靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

正言

『霊枢』九針十二原
 取五脉者死,取三脉者恇;奪隂者死,奪陽者狂。
『霊枢』小針解
 取五脉者死,言病在中,氣不足,但用針盡大寫其諸隂之脉也。
 取三陽之脉者恇,言盡寫三陽之氣,令病人恇然不復也。
 奪隂者死,言取尺之五里,五往者也。
 奪陽者狂,正言也。

この「正言」の意味が久しくわからないで,何か文字の誤りでも有るのではないかと思っていたけれど,今わかった。
正は「そのまんま」である。三脈とは即ち太陽、少陽、陽明の三陽脈である。陽を奪うとは,そのまんま三陽脈を取って脈気を奪うことだから,そのまんま真っ直ぐに言うとだけ注記する。
では陰を奪うとは何か。五脈は手太陰、手少陰、足太陰、足厥陰、足少陰の五陰脈ではあるけれど,乃ち五蔵の脈である。つまり陰を奪うとは,五陰脈を取って脈気を奪うというよりは,むしろ五蔵の気を奪うことを意味する。だから死ぬ。だったら,「取五藏者死」と言えばよさそうなものなのに,「取五脉者死」と言った。素直な言い方つまり「正言」ではない。だから尺の五里(=裏つまり蔵)に関わる脈を五往する(何度も取る)ようでは,命にかかわると,回りくどくあるいは丁寧に説明して言う。

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