靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

なんてこったい

 道路に横たわっている人がいるという110番通報をうけて、パトカーが駆けつけて、その横たわっている人をひいてしまう。漫画のギャグか、ドタバタ喜劇映画のワンシーンで、見たことが有りそうな……。
 でも、これは実話なんです。だから笑いごとじゃない。
 パトカーはこの辺だろうと速度を30キロに落として近づいていって、向う側の30メートルくらい先に車を止めていて合図した人に気を取られて、横たわっている人に気付くのが遅れたんだそうです。真夜中ですからね。警察は何をしている、けしからん、では済まないような気もする。では合図する人は、横たわっている人のこちら側で合図すべきだったのか。無茶を言ってもらっては困る。こちら側に車を持ってくるには、横たわっている人を乗り越えてくる必要が有ったかも知れない。第一、パトカーがどちらから来るか、分からなかったかも知れない。かと言って、倒れている人のそばに付きそっているなんて、そんな気味の悪いことできますか。そもそも、どうして道路に横たわっていたのか。この少年の談によると、仕事帰りに眠くなったから横になったんだそうです、しかも道をふさぐように長々と。ね、気持ち悪いでしょう。
 で、人の命にかかわるようなことがギャグでありえたのは、そんなことは起こりっこないと、誰もが思っていたからです。だけど起こってしまった。なんてこったい。プロのくせに、には違いないけれど、プロだから大丈夫、じゃなくて、大丈夫だったからプロだった、でしょう。こんな想定外のことばかりおこる世の中じゃ、大丈夫でありつづけるのも容易なことではない。
 あんまり奇矯なふるまいはやっぱりそれはそれだけ危険です。

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