第23回日本循環器看護学会学術集会第23回日本循環器看護学会学術集会

ご挨拶

 循環器看護において、看護師は質の高い看護の提供を目指し、自らの看護実践の介入の効果の検証、また関連の学問領域との共同研究などによって、エビデンスの創造に努力しています。一方で、そのエビデンスの社会実装においては、マンパワー不足やコスト面などからの課題が指摘されています。エビデンスの社会実装に向けてこれらの課題を解決するには、複数の関連学問領域からなるアプローチや産官学の連携が欠かせません。

 本大会のテーマは「創造と融合―ライフサイエンスとしての循環器看護―」としました。会場は、大阪の北摂 千里に立地する「知の交流拠点」である千里ライフサイエンスセンターです。本会場は、新幹線や飛行機での交通の便もよく、何より本大会のテーマにふさわしい会場で、学術的なイベントへのサポートが素晴らしい会場です。

 循環器看護の発展には、医学、薬学、工学、栄養学、運動生理学などの関連するライフサイエンスの学際領域との融合が必須です。また、情報通信技術や人工知能などの新しい科学技術は発展には欠かせません。同時に、ライフサイエンスや情報通信の発展によって生じうる人の尊厳や意思決定などの倫理的問題が危惧されており、倫理学、心理学、社会福祉学などの人文・社会学からの視点の重要性も増しているといえます。また、循環器疾患の早期発見・治療や再発予防だけでなく、循環器病の後遺症を有する方の社会復帰支援や緩和ケアなど、地域や在宅における保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実が求められています。

 私たち、看護職者がその専門性を突き詰め、直面している課題や障壁は、異なる分野の視点からのアセスメントやアプローチによって、解決の糸口が見つかることもあるかもしれません。研究教育者の立場である私にとっても、本大会に参加することは、自身の研究や教育活動上の課題の解決や発展の糸口を見つけることができるとワクワクした気持ちでおります。参加者の皆さまと交流し、刺激しあい、ともに循環器看護のさらなる発展に精進してまいりたいと思います。多くの皆様のご参加をお待ちしております。


第23回日本循環器看護学会学術集会
学術集会長 稲垣 美紀
摂南大学 看護学部・看護学研究科