研究担当理事・副学長
大学における研究成果を社会に貢献する技術シーズとして活用することは、これまで以上に期待されています。東京大学では多くの最先端研究が行われており、それらの成果を社会に還元することは、日本のみならず世界に対する重要な使命の一つであると言えます。特に世界に類を見ないほど高齢化が急速に進むわが国において医療は重要な課題であり、また国家の成長戦略として国際競争力を有する医薬品・医療機器開発は極めて重要です。
「東京大学医療イノベーションイニシアティブ」は、基礎研究を実用化につなげるトランスレーショナルリサーチ人材を育成し、さらに医療分野における産官学のリーダーを育成することを目指しています。本プログラムから巣立った人材が世界でネットワークを広げ様々な分野の人材と交流して、わが国発の医療イノベーションを推進していくことを大いに期待しています。
研究担当理事
・副学長
保立 和夫
医学部附属病院 病院長
近年、医療技術は急速に進歩してきていますが、未だに課題が多く、完全なものとは言えません。疾患の根本原因を科学的に解明する基礎研究と、それを活用した先端医療の創造は、大学が社会から期待されている重要なミッションです。高齢化の進展に伴うニーズの多様化への対応は喫緊の課題であり、臨床現場におけるニーズを見極めて、「限られたリソースをいかに有効に活用し、いかに短期間で最適な医療を開発して患者に提供するか」というマネジメントの視点を持った人材が今ほど必要とされている時はありません。またニーズを見据えた上で、基礎研究の成果を臨床研究に橋渡しし、患者さんに届けるまでの一連の流れの中で研究を主体的に推進することができる俯瞰的視野を持った人材もまた強く求められています。
本プログラムを推進することにより、これらの能力を有する人材が一人でも多く育ち、日本だけでなく世界の医療現場で活躍することを期待しています。
医学部附属病院
病院長
齊藤 延人
事業推進責任者
今から20年、30年後の日本そして世界はどのような姿になっていくのでしょうか。このホームページにアクセスしている皆さんが社会の中枢となって活躍される時代はもうすぐやってきます。しかし、その時代は恐らく、良きにしろ悪しきにしろ20世紀の残渣を引きずっている現在とはかなり異なったものになっているはずです。
医療も同様の変化がくることは間違いありません。20世紀の社会構成や環境下において重要であった価値観の転換が迫られていると思います。この価値観の転換は、一方で少子高齢化、医療の高度化に伴う医療費の高騰、都市部への人口集中と地方の疲弊といった社会的問題の存在、他方に医療科学・技術の深化や国民への医療提供体制の変化、さらにそこにビジネス機会を見いだす医療提供側の枠組みの拡大という動きがあり、それらが複雑に影響しあうことで生じて来るものです。また、医療ビッグデータやICT/AIが切り拓く新しい地平線や、ゲノミクスやフェノミクス研究がもたらすPrecision Medicineの社会実装の動きという今までに存在しなかったアプローチの出現も、将来の医療を現在のそれと異なったものにする大きな要素でしょう。
こういった大きな流れの中で、一方、医療に係る専門家の教育や育成制度は20世紀の遺産を背負って存在しています。医療の基盤をしっかりと身につける地道な教育は重要ですが、来るべき医療の姿を視野に入れた教育や育成の仕組み作りは日本において喫緊の課題です。まさにここに、未来医療研究人材養成拠点事業の存在意義があります。当事業では、新しい世紀の医療を担う人材を養成するという事が使命ですが、この大きなパラダイムシフトを見据えた上でのプログラムやカリキュラム作りを行っています。是非、この拠点プログラムを経験し新しい医療を自ら切り開くことが出来るような人材として羽ばたいていただきたいと願っています。
事業推進責任者
加藤 益弘