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2010RIJIKAITSUSHIN

理事会通信 平成22年12月

 平成22年12月発行号のダウンロード

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  • 今年度の理事会通信は、A4版カラー4枚で編集しました。

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 平成22年度 各理事からのメッセージ


東海公衆衛生学会理事長 名古屋大学大学院医学系研究科予防医学 教授 浜島 信之

公衆衛生専門大学院

公衆衛生の専門家の育成は社会にとって重要課題です。2005年に文部科学省中央教育審議会が公衆衛生大学院設置の必要性を答申し(新時代の大学院教育―国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて)、同年、厚生労働省の公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する検討会も医育機関における公衆衛生の専門的コース設置を提言しました。
現在、京都大学、九州大学、東京大学は専門大学院もしくは専門職大学院を持っており、大阪大学、筑波大学、長崎大学では修士課程に公衆衛生コースを開いています。帝京大学はSchool of Public Healthとして専門職大学院を平成23年4月に開設します。
東海地区でもこのような公衆衛生のコースは必要です。名古屋大学での同様なコース設置を要望するため、理事会の了承を得て、理事長名で名古屋大学大学院医学系研究科科長あてに「公衆衛生専門家のための修士課程設置の要望書」を提出しました。名古屋大学の社会医学系講座としてもこれまで何度かコースの設置を要望し、準備にも努力してきていますが、設置は容易ではありません。会員の皆様にも、優先順位の高い事項であることをもし機会がございましたら大学や社会に訴えていただければと思います。
来年は平穏な年となりますよう、また会員の皆様方のご多幸をお祈りします。


事務局より


2005年度より年一回理事会通信を発行しています。今年度も各地区各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。
ぜひ、理事会通信を通して、東海公衆衛生学会ならびに理事の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。

名古屋市中保健所 所長 明石 都美

結核罹患率全国トップ

先日、本庁からの電話で、「昨年の結核罹患率が、保健所管内でみると中区が全国でトップです」という不名誉な報告がありました。思わず「大阪市は?」と聞くと、なんと大阪市は1保健所となったため、ある意味数字のマジックで、トップの座を降りてしまったのです。昨年の大阪市の罹患率は49.6、名古屋市は31.0、中区は70.5、全国2位の中村区は62.8、全国は19.0です。それにしても、70を超えるとは、やはり異常です。
結核対策の基本の一つは、見つけた患者さんはきちんと治療をすることです。治療完遂100%をめざし、DOTS、コホート検討会を毎月実施し保健師も結核菌塗抹陽性患者さんのところには原則72時間以内に訪問し、治療継続の必要性の説明や、接触者の確認、二次感染等を防ぐ努力をしているところですが、減少の手立ては?です。中区の特徴は若年感染者が高く、65歳以上の占める割合が、名古屋市56.6%(全国58.0%)中区は37.7%です。
職場検診で1年前に要精検になっているにも係わらず、受診をせず排菌患者さんとなった方々もいましたし、昨年も書きましたが派遣職員で検診対象外の人々も多いです。これは、医療関係者も同じです。嘱託の方々も含め、回りにいる人たちの胸部レントゲン検査の年一回の検診を確認してください。改めて、結核対策は公衆衛生上の課題と認識すると共に、この状況、課題分析をしなければ、とは思っているのですが。

愛知県健康福祉部健康担当局 局長 五十里 明


国におきましては、臨時国会が閉会し、懸案の補正予算が成立しました。この中には任意接種である子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌の各ワクチンに対する約15ヵ月分の緊急促進臨時特例交付金1,085億円があり、今後は全国で接種が進められることともに、国の財政支援を伴った平成24年度からの定期接種化が期待されるところです。
一方で、厚生労働省提出法案は一つも成立せず、新臨時接種を盛り込んだ予防接種法改正案は再び継続審議となっています。地方負担を伴う臨時接種そのものに反対している都道府県としては、今一度議論される必要性を感じています。来年度政府予算案も、詰まるところ財源問題で揉める事は必死とのマスコミ等の報道が伝わっています。
来年は、知事選、統一地方選に加え、名古屋市長選もありそうで、行政改革が一層求められることと思います。今までのように、県民目線で粛々と行政運営に取り組むことが重要と考えています。

岡崎市保健所 所長 犬塚 君雄

学会で具体的な情報交換を!

市町村におけるがん対策では一次予防の啓発普及より、どうしても目標が明確に設定されている検診受診に力が注がれる。受診率の目標達成が真の事業目的でないことは重々承知してはいるが、まず住民に検診を受けていただかないと一歩も前に進めないというのが担当者の心情であり、その対策に少々お手上げ気味である。岡崎市でも受診率向上のための様々な取り組みを進めているが、なかなか思うようにならない状況である。内心では市町村レベルの受診率を云々する前に、対象者の定義を明確にする、企業におけるがん検診の実態を明らかにする、あるいは保険者にがん検診を義務づける等々をしないと意味がないと考えているが、このことはさておき、平成21年度から女性特有のがん検診の無料クーポン配布を実施したところ、過去に検診を受診したことのない人たちが数多く受診し、受診率の向上に寄与していることが判明した。無料クーポンの配布という施策の是非はともかく、受診者を詳細に分析することでより新たな受診者を掘り起こす方策のヒントが得られたと考える。この学会でも施策の是非を含めがん検診に関するさまざま情報交換が行われ、担当者が理解を深めエンパワーされることを期待している。

浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島 俊之

アセット・モデル

国際保健をやっている先生から教えて頂いて、最近、アセット・モデルというものに凝っています。従来から、「公衆衛生活動を行う際には、まず、ニーズを明らかにする必要がある」と言われています。例えば健康増進計画を策定する際に、地域診断を行って、地域の課題を明らかにすることに力を注いでいる自治体は多いと思います。しかし、緊縮財政の昨今、課題が明らかになっても、その対策にしっかりと予算をつけることはかなり難しくなっています。そこで、アセット・モデルでは、地域に既にある資源や良い点に着目して、そこから公衆衛生活動を展開していこうと考えます。住民を、公衆衛生サービスの対象者と考えるのではなく、一緒に活動するパートナーと考えるのです。みなさんも、自分の回りのアセットを探してみませんか。
【参考:ソーシャル・キャピタルと地域保健(保健師ジャーナル2011年2月号)、
A glass half-full http://www.idea.gov.uk/idk/aio/23729269、The Asset-Based Community Development Institute http://www.abcdinstitute.org/

愛知県半田保健所 所長 澁谷 いづみ

年度末に向けて

10月に東京で開かれた第69回日本公衆衛生学会総会では、学会認定専門家制度発足記念シンポジウムの座長をさせていただきました。この制度は、専門家の皆さんにその資質を活かし、公衆衛生従事者の資質の向上と地域の公衆衛生活動を活発にする役割を担っていただくものです。東海地方からも既に何名か登録を頂いています。職種を問わず、所属を問わず多くの方に参加していただきたいと思います。
ところで、年度末に向け、仕事のまとめと評価がそれぞれの所属で行われていると思います。平成23年は愛知県が東海公衆衛生学会をお引き受けすることになりましたので、愛知県の保健所長も皆協力し盛り上げていきたいと考えています。多くの演題、参加をお願いします。

岐阜大学大学院医学系研究科医療経済学分野 兼疫学・予防医学分野 准教授 高塚 直能


まずは今夏、岐阜にて開催されました第56回東海公衆衛生学会学術大会にご参集いただき、ありがとうございました。会員の皆様及び学会事務局のご協力により無事終わらせることができました。紙面を借りまして感謝申し上げます。
さて、はやいもので今年も残すところわずかです。今年こそ大掃除をと12月に入るといつも思うのですが、いつも仕事にキリがつかず、年が明けてもいつもの光景という状況です。こんなのは私だけかと思いきや、我が国も同じ状況のようです。国内外に解決すべき問題が山積みですが、政局が安定せず、先の臨時国会では過去10年で最低の法案成立率だったそうです。「今年の汚れ、今年のうちに」某企業のCMではありませんが、そうありたいものです。

岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野 教授 永田知里


本年度は第56回東海公衆衛生学会学術大会が岐阜県で開催され、会員の皆様方には岐阜大学までお運びいただきました。御蔭さまで120名の方々のご参加を得ることが出来ました。「公衆衛生とリスクマネジメント」をテーマに情報提供や活発な議論がなされ、知識と経験を分かち合える場となりましたこと御礼申し上げます。また、現状の問題点や今後の課題も提示され、この分野での公衆衛生の役割と責務について今一度考えさせられる示唆に富む会であったと思いました。事務局としては何かといたらぬこともありましたこと、この場を借りてお詫び申し上げます。今後ますますこの学術大会が盛会でありますよう私も理事として努力いたす所存です。

藤田保健衛生大学医学部衛生学講座 教授 橋本修二


公衆衛生対策を計画するにあたって、将来の見通しが基礎になります。普通、3〜5年程度先の近未来が多いものの、10年あるいはそれ以上先の中長期の予測を求められることもあります。HIV感染者数・AIDS患者数について、10年ほど前に実施した予測値を、実際の観察値と比べてみました。HIV・AIDSは急増しています。たとえば、日本国籍のHIV感染者をみると、2000〜2009年の10年間で7,162人が報告されており、1990〜1999年の1,905人の3.8倍になります。近未来と中長期の予測値はともに観察値に比較的よく一致しており、一安心といったところでした。一般に、予測のねらいを「当てる」ことと誤解している人が多いように感じます。この予測は中長期に「外す」ことが本来のねらいでした。近年、HIV・AIDS対策は大きく進展してきましたが、先の予測値を大幅に外すことにならず、とても残念に思っています。

岐阜県岐阜保健所 所長 日置敦巳

山歩き

世の中の多様化の中で、割合まではわかりませんが、山歩きが若干のブームとなっているようです。岐阜市の金華山や周辺の里山では、週末ともなると朝から夕方まで、多くの若い散策者を見かけるようになりました。特に、小学生とその親、10〜30歳代が目立つようになり、以前はほとんどが中高年であったことを考えると隔世の感です。一部は,マラソン大会同様、ファッション先行の傾向も否定できませんが、行動化を促す方策としては参考になりましょう。ともかくメタボ対策、メンタルヘルス対策等、好ましい傾向だと思います。子どもたちが大きくなってまた登ってくれるだろうと楽しみです。駐車場には、まさに近隣県のナンバーの車も多く見かけるようになりました。会員の皆さんもぜひ、おいでください。

 事務局通信

事務局スタッフ 渡邉優子


今年1月、不覚にも既に終息していた新型インフルエンザに罹ってしまいました。日頃の不摂生と予防を怠っていたせいと反省。来年は病気に負けない強い体力作りを目指します!事務局を引継いで2年目、こちらも気の緩むことのないよう、努力してまいりますので、叱咤、激励、ご意見等、お気づきの点がございましたら、是非お知らせ下さいますようお願い申し上げます。

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