嚔
- 医経
- by shenquzhai
- 2006/04/27

黄帝曰:人之嚔者,何氣使然?嚏は、仁和寺本『太素』では右上のように書かれている。この画像自体はオリエント出版社の模写からの影印によるものだが、昨年の夏に杏雨書屋で実物を確かめてきたから間違いない。経文の二字と楊上善注の一字の間にも差は無い。
岐伯曰:陽氣和利,滿於心,出於鼻,故為嚔。補足太陽榮、眉本,一曰眉上。
嚏としたのは、直接的には『霊枢』によったのだけれど、勿論、それで問題無いだろうことは確かめている。

さて、もし底本の字形を可能な限り保存するという編集方針を採った場合、これをどのように表現するのだろう。口と庚が左右にくるのだろうが、真ん中の乚とも廴とも辶ともつかない形はどうしよう。銭超塵教授の新校正がどうするか、ちょっと楽しみである。
もう一つの問題は、榮と眉。楊上善の注に「太陽起鼻上兩箱,發於攅竹;太陽榮在通谷,足指外側本節前陷中」と言うのだから、楊上善のつもりとしては榮は滎であるし、眉は眉で良い。
ところが十二邪の篇末付近に再び「嚏補足太陽眉本」とあって、つまり足の太陽の眉本だけという可能性も否定しがたい。「榮」は単にツボの意味ということになる。『甲乙経』に「風頭痛,鼻鼽衂,眉頭痛,善嚏,目如欲脱、汗出寒熱,面赤,頰中痛,項椎不可左右顧,目系急,瘈瘲,攅竹主之」とあるが、通谷のほうは「身疼痛,善驚,互引,鼻衂,通谷主之」くらいしか見つからない。

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