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事例紹介

Cさん 60歳代,女性,病名:変形性股関節症,術式:片側再THA

Cさんは、20年以上前に他の病院で初回のTHAを受けられましたが、その際に脱臼予防について何も説明されていませんでした。ですから、再手術を迎えるまで、居住環境や生活習慣に気遣うことなく生活を続けてこられたそうです。

ご自宅は、築30年の一戸建てで、室内のあらゆる場所に日本の和式文化の要素がみられました。なかでもとくに浴室は、人工股関節にとっては不都合の多いつくりになっており、退院後に向けて対策が必要でした。

幸いにも、Cさんのお宅へ調査に伺ったのは、手術を控えた入院前の時期でしたので、Cさんの了承を得て、このようなご自宅の環境を、担当の看護師、医師、理学療法士に報告し、ご本人と共に対策を考えていただきました。その結果、「住宅改修は数年先まで延ばしたい」というCさんの希望もあり、今回は公的補助の範囲内で、浴室内の手すり、浴用椅子、洗面器スタンド、浴槽用椅子が準備されました。現在、Cさんはこのような環境で安全に生活されています。

積極的な改修が行えない場合でも、ご本人やご家族のニーズに合わせた環境調整が実現できるよう、周囲のサポート体制や社会資源を最大限に活用されることをお勧めします。

ご自宅の間取り

ポイント1 入浴:浴室の環境

手術前

浴槽は、浴室の床から57cm下がる形になっています。また、浴槽の幅も60~80cmと狭いです。

手術後

深さのある浴槽内に椅子が設置されました。また、座面の高い椅子と洗面器の台も購入され、浴室の壁には手すりが取り付けられました。
ポイント2 入浴:身体を洗う・洗髪

手術前

手術後

手術前は浴室のタイルの上にシートを敷き、THA側の足を伸ばした状態で床座していました。いつ脱臼しても不思議ではないような危険な動作の繰り返しでした。

手術後は座面の高い椅子を使用することで、無理な姿勢や動作なく、安全にシャワーを浴びることができるようになりました。

ポイント3 入浴:浴槽につかる

手術前

脱臼を引き起こす危険性の高い前屈みの姿勢が目立ちました。股関節の過度の屈曲もみられ、左大腿部(手術側)が胸腹部に近づいているのがわかります。

手術後

浴槽内の椅子を使って階段を下りる要領で浴槽に入ります。
手すりも役に立っています。

〈参考文献〉 
佐藤政枝,川口孝泰:人工股関節全置換術を受ける患者の術前アセスメントの試み,第31回日本看護研究学会,2005(北海道)

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