靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

韋編

 竹の簡を横に並べて、紐で綴りあわせて冊とする。例えば上端と下端と真ん中の3箇所で綴るとすると、真ん中の紐が通るところには文字を書かない。そこまでは良い。実は丁寧に仕上げる場合には、紐の通るところに切れ込みを入れて、紐の掛かりを良くすることが有った。例えば上端と下端は右端に、真ん中は左端に入れる。ほんの数ミリだけど、もともとはば1センチほどの竹の簡だからそれなりに目立つし、写真で見ると黒ずんでいて、ちょうど墨鈎◤にそっくりなんです。ということは文章の区切りに入れた墨鈎が之あるいは也の草体と見間違われる他に、切れ込みを見間違えて墨鈎として復抄するというのは有り得ないんだろうか。仁和寺本『太素』の場合は、得体の知れない之や也はいずれも楊上善注の末に出現すると思っていたけれど、ひょっとするともっと得体の知れないものも有るのかも知れない。

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