靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

宣明五気の大概

(通行本の宣明五気篇と血気形志篇)
 宣明五気篇の分は、これはもう五行の色代表である。
 ただ、五項目づつ挙げていても、むしろ陰陽によるものと考えられるものも有る。陰病は骨に発し、陽病は血に発する。陽病は冬に発し、陰病は夏に発する。(陰病は肉に発するの項は疑問。)邪が陽に入れば狂し、陰に入れば痹となる。邪が陽に入って搏すれば癲となり、邪が陰に入って搏すれば瘖となる。陽が陰に入れば静、陰が陽に出れば怒である。春に秋のような脈であったり、夏に冬のような脈であったり、秋に春のような脈であったり、冬に夏のような脈であったりしては助からない。
 血気形志篇の方は、先ず三陰三陽の血気の多少を言い、陰と陽のいずれがそれぞれ表裏を為すかを言う。その表裏は別に常識と同じだから気にすることは無い。(表裏を言うときには手足を言う。多分、手に厥陰と言いたくなくて、心主と言うからだろう。)ただ、ここでも苦しいところが有れば、先ずその血を去って、その上で(気を)補瀉せよといっているのは面白い。また、何故だか少し間を置いて篇末に、三陰三陽を刺すについて、血気を出すとか出すべきでないとかの注意書きが有る。無論、多ければ出してかまわないし、少なければ出ないようにする。三陰三陽の血気の多少そのものの信頼性は分からない。
 次いで背兪の一法が有る。脊柱からどれだけ離れるかを言うために、両乳の間をはかって云々はどうでも良いが、上から左右に肺兪、下の左右に心兪、さらに下の左に肝兪、右に脾兪(『太素』では左右が逆?)、さらに下の左右に腎兪と言うのが面白い。左右に肝と脾を配するのと、現今の六部定位脈診で、関の左右に肝と脾を配するのは、何かしら関係するかも知れない。現在は多くが『霊枢』背腧篇のものによっているようだが、再考してみても良いかも知れない。

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