のリーダーシップのもとラオスの保健研究のキャパシティビルディングを目的に設立されました。2007年からはラオス保健省公衆衛生研究所(現在熱帯・公衆衛生研究所)が開催するNational Health Research Forum開催を積極的に支援してきました。今年で13回目の開催となりましたが、ラオス側の特に若手研究者の育成はすでに大きな花をさかせており、多くの発表はラオス人研究者によってみずから発表されるようになっております。国際科学雑誌に掲載される論文も、ラオス人研究者が筆頭著者や責任著者として名前を連ねているものは年々倍増しています。また研究成果の政策の立案や評価へのフィードバックがNational Health Research Forum開催の一つの目的とも設定されてきましたが、実現している研究も多々生まれてきています。これらの成果はラオス保健研究コンソーシアムを中心とした日本人研究者の一定の貢献があることを、熱帯・公衆衛生研究所センチャン所長からも認めていただけております。これも前代表をはじめとして会員の皆さまの貢献があったからこそで、あらためて感謝申し上げます。
現在、ラオスにおける保健研究も中心的課題が変容してきており、感染症と母子保健だけでなく、思春期保健、医療の質、生活習慣病、看護教育、保健システム・保健財政等多岐にわたってきており、ラオスを訪れる研究者も多様化してきております。今後も一定の貢献をラオス側にも認めていただくためには、ラオス側のオーナーシップをさらに尊重して、さらに質の高い研究を実施し若手人材育成に貢献していくことが望まれます。
低中所得国への支援においてドナー国間の調整や当事国のオーナーシップの尊重が重要なことは、当たり前のように語られ実施されてきております。これは研究においても例外でなく、我々研究者もラオスのオーナーシップを尊重し且つ研究者間の調整することなしに、研究を実施することは許されないと考えております。これらの調整をいかに実現するかは、いいかたをかえると研究者間の活発なコミュニケーションを活性することによるもので研究者としての自由を楽しみながら十分に実現できると考えております。ラオスをフィールドとして実施する外国人研究者も、日本、フランス、スイス、ドイツといった長くラオスで研究を展開している国からさらに多様な国々の機関の研究者になってきております。これらの国々の研究者とも良好な関係をもって共に歩んでいけるように考えております。
ラオスでの保健研究が今後も発展を続けるよう、今後とも皆さまの御協力御指導御鞭撻をどうぞよろしくお願いいたします。
令和元年11月15日
小林 潤
© 2019 The Consortium for Lao Health Research.