靈蘭之室 茶餘酒後

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諸原所生

『太素』21諸原所生
五藏有六府六府有十二原
楊上善注:《八十難》五藏皆以第三輸為原,各二,以為十原也,又取手少陰經第三輸二,為十二原。六府皆井滎輸經四穴之後,別立一原,六府各二,為十二原。然則五藏六府有廿四原。原者,齊下腎間動氣,人之生命也,十二經之根本也,故名為原。三膲行原氣,經營五藏六府,故三膲者,原氣之別使也。行氣五藏第輸,故第三輸名原。六府以第四穴為原。夫原氣者,三膲之尊號,故三膲行原氣,止第四穴輸,名為原也。今五藏六府有十二原者,言五藏六府各有十二原也,合而言之,亦有廿四原。言六府有十二原者,後人妄加二字耳。
 八十難の一は、底本には無い。
 六府は井滎輸經四穴の後に、別に一原を立てると言いながら、「六府は第四穴を以て原と為す」と言うのはおかしい。は衍文では三の誤りではないか。
 を、缺巻覆刻では収とし、『黄帝内経太素校注』は以に似ると言うが、杏雨書屋にある原本では左上部に虫食いの痕が有るとは言え、まず間違いなく取。
 を、缺巻覆刻では故としているが、明らかに見間違い。『黄帝内経太素校注』は放としているが、杏雨書屋にある原本では上部に虫食いの痕が有る。恐らくは业の下に放で、『干禄字書』に發(厳密にはこれも下部が弓に攵)の俗とする字の弓がさらに方に変わったものだろう。
 第輸、缺巻覆刻では第一輸とするが、杏雨書屋にある原本では上部に虫食いの痕が有り、ほとんど間違いなく三。
 ここのところ、意味としては「三焦は原気をめぐらして、五蔵六府を経営するものであるから、三焦は原気の別使である。気をめぐらして五蔵では第三輸に発する、だから第三輸を原と名づける。六府では第四輸を原とする。そもそも原気というのは三焦の尊号であるから、三焦が原気をめぐらして、(六府においては)第四の穴輸に止まる、そこでそれを名づけて原とする」と言うことだろうと思う。ただ、それを表現するのにこういう書き方が相応しいのかどうか、やや不審である。文字の誤りが有るのではないか。
 楊上善は、「五藏六府有十二原」とは、五蔵と六府のそれぞれに十二原が有るという意味だと説明しており、また文に「六府有十二原」と言うのは、後人が妄りに二字を加えただけだと説明する。してみると楊上善の見ていた経文は「五藏六府六府有十二原」であった可能性が有り、妄りに加えられたと言うのは重複している「六府」二字ではないか。(実のところ、ここのところはよく分からない。)
 言を、『黄帝内経太素校注』は又言だと言うが、杏雨書屋にある原本では間違いなく文言である。

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