靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

仁和寺本なんて読めない

仁和寺本『太素』の翻字に関して,「オリジナルをどう逆さにしてみても読めない」文字をどうやって判断したのか。詰問されても困るけれど,無い知恵絞って,こじつけて,あとは知らんぷりをしています。
例えば巻二・摂生之二・順養の冒頭付近,「余聞先師有所心藏」の「所」の字は,かなり蝕剥してます。『黄帝内経太素九巻経纂録』も☐にしています。つまり江戸末期の再発見当時でさえ,抄者は判読できてません。でも,この文字は『霊枢』師伝篇では「所」です。喜多村直寛は,実物とか写真とかを見ることができませんから,「霊,☐作所」と注記するにとどめていますが,私は「所」字を入力して,説明も省いています。画像の右はここの蝕剥の文字です。左はこの先の「所」の俗字です。この程度に見える文字にたじろいでいたんでは,仁和寺本『太素』は読めません。
ここの楊注の「遂不著於方也」の「方」なんて,残っているのは上部の「亠」に相当する部分だけです。「也」なんて,左下方の縦線だけです。でも「遂不著於方也」として平然としています。文句があったら,代案を示しなさい,と開き直ってます。

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