靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

筆の勢いで......

これは批判ではなくて,大変だよね,というお話です。『太素新校正』p.145に次のような経文が有ります。たまたまここはユニコードに有る漢字しか使ってないので,厳密にこの通りです。
故本輸者,皆因其氣之實虛疾徐以取之,是謂囙衝而寫,囙衰而補,如是者耶氣得去,真氣堅固,是謂因天之序。
で,話題にしたいのは四つ出てくる因(囙)のことです。こんなのを書き分ける意義が有りますか。それはまあ確かに,『干禄字書』に「囙因 上俗下正」とは載っています。でもこれは大の ̄/\が筆の勢いでZのようになって,ついにコになっただけのことでしょう。画像には原鈔の四つの因だけを抜き出しました。二番目なんてまさにZじゃないですか。三番目は大の上部に剥落が有るだけで,そもそも因なのかも知れない。四番目は大がナ一になっているとも言えそうで,囗の中に士あるいはいっそ匕なんて俗字を生み出しかねない。一番目だけはまあ因だろう。だから,いろんな異体字のうちのどれがここには書かれているのか?なんて決めようがない,大変だよね,と言うこと。でもね,「本」は明らかに「夲」と書かれています。全巻を通してそうだと思う。どうでもいい,とは思うけどね。

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