靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

遊戯

古い友人に昭和初期の探偵小説の,衒学的な引用の解明にいそしんでいるのがいる。誤解をおそれつつも敢えていえば,たかが探偵小説ですよ。それにもうすでに数十年を費やしている。まことに遊戯人として敬服おく能わざるものがある。近ごろはさらに逞しい同好者を得て,進捗目覚ましいものがあるらしい。まことに慶賀の至りであり,羨望を禁じ得ない。
それに引き替え,私がこだわるのは『素問』『霊枢』『太素』の類で,この世界では経典として公認されたものに過ぎない。まことにいまだ事大主義の軛をのがれえず,慚愧にたえない。また遊戯人としての未熟を痛感する。
で,最近,『太素』の一紙の行数について気づいたことがある。巻21と27の調査をとおして,おおむね一紙21行と思っていたけれど,実は18行のものも25行のものもある。当時の紙漉の規格はどうなっていたんだろう,と思いはするけれど,さらに調べようとはしない。ましてや,日本の製紙の歴史を調べ尽くして回答を寄せてくれるような逞しい同好者は,出現しそうにない。

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