靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

五志穢神

五志穢神
杏雨書屋に蔵されている『太素』の巻21・27の翻字を出しましたが,中国にも熱心な読者がいて,新校正との比較検討を書き送ってくれました。その中に:
巻21諸原所生「猶汚也」の楊上善注「五志穢神,其猶汚也。」について,
穢,《新校正》作“藏”,核之卷影,作“藏”是。
というのが有りました。
ハア,貴方にはそう見えますか,としか言いようが無いけれど,仁和寺本『太素』に使われた「穢」には下のような例が有ります。「藏」の例を挙げないのは肩手落ちだけれど,左端の字とか右端の字とか,問題の字とそっくりじゃないですか。右から二番目が問題の字です。
いろんな穢
これはもう,文意において,どちらが良いかを判断するしか無い,かも。
中国の人が「藏」を主張するのは,脏=不潔である,汚い,を思い浮かべるからではないか。とすれば「五志が神を蔵=臓=脏するのは,汚すようなもの」と「五志が神を穢すのは,汚すようなもの」と,これは甲乙をつけがたい。
やっぱり,真物を見たことが有るという優位性を,尊重してもらうより無いかも。真物ではもっと確かに「穢」だったように記憶しているけれど,もう一度確かめに行くというのも難しいし……。

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