靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

ダイジョーブかオモシロイか

 日本内経医学会の会員諸氏に人気が高い『霊枢』の参考書というと、天津の故・郭靄春教授の『黄帝内経霊枢校注語訳』ということになるらしい。といっても、この会員諸氏は、「古株の」という限定つき。何故かって?この本は今やほとんど入手不能らしいから。
 で、しかたがないので、わたしなんぞは、『霊枢経校釈』を勧めている。この主編も郭教授だから、まあまあ佳いか、と。こちらなら今でも簡単に手に入る。
 『黄帝内経霊枢校注語訳』の編著と『霊枢経校釈』の主編が同じ人だから、内容も同じようなものかというと、そうはいかない。たとえば、九針十二原篇の冒頭ちかくの例の名文句は、「神乎神,客在門」と「神乎,神客在門」と。どうしてそんなことがおこるかというと、『校注語訳』は編著者の言いたい放大だけど、『校釈』のほうは主編者といえどもそう勝手なことはできない。『校釈』は中国が国家事業として、全国の古医籍専門家を総動員して、衆知を結集したシリーズで、この前には確か『訳釈』シリーズがあって、この後には『校注』シリーズがある。『黄帝内経素問校注』の主編は郭靄春教授で、『難経校注』の主編は上海の凌耀星教授。どちらも二十年ほども前の発行。なのに『霊枢校注』は未だに出ていない。きっともう出ないだろう。
 で、中国が威信をかけた『霊枢』の参考書は『霊枢経校釈』ということになりそう。だから、内容は偏らない、大丈夫なもの、のはずである。だから、最近も再版されて、容易に購入できる。ところが、内経の「古株の」会員諸氏に人気が高い『霊枢』の参考書は、『黄帝内経霊枢校注語訳』のほうである。何故か?郭教授の個性が楽しいし、面白いからである。

 ここで話はガラリと変わる。
 焼酎には甲類と乙類がある。乙類のほうは芋だの麦だのの風味が売りものだが、甲類のほうはほとんど無味だそうだ。勿論、乙類のほうがのぞましい。でも、恥ずかしながら、焼酎の飲み始めのころは、芋だの麦だのの風味がきつくて、薩摩の芋焼酎にあうサカナは、薩摩揚げくらいのもの、なんてバカなことをいっていた。最近では芋臭い芋焼酎が少なくなって、なんだか寂しい。ちょっと前まで、白波のお湯割りなんか飲んでいると、隣の席から「薩摩の生まれか?」なんて声がかかったんだが。
 大丈夫なのは無味の甲類だけど、旨いのは臭い乙類である。



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これはかなり臭い。

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