靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

色夭面脱

『素問』玉版論要篇:
容色見上下左右,各在其要,其色見淺者,湯液主治,十曰已。其見深者,必齊主冶,二十一日已。其見大深者,醪酒主冶,百日已。色夭面脱,不治。百日盡已,脉短氣絶死,病温虚甚死。
郭靄春『黄帝内経素問校注語訳』は,王冰が「百日盡已」の下に,「色が夭でなく,面が脱しなければ,これを治すこと百日で已すことができる」と言うことから,「百日」の上に,「色不夭,面不脱」の六字を脱するのではないかと言い,不治の証が,百日を経過したら癒えるなどということが有るわけが無いから,新校正の「治療しなくても,百日たてば癒える」は誤りであると言う。
しかし,『太素』にも「色不夭,面不脱」の六字は無いのだから,増字して解釈するのには従いがたい。
この部分,『太素』楊上善注に従って解釈すれば,「色の変化が大いに深くなったら,醪酒を用いて治療しても百日かかる。それが色夭面脱となっては,もう治療できない。また,百日でことごとく癒えると言っても,脈短気絶となったり,病温が甚しくなったりしたものは助からない。」 
そのつもりで王冰の注を見直せば,「百日でことごとく癒える」と(そうは言っても)「脈短気絶となったり,病温虚甚となったりしたものは助からない」との間に,「色が夭でなく,面が脱しなければ,これを治療すること百日で癒すことができる」という注が有っても,別におかしいことは無い。
色の現れかたは,浅→深→大深→面夭(そして脱面)であって,前の三段階なら百日以内に治るけれど,それでも脉短氣絶,病温虚甚を伴ってはそうもいかない,ということだろう。

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