がん医療フォーラム 香川 2018 がんになっても幸せに暮らそう~ちゃんと決めまい自分のこと~
開会あいさつ
久米川 啓さん
ただいまご紹介に預かりました、香川県医師会の久米川でございます。本日、この「がん医療フォーラム香川2018」の開催に際しまして、このように多くの皆さまがお集まりいただきましたこと、本当に心より感謝申し上げます。
ご案内のとおり、この日本では平均寿命の増加に伴って、それに比例するようにがん疾患が増えてまいりました。ここ香川県におきましても、昭和52年(1977年)に死因のトップが「がん」になり、それ以来ずっと死因の1位が「がん」です。言い換えれば、がんで命を落とすのが当然ということで、それ以外の疾患で命を失うことはかえって少数派になってまいりました。
私の友人でも、「どうせ死ぬのであれば、がんで死ぬ方がいいな」と、言われる方もいます。私の友人というのは、ほとんどががんの専門医で、いろいろな患者さんの最期を看取ったり、治療なさったりした先生がそう言われます。がんで治療を終わって、そのあと、もしがんで終末期を迎えるにあたっても、ある程度ゆったりした時間が作れる。その間に今まで人生でお世話になった方々に感謝を言えるし、また、自分で人生の後始末もできると。自分らしい最期を迎えることができるとおっしゃいます。確かに、例えば事故とか心筋梗塞で急死した場合は、そういった時間は作れませんし、また脳梗塞などで寝たきりになったら、時間は長いですけれども、多くの方々のお世話にならなくてはいけません。そういった意味では、確かに自分らしい生活が暮らせるのかなと思ったりします。ただ、がんになったからといって死ぬというわけではありませんので、よい治療ができるようになってきています。
今、日本で「働き方改革」の中で、病気の治療と就業生活の両立支援ということが謳われております。私は香川産業保健総合支援センターというところの所長も兼ねておりますが、そこで両立支援の後押しをしております。また、いろいろな病院とも協力して、両立支援の推進メンバーと推進を図っているところです。がんの治療をしながら働くということですが、生きがいができて、がんの治療にプラスになるというようなデータもあります。もし、周りにそういう方がおられるようでしたら、そういった活動もしていますので、ぜひともお知らせいただきたいと思います。
また、県医師会としましては、地域包括ケアシステムの構築に向けて進めております。かかりつけ医が中心になって、いろいろな職種の方と協働して、患者さんが住み慣れた地域で、医療介護が受けられるような、組織づくりをしております。まず皆さん、かかりつけ医をちゃんと持っていただくということが大事だと思います。医者というのは時々、見かけぶっきらぼうな先生がおられるかもしれませんが、案外に医師は、いろいろ経験してきた先生ですし、看取りも何人も行ってきた先生がほとんどです。何でもよいですから、まずはちょっと先生に相談してみていただくようにお願いいたします。そういったことをお願いいたしまして、私のあいさつとさせていただき、今日はよろしくお願いいたします。