靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

炅 ふたたび

菉竹子から,『康煕字典』巳集中・火字部(筆画8·部外筆画4)に次のようにあると指摘をもらいました。
《唐韻》古迥切《集韻》畎迥切,𠀤音熲。《說文》見也。《廣韻》光也。《集韻》或作昋。 又《集韻》《類篇》𠀤俱永切,音憬。《集韻》光也,或作耿。 又《五音集韻》於警切,音影。煙出貌。 又《廣韻》古惠切。《集韻》涓惠切,𠀤音桂。《玉篇》本作炔。義同。 又姓。《廣韻》後漢太尉陳球𥓓,城陽炅橫,漢末被誅有四子。一守墳墓,姓炅。一避難徐州,姓昋。一居幽州,姓桂,一居華陽,姓炔。此四字皆古惠切。
『唐韻』古ko迥kei切『集韻』畎ken迥kei切,ならびに音熲kei。『説文』見也。『廣韻』光也。『集韻』はあるいは昋に作る。 また『集韻』『類篇』俱ku永ei切,ならびに音憬kei。『集韻』光也,あるいは耿に作る。 また『五音集韻』於wo警kei切,音影ei,煙が出るさま。 また『廣韻』古ko惠kei切,『集韻』涓ken惠kei切,ならびに音桂kei。『玉篇』はもと炔に作る。義は同じ。 また姓。『廣韻』後漢太尉陳球碑,城陽の炅橫は,漢末に誅せられ四子有り。一は墳墓を守り,炅を姓とす。一は徐州に避難し,昋を姓とす。一は幽州に居り,桂を姓とし,一は華陽に居り,炔を姓とす。この四字はみな古ko惠kei切。
神麹斎按ずるに,『康煕字典』には音「ネツ」も,義「熱也」も載ってないと思う。ただ,徐鍇の『説文』繫伝には「火に从い,日の声」とあるらしい。してみると,ジツ乃至ネツという音の「炅」字も,一応は学者の頭の隅には有ったのだろう。
帛書『老子』は,馬王堆漢墓から出た。古の楚である。戦国末の楚には,熱の意味の「炅」字が有ったらしい。それが「熱」の異体字であったのか,つまり音「ネツ」であったのか,それとも楚の方言に音「ケイ」で熱の意味の言葉があって,それを書きあらわすために「炅」を用いたのか。

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