聴神経腫瘍




                                                                                         
  東京医大 脳神経外科における
                            

       聴神経腫瘍の術中神経モニタリング

              (きわめて重要です)

         当科では、顔面神経の持続刺激モニタリングを行っています。




聴神経腫瘍は、前庭神経から発生し、同じ内耳道内を走行する顔面神経、蝸牛神経
(聴神経)に癒着して圧迫しているため、聴神経腫瘍の手術においては顔面神経機能、
蝸牛神経機能を保存することが重要かつ技術のいることなのです。
そのためには、繊細な道具を使い分ける技術や、経験に基づいた判断力などが要求
されることはもちろんですが、それだけでは到底これらの機能は温存できません。
いくら経験や技術があっても機能温存が出来ない不可欠なもの - それが
術中神経モニタ
リング
です。術中神経モニタリングが高いレベルで行えない施設では聴神経腫瘍を手術
するべきではありません。
当科で行っている術中神経モニタリングの内容を御紹介します。


  (1) 顔面機能保存のためには
        
 フリーランの顔面筋電図
        ・ ボールペン型電極による随意刺激顔面筋電図
        ・ 釣り鐘型電極による持続刺激顔面筋電図
                  と、3種類の顔面神経モニターを行います。


  (2) 聴力温存のためには
        
・ ABR (聴性脳幹反応)という一種の脳波
        ・ 蝸電図というABRのI波に相当する活動電位
        ・ CNAPという蝸牛神経 (聴神経)上の活動電位
                  と、やはり3種類の聴神経モニターを行っています。


  (3) 三叉神経の確認や保存には
         
随意刺激の咬筋の筋電図

  (4) 脳幹を圧迫する聴神経腫瘍に対しては
         
SEP(知覚刺激による一種の脳波)

       
以上のようなモニタリングをほぼルーチーンに行っています。
       
  このうち、
特に強調したいのは、顔面神経の持続刺激モニタリングです(下図)。この方法は
世界的にも、ほぼ東大の関連施設でのみ行われている方法で、これぞ「正真正銘のモニタ
リング」というべきものです。すなわち、モニタリングとは、神経機能が落ち始めた時に
「警告」
をくれるものでなければ意味をなしません。なぜなら、「警告」があれば、手を休めて反応の
回復を待ったり、別の安全な場所を処理するなどの応用がきくからです。現在、一般の病院で
行われている顔面神経モニタリングは、処理の前後で時々顔面神経を刺激してみて「今の操作
が大丈夫であったか」をチェックする方法です。その処理が間違っていれば、まさしく「後の祭り」
であり、顔面神経機能を悪くした事実を確認するだけの方法です。とても、操作中でも自動的に
1秒間に1刺激を行って顔面機能の反応を持続的にチェックして、顔面機能の悪化を未然に防ぐ
この方法にかなうはずがなく、世界の名手を除いては、持続モニタリングを行ったのと同等の
手術成績をあげられるとはとても考えにくいのです。
  当科では、聴神経腫瘍の手術中に3人のモニタリング担当の技師さんたちが手術中付きっ切り
で術中神経モニタリングを行っています。もちろん術者は、手術中すべてのことに気を配り、
全責任をもって、手術にあたっています。この術中神経モニタリングこそ、経験と慣れが必要
なのであり、年間に3例手術する術者と30例手術する術者で手術成績が違ってくるのは至極
当然のことなのです。
当科の手術成績についてはこちらをご参照下さい。 


   術中神経モニタリングについて詳しくお知りになりたい方は、
      医療雑誌「臨床脳波」より依頼されて書きました
     「聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍手術における術中顔面神経モニタリング」
       臨床脳波 50: 449-454, 2008  の発表内容
をご覧下さい。 
   

      
   左聴神経腫瘍手術における、持続刺激用電極を挿入留置する際の術中写真 (A)イラスト (B)
    顔面神経
(VII)を確認後、電極を神経に密着させて留置する。  VIII:8脳神経




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    テレビ東京の番組で
「神の手」福島孝徳教授に信頼される医師の1人に挙げられました。
       TV内容

    
「神の手」福島孝徳教授とのセミナー
       リーフレット



当科では、聴神経腫瘍をはじめとして小脳橋角部腫瘍の手術を専門的に行っており、
手術中の神経モニタリングを徹底して行い、また、さまざまな手術方法を患者
さんによって使いわけて、最新の治療により良好な成績をあげております。
気になる症状等ございましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。


   ご質問等ございましたらお気軽にご相談ください。 。。

        


       
    業 績   mkouno-nsu@umin.ac.jp    


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