靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

城趾の桜

 読書会の前に近くの加納城本丸跡で、花見をしてきました。
 本丸跡といっても何にも有りません。空っぽです。もっともこれは江戸時代からすでにそうだったらしい。

 だから、この広重の浮世絵に見えるのは、藩主の御殿が在った二の丸の櫓じゃないかと思います。大名行列が通っているのは中山道で、城の北を東西に走る。それを挟んで町屋が有って、絵の地点は東の町外れなんでしょう。もう少し先から、南へ御鮨街道が走り、私の先祖の何人かはその辺りに住んでました。御鮨というのは将軍家に献上する鮎鮨です。加納城は西への備えですからね、士屋敷は専ら西に広がって、東は堀代わりの川を隔てて田んぼだったようです。
 城跡の花見は空っぽで、車は入ってこられないし、人出もそんなに無いし、何と言ってもカラオケが無いのが良いんだけれど、出店も無いからねえ、それがちょっと寂しい。
 桜の満開がまがまがしいのは、黒い幹からいきなり白っぽい花で、葉がほとんど無いからじゃないか。考えてみると曼珠沙華もそうだ。花が一斉にこちらを凝視しているように見える。

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