「そもそも和食って何?」
「和食って作るのが大変そう」
「イマイチ美味しさがわからない…」
と考えている方もいるのではないでしょうか。日本に住んでいても、イマイチ和食のことって知らないですよね。しかも和食は調理が難しかったり、味が淡泊になったりなどのイメージのせいで、疎遠になっている方もいると思います。
しかし和食は「一汁三菜」を覚えていれば簡単に作ることができます。和食は栄養バランスがよいため、日々の食事に積極的に取り入れたいものです。
そこで、和食の基本知識や日本ならではの野菜や魚、発酵食品を紹介します。一汁三菜による献立作成方法をはじめ、おすすめの簡単レシピ、地産地消のメリットまで幅広く解説。
育児や仕事で調理時間が取れない方や、和食の良さを知りたい方は、是非参考にしてみてください。
目次
和食の定義や特徴について
和食については明確な定義はありません。そのため、古くから伝わる日本料理をはじめ、海外の食材を用いた日本風の食事を指すこともあります。
和食の主な特徴は下記の通りです。
- 一汁三菜であること
- 新鮮かつ旬の食材を使うこと
- 発酵調味料や出汁(だし)を使うこと
- 素材の良さを生かして調理すること
- 器や盛り付けを工夫すること
- 行事食があること
和食といえば、ご飯・汁物・漬物・おかずの献立を基本とする「一汁三菜」です。そして、出汁・塩・醤油・味噌などのシンプルな調味料を用い、旬の食材の味わいを引き出す調理法が特徴です。
なお、日本の天然水は硬水よりミネラル分が少ない軟水のため、鰹や昆布から出汁を取るのに適しています。出汁を飲んだ際に感じられる旨味は、甘味・塩味・酸味・苦味とともに基本五味の一つで、海外でも日本読みのまま「UMAMI」と呼ばれ人気を集めています。
また和食の調理法は、切る・煮る・蒸す・炒める・焼く・揚げるなどと種類が多いのも特徴です。そのため、食材本来の味わいを生かして調理することができるのです。おひたしや蕎麦を作る際に、茹でてから水にさらす調理法は日本特有のものです。
他にも和食では、料理に合わせて器を選ぶため、目でも楽しむことができます。正月のおせちや節分の恵方巻、七夕のそうめんなど、年中行事の際に旬の食材を使った行事食があるのも特徴です。
2013年に和食は、国際連合教育科学文化機関の事業である「ユネスコ無形文化遺産」になりました。明確には和食ではなく、古来より自然を尊びながら形成された日本ならではの食文化が評され、「ユネスコ無形文化遺産」に指定されています。
和食の基本「一汁三菜」とは?献立作成のポイントと注意点
和食の献立作成に欠かせない「一汁三菜」の概要を紹介します。さらに「一汁三菜」の献立作成方法や食卓での配膳方法についても解説します。
「一汁三菜」の概要とメリット
「一汁三菜」は、主食・汁物・主菜1品・副菜2品・漬物によって構成されます。
一汁とは、味噌汁やすまし汁などのことです。三菜は、主菜1品と副菜2品です。なお基本的に漬物は三菜に含まれません。
「一汁三菜」は多くの食材が使われており、様々な栄養素を摂取することができます。さらに大皿から取り分けるのではなく、一人分が盛り付けられているため、食べる量が明確になり食べ過ぎを防止できます。
また「一汁三菜」は、パン・スープ・ステーキ・サラダ…のように、洋食の献立にも応用することも可能です。
「一汁三菜」の献立作成方法・正しい配膳方法
「一汁三菜」の各特徴と具体的な料理は下記の通りです。
主な特徴 | 具体的な料理 | |
---|---|---|
主食 | エネルギー源となる炭水化物を摂取できる。 | ご飯、炊き込みご飯など |
汁物 | 水分補給が望める。具沢山にすると副菜の代わりに。 | 味噌汁、すまし汁など |
主菜1品 | 肉・魚・卵・大豆など使ったおかず。 カラダづくりに欠かせないたんぱく質が豊富。 |
刺身、生姜焼き、卵焼きなど |
副菜2品 | 野菜や海藻を使ったおかず。 カラダを整えるビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富。 |
酢の物、お浸し、サラダなど |
漬物 | 献立全体のアクセントとなる。 | たくわん、柴漬け、梅干しなど |
そして「一汁三菜」では、下記3つのポイントを押さえましょう。
- 異なる食材を使う
- 味や調理法をかえる
- 塩分過多に注意!
栄養が偏らないよう、様々な食材を使うとよいです。
そして味にメリハリをつけるために、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味を楽しめる献立にしましょう。切る・煮る・蒸す・炒める・焼く・揚げると、調理方法をかえることも大切です。
また和食は脂質が少なく低エネルギーですが、高塩分なのも特徴です。塩分が気になる場合は漬物を控えるとよいでしょう。他にも出汁の風味や油のコク、酸味を生かしたり、香味野菜をプラスしたりすると、塩分を抑えることができます。
「一汁三菜」の正しい配膳方法
左手前に主食、右手前に味噌汁、右奥に主菜、左奥に副菜、真ん中に副々菜、主食と汁物の間に漬物を置きます。
「一汁三菜」の配膳方法の由来は諸説紛々ですが、なかでも有力なのは左上位のしきたりです。日本では古来より左が上位の位置であり、主食であるご飯がもっとも重視されていたため、主食が汁物の左に置かれるようになったとされています。
そして下記のように、日本ならではの盛り付け方もあります。
- 魚の頭を左に置く
- 煮物や和え物に香の物を添える(天盛り)
- 小鉢や和え物は上に行くほど細く盛り付ける(天小地大)
日本の伝統的な食品や調味料とは?
日本は南北に長い形をしており、山や川があり、海に囲まれています。そのため様々な食材を食べることができます。さらに春夏秋冬の四季があり、旬に応じて食材を楽しむことも可能です。
そして日本では食材を発酵させ、保存性を高めることで自然の恵みを大切に扱ってきました。そんな日本の伝統的な野菜や魚、発酵食品を紹介します。
日本には伝統的な野菜が少ない!
国内で流通する野菜の種類は約150種あるとされており、そのうち日本原産の野菜はあまり数がありません。
- ふき
- 三つ葉
- わさび
- うど
- せり
- 自然薯 など
実はほとんどの野菜が海外から持ち運ばれたものや、新たに品種改良されたものなのです。そのため海外から伝わった野菜に、日本独自の調理を加え、誕生した和食料理も多くあります。
日本は魚類・甲殻類・貝類・海藻類の食材が豊富!
日本には川と海があるため、川魚も海魚もとることができます。他にも甲殻類や貝類、海藻類も古くから食されてきました。
古くから伝わる主な日本の魚介類は下記の通りです。
- 川魚:アユ、ウナギ、コイ、フナ、ドジョウ
- 海魚:マグロ、カツオ、イワシ、アジ
- 甲殻類:エビ、カニ
- 貝類:シジミ、アサリ、アワビ、ハマグリ、カキ
- 海藻類:ワカメ、昆布、モズク、フノリ、テングサ、海ブドウ
なお魚介類は、乾燥させたり発酵させたりすることで、保存性を高める工夫がされていました。魚の干物をはじめ、ニゴロブナなどを発酵させた滋賀県の郷土料理「鮒ずし(ふなずし)」は、先人の知恵が詰まっていることがわかります。
日本は発酵食品大国!発酵させると保存性・栄養価が上がる
日本は味噌や醤油などの発酵食品の種類が、世界で最も多いとされています。日本ならではの発酵食品は下記の通りです。
- 味噌
- 醤油
- 酢
- みりん
- 日本酒
- 甘酒
- 塩辛
- 納豆
- 漬物
発酵食品は、微生物の分解作用により製造されます。発酵させることで、保存性・栄養価・味わいが高くなるのです。
簡単なのに美味しい!和食の献立・レシピを紹介
「一汁三菜」のルールに従い、「刺身」がメインの献立を作成しました。各料理の作り方や、忙しい方でも作れるよう「時短ポイント」を解説します。
忙しくても「一汁三菜」で献立を作れば、多くの食材を摂れるため、見た目も栄養価も満足度の高いものに仕上がります。
「刺身」がメインの献立|作り方とポイントは?
今回は、調理不要な刺身を主菜にした和食献立を紹介します。
- 主食:ご飯
- 汁物:茄子の味噌汁
- 主菜:刺身
- 副菜:きんぴらごぼう
- 副々菜:きゅうりとワカメの酢の物
- 漬物:たくわん
塩味・甘味・酸味と複数の味を楽しめる献立となっています。煮る・炒める・和えると調理方法にもメリハリをつけました。牛蒡やきゅうりなどの食感も楽しめます。
■「刺身」がメインの献立のレシピ
作り方 | 時短ポイント | |
---|---|---|
茄子の味噌汁 |
|
|
刺身 |
|
|
きんぴらごぼう |
|
|
きゅうりとワカメの酢の物 |
|
|
地産地消(ちさんちしょう)とは?重視するメリット
地産地消(ちさんちしょう)とは、地域でとれた農林水産物を、その地域で消費することです。農林水産省でも推進活動が行われており、地産地消に関する法律も策定されています。
平成22年12月3日に、六次産業化・地産地消法が公布されました。
この法律は、
(1)農林漁業者による加工・販売への進出等の「6次産業化」に関する施策
(2)地域の農林水産物の利用を促進する「地産地消等」に関する施策を総合的に推進することにより、農林漁業の振興等を図ることを目指しています。
また地産地消には、消費者や生産者などにとって下記のメリットがあります。
- 消費者が新鮮で安全な食材を買える
- 生産者と消費者のつながりが強まる
- 地域経済が活性化される
- 流通コスト・環境負荷が低減される
- 子どもたちへの食育が推進される
鮮度が高く生産者の顔が見える農林水産物は、安心して食卓に並べることができます。
地域の野菜は直売所やマルシェなどに多くあるので、気になる方は足を運んでみてください。そして、店員さんに旬のおすすめ食材や調理法も聞いてみるといいですよ。