靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

人蝦

 袁枚の『子不語』に巫山戯た話が載っている。明の逸民の某は、国の滅亡に殉じようと思ったけれど、痛いとか苦しいとかいうのは嫌だから、酒と女で命を縮めようと思って、妾を大勢娶って一日中荒淫したけれど、一向に死ねない。二十余年生きながらえて、八十四歳になってやっと死んだ。
 さすがに無事だったわけではない。平凡社の訳では「弩脈がきれてしまった。頭はさがり、背はまがり、熟れた蝦のようなせむしになって、はいつくばって歩いた。」
 この弩脈というのが不審で、菉竹氏に調べてもらったら、原文はやっぱり督脈でした。どうやって督脈が弩脈に化けたのか、荒淫によって督脈がきれるものなのか、はおいおい考えてみます。督脈がきれたら佝傴になるというのは、まあ何となくわかる。

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