靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

循環

仁和寺本『太素』では,「循」と「脩」は極めて紛らわしいけれど,「循」が「脩」のようになってしまう過程の例を,永仁本『明堂』の序文の中に見つけました。「循環」だから「循」で間違いない。仁和寺本『太素』の「循」にも亻に従って「偱」と書かれているものは有る。
先ず,ノが丨に変わり,十はナに変わり,さらに目が月のように(月の末筆が大きくはねたように)書かれたら,もうこれはほとんど「脩」です。チか攵(末筆はさらに一となる)かの違いだけです。分かりますか。本当は右半上部は「脩」のほうが一画多い。本当は,ということです。実際の例ではチと書くべきところを,攵(末筆はさらに一となる)のように書いた例が多い。だから,新校正は一律に「循」の俗字と言い,時に「脩」の誤りと言うけれど,むしろ逆に,ほぼ一律に「脩」の俗字と言い,時に「循」の誤りと言ったほうがましなような気がする。

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