日本セーフティプロモーション学会は、2007年(平成19年)に、事故や傷害の防止、犯罪被害の防止、自殺予防などを含む幅広い内容を取り上げ、研究発表や討論を行う場を提供することを目的として京都府立医科大学で設立総会を開催しました。
本学会の研究テーマは「セーフティ・プロモーション・スクール」、「セーフコミュニティ」、「スポーツ外傷」、「自殺」、「自然災害」、「交通事故」、「高齢者の事故」、「子どもの事故」、「DV・性暴力」、「過労死」等々、同じ学会なのかと思うほど多岐の領域にわたります。そのため、学術大会のテーマは開催地で変わります。第12回学術大会のテーマは、「“ひきこもり”について考える」としました。
最近、ひきこもりと家庭内暴力や事件についての報道は控えられ、デリケートな触れにくい問題にされているように思います。そういう社会状況から、この問題について論じることは難しい状況があります。そして、容赦なく歳月は過ぎ去り、ひきこもりの人たちの高齢化、この問題の長期化は進んでいます。
家庭内の暴力には、司法は介入しにくく、問題は潜在化、遷延化しています。「困っている人が怒る」。「怒りは暴力につながる」。怒り、暴力の背景について考えることも、怒りのコントロール、暴力の予防に、大事なことではないかと思います。
今回、ひきこもりの問題についての講演を、精神科医・加来洋一先生(山口県立こころの医療センター 副院長)、臨床心理士・安達圭一郎先生(山口大学大学院医学系研究科 教授)にお願い致しました。
「対人暴力の予防に有効な介入とは? −精神医学の観点から―」
「ひきこもりと生きにくさ : 対人関係療法による関わりから」
臨床に長く携わっておられるお二人の先生の特別講演が、ひきこもりについて考えていく上でのヒント、糸口になればと願っています。
山口県内には、明治維新発祥の萩市、米国のCNNニュースで紹介され一躍有名になった長門市の元乃隅稲荷神社、錦帯橋で有名な岩国市などの観光地があります。グルメでは、下関市のふぐ料理が有名ですが、山口では幸福の福にかけて「ふく料理」と呼びます。「瓦そば」は明治維新の頃、戦地で、瓦の上で蕎麦を焼いて食べたことに由来しています。
皆様のご来場、ご発表を、心よりお待ち申し上げます。
第12回学術大会長 辻 龍雄