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事例紹介

Dさん 70歳代,女性,病名:変形性股関節症,術式:片側THA

Dさんのご自宅は、5年前に新築されたマンションで、トイレ、浴室、廊下等に手すりが設置されたバリアフリー住宅でした。ご自宅の洋式の生活様式から、床座する機会は少ないと思われましたが、Dさんの場合、正座の姿勢を好まれるということで、手術後に安全に正座できる方法を考える必要がありました。Dさんの場合、手術前から身体の柔軟性に優れていたこともあり、とくに前傾姿勢や股関節の過度の屈曲が目立ったからです。

Dさんの了承を得て、このようなご自宅での生活習慣を、担当の看護師、医師、理学療法士に報告し、ご本人と共に対策を考えていただきました。その結果、壁やソファなど室内の安定した支持面を使って、前傾姿勢や股関節の過屈曲なく床座できる方法を入院中に習得し、退院後には安全に床座ができるようになりました。

また、就寝時に寝返りをすることの多いDさんは、入院中に使用されていた外転枕からヒントを得て、ご自分の身体に合った足枕を考案されるなど、ユニークな脱臼予防の対策を実践されています。

ご自宅の間取り

ポイント1 睡眠・休息

手術後

 
Dさんのアイデアで、抱き枕はL字型に折り曲げた状態で、ベッドの上に置かれていました。右方向に寝返りをする際、手術側の左下肢が枕の上に乗せられ、内転・内旋が予防できるようになっています。これで、夜間の寝返りにも気遣うことなく、安心して眠れるようになりました。
ポイント2 入浴

手術前

手術後

手術前に使用していた浴用椅子の高さは25cmでした。手すりは浴槽奥の壁に一カ所のみでした。

手術後には、座面の高さ調節が可能な椅子を2台購入されました。写真手前の椅子座面の高さは40cmに設定されています。奥の椅子は40cmよりも高くして、洗面器用の台として使われています。洗い場にも手すりが取り付けられました。

〈参考文献〉 
佐藤政枝,川口孝泰:人工股関節全置換術を受ける患者の術前アセスメントの試み,第31回日本看護研究学会,2005(北海道)

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