靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

移氣於不足

帝曰:刺微奈何?岐伯曰:按摩勿釋,著鍼勿斥,移氣於不足,神氣乃得復。(『素問』調経論)
 ここのところ、『素問攷注』には問題がある。そもそも【識】として、「〔氣〕有餘不足柰何」云々の後に置くが、「移氣於不足、神氣乃得復、帝曰、善、」の直後に移すべきである。その上で、「移氣於不足、馬以為勿推其鍼、使移邪氣於不足而為衰、非、高云、微泄其邪、移氣於不足之處、而補、与王注旨同、當從 新校正引《甲乙》、《太素》無不字、及楊注云、使氣至於踵、於義未允、」には不足がある。本来は、「當從」の下で句を切断するべきである。日本内経医学会のものも、それに基づいた学苑出版社のものも、下に属させて、「新校正に引く『甲乙』、『太素』に不字が無いのに当に従うべし」と読んでいるのは誤り。さらに、確認の為に『素問識』を見ると、「移氣於不足」の項の下にあるのは、高云の内容と、簡按の下に、「新校正引太素甲乙刪不字」、その後に馬云の内容、そして(「不」字を削るのも、気を邪気とする馬説も)「並非」という判定のみである。楊注にどういうとか、妥当とはいえないとする判断とかは無い。高世栻説の「微かにその邪を泄らし、気を不足の所に移して補う」に対する、「當從」という評価も見当たらない。

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