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63Taikaihoukoku

第63回東海公衆衛生学会学術大会の報告

(印刷用PDFファイルのダウンロードはこちら)

 1. 大会概要


第63 回東海公衆衛生学会学術大会は、平成29 年7 月15 日(土)に三重大学において開催された。学術大会長は村田真理子(三重大学大学院医学系研究科・教授)が担当した。近年のグローバル化により、エボラウィルスなどの感染拡大のような緊急事態へ対応が求められる時代となり、また、麻疹や結核などの再興感染症に対する公衆衛生上の対策が求められており、メインテーマを「感染症の予防と対策」とした。
午前は環境・情報科学館において、一般演題42 題(口演22 題、示説20 題)を3 会場で発表いただいた。口演A会場では「高齢者・地域・精神保健」、「ヘルスプロモーション・小児保健」、口演B会場では「産業保健・感染症」、「国際保健」、示説C会場では「成人保健・国際保健」、「生活習慣・母子保健」、「精神保健・ヘルスプロモーション」のテーマでの発表が行われた。地域での実践活動や研究の報告に対し、活発な討論や意見交換が行われた。

午後は医学部臨床第2講義室において、学会総会、特別講演、シンポジウムを開催した。特別講演は国立病院機構 三重病院・臨床研究部長、谷口清州先生に「リスクアセスメントに基づく感染症アウトブレイクへの対応と予防対策」と題して講演をいただいた。リスクアセスメントの概念から、実際の感染症アウトブレイク時の対応について、理論から実践までを具体的に分かりやすくお話しいただき、有意意義な講演であった。続いて「感染症の予防と対策の実践報告」と題したシンポジウムでは、各地域を代表して5 人のシンポジストに発表していただき、座長は長坂裕二氏(三重県桑名保健所)にお務めいただいた。植嶋一宗氏(三重県松阪保健所)から「松阪・伊勢・津地域における麻疹アウトブレイク」、山田敬一氏(名古屋市健康福祉局)から「名古屋市における外国出生者の結核対策」、大石沙織氏(静岡県環境衛生科学研究所)から「静岡県の日本紅斑熱症例と媒介マダニの分布について」、竹島雅之氏(愛知県半田保健所)から「愛知県広域予防接種事業 〜かかりつけ医で予防接種を〜」、安江智雄氏(岐阜県健康福祉部)から「ワークショップ形式の新型インフルエンザ発生時机上訓練」と題して、それぞれ実践されている活動について報告された。感染症の予防活動や、参考になる事例について、情報を共有し、これからの公衆衛生活動の実践や教育・研究に役立てていただける内容となった。

なお、大会参加者は144名であった。その内訳は、学会員89名、非学会員34名、学生5名、その他16 名、地域別では愛知県54 名、岐阜県11 名、三重県42名、静岡県10 名、名古屋市26 名、大阪1名であった。
また、大会の開催にあたっては日本公衆衛生学会から助成をいただくとともに、多くの方々にご尽力、ご支援を賜った。深謝いたします。

 2. 参加者へのアンケート調査結果

57名から回答を得た。大会全体の評価は「良かった」89%、「普通」9%、「良くなかった」0%(無回答2%)と概ね良好であり、公衆衛生活動・研究に対する「知識」が向上したと回答した者が96%、「意欲」が向上したと回答した者が89%、「自信」が向上したと回答した者が82%、等であった。回答者の65%が本学会員、58%が日本公衆衛生学会の学会員であり、日本公衆衛生学会の認定専門家あるいは認定を目指している者が31%であった。

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