靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

日本針灸?

当然と言えば当然だけれど、中国には中医学に基づく中国針灸が有り、韓国には韓医学に基づく韓国針灸が有るのだそうです。それどころか、欧米にはヨーロッパ文明に裏打ちされた欧米針灸が有り、世界各地には民族や土地柄などの個性を伺わせるような世界針灸が芽生えているそうです。
そこで日本にも日本針灸の誕生が、旗揚げが望まれる。
お言葉ですが、日本針灸なんか要らない。少なくとも私には関心が無い。有るべきものは、取りあえずは『霊枢』針灸、それでは足りない部分を『素問』や『明堂』、あるいは『諸病源候論』あたりにも加勢を願って、内経系針灸を確立させたい。その後は各々が気に入った医書や経験を加味して百家の流派を立てれば良い。仲間が日本人だって、中国人だって、欧米人だってかまったことは無い。ただ、アーユルヴェーダ風針灸だとか、アラビア医学風針灸とかは、仲の良いお隣さんにはなれても、仲間ではない。
お言葉通り、日本の医学界に哲学が欠如しているのは古来のことです。かつては有ったと思っているものも実は古代中国哲学でしょう。つい先頃はヨーロッパ哲学だったかも知れない。自前の哲学って何のことでしょう、そんなもの有りましたっけ。無理に探すと新興宗教になってしまいそうなんですが。
だから、ましてや、現状の臨床各派の平均を取って「日本針灸」なんて言ってみてもしょうがない。少なくとも各派が各派の成立の歴史を互いに説明できなければ融合なんてできるわけがない。根幹をなす理論のよりどころを、きちんと説明できる流派が有るとは、今のところ思えない。「だって先生(先輩)が言ったんだもん。」

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