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こだまの世界

---倫理学者のふしぎな日記---

12月後半号

12月後半の主な話題


ご意見のある方は、kodama@socio.kyoto-u.ac.jpまたはメイルを送るまで。


12/18/96(水)

 朝。吾輩は児玉28号である。一時間半しか寝ていないのでとてもねぶい。どのくらいねぶいのかというと、まばたきをするために目を閉じるとそのまま寝てしまうので、常にいずれか一方のまぶたは閉じないように手で押さえておく必要があるくらいに、ねぶい。そもそもこんなにねぶいのは家にこもって冬眠をしていたためである。

 これから奥田君と卒論の品評会。二人とも未完成のようだが。先に二人で清水幾太郎の『論文の書き方』の読書会でもしようか。

 12月前半はたいしたことがなかったなあ。


 昼下がり。卒論品評会終わり。吉村さんに手伝ってもらう。また来週やることに。ねぶい。もう帰る。こんどは金曜日に来ます。

 卒論を10日でも18日でも書けない情けない児玉を応援してくれる少数(精鋭)の方々に感謝。ううう。


12/20/96(金)

・昼下がり・

 これからビジネスエシックス研究会。忙しい。


・夜・

 ビジ研終わり。リンリー教授との会話を掲載しておく。某助教授は必ず読まれたし。

 これからバンドの練習。忙しい。


・さらに夜・

 これからバンドの連中と夕飯。もちろん外食。忙しい。


・しつこく夜・

 誰もいない。今夜は誰も来ないのだろうか?

 ところで、去年も塾で小六国語というのを教えていたのだが、(いや、これはもう2年前の話か?二十歳を過ぎると自分の年齢さえも不確かになってくる)、小六では慣用句というのが出てくる。いや、何年生の国語でも出てくるが。

 その慣用句なのだが、国語の苦手な生徒にとってはこの手の問題はとても難しい。「〜を洗う」という問題に「手を洗う」と書いて、これでどうしていけないの?という質問をしてくる。(もちろん正解は「足を洗う」)

 昨日教えてた生徒も、これはことわざであるが、「〜人寄れば文殊の知恵」の「〜」に漢数字を入れなさいという問題に対し、「人いれば文殊の知恵」と堂々と書いてきた。「う〜ん、確かに三人以上だったら何人でも良いような気がする...」と思い、僕はこれを一応正解にしてしまった。(むちゃくちゃな教師だ--いや、ちゃんと正解も教えときました)

 さて、前置きはここまでである。問題は2年前の話である。2年前にいた、ある生徒の話である。彼は自慢じゃないが刃化だった。かなり刃化だった。特に国語は全然出来なかった。ぼくはその刃化の彼を含む生徒たちに慣用句を教えていたのだが、そこで次のような問題にぶつかった。

問い 次の「〜」に体の部分を表わす一語を漢字で書き入れなさい。

「〜」から火が出る

 もちろん正解は「顔から火が出る」である。が、さて、ここで刃化の彼がなんと答えたか?

 え、から火が出る?

 え、から火が出る?

 え、へそから火が出る?

 あまいあまい。その程度のことであればいちいちここに書くほどでもない。

 そうではなく、刃化の彼はこう書いたのである。(心の準備をしてから次に進むこと)

 ここをクリックしてね

 あ、あほかっ。「体の部分を表わす一語」とちゃんと書いてあるやんけ。それなのに、この答えである。こ、壊れてる完全に壊れてる。

 ...だが今考えてみれば、もしこの答えを冗談で書いていたのだとしたら、彼は天才であったのかもしれない、とも思う。

 その後彼はまもなくして塾から去って行ってしまった。僕のせいじゃない...と思う。


・深夜・

 今まで「からふねや」で蔵田氏、小林氏、鈴木氏、斎藤氏と漫談。文学論などなど。

 「だ・である」と「です・ます」の問題に関する追記。折衷案として「ですだ・ますだ」はどうですだ?


・もっと深夜・

 (斎藤氏から聞いたが)筒井康隆執筆再開っ。いやいや。おめでとうございます。いやいや。及ばずながら草葉の陰から応援さしてもらいます。

 ところで、『エリア88』がまた読みたい。古本で買おっかな。中3のとき読んで感動したなあ。家にほとんどそろってたのだが、知らない間に捨てられていた。他に捨てられたのは『三つ目がとおる』(『火の鳥』より好きかも)、『きわめてかもしだ』(中学生が読む本ではない--けど、いろいろとおもしろかった)、『魔界都市ハンター』(僕は一時期菊地秀行ファンだった--が、このマンガはしり切れトンボっだった気がする)などなど。世の中には、本は捨ててはいけないが、マンガは捨ててもいい、という考えを持っている人もいるようだ。


12/21/96(土)

・朝・

 おはよ。あーねむ。あー、と、冬眠したい。

 これまでのところ、卒論をです・ます調で書くことを容認する人は全くいなかったと言える。当局はこれを大学の保守性・画一性・排他性という体質を表わすものであるとほぼ断定、現在その線で捜査を進めている。

 (JIS規格じゃあるまいし...)

 加藤先生を久しぶりに拝見する。元気そうで何より。(加藤先生も、「卒論はそもそも個性を出すものではない。規格通りに書けるかどうかが問題だ」という趣旨のことを言っておられた。ううむ。やはりJISか。しようがあるまい。ここはひとつ、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、だ・である調に書き換えるか)


・昼・

 生協でマフラー・手袋を購入。ぼんやりと午前中を過ごす。

 ところで、この文学部東館の建物には、次のような注意書きがいたるところにある。

開けたら閉める!

ハトが入ります

 窓を開けっぱなしにしておくと、ハトが入ってきて難儀するため、こういう注意書きがあるのだ。言いたいことはわかるが、いつ見てもなんかまぬけで可笑しい。

 これはまだいい。許す。問題は、中央食堂の壁に貼ってある次のような注意書きである。

絶対やめて 鞄や、衣類での その席取り

あなたのその個人主義が 多くの方の迷惑を産んでいる

 ......何かが違う。ぜったいに違う。個人主義の意味が極度に歪められている。これはむしろ、いわゆる「利己主義」という語の持つ意味である。

 しかしこれも、やはりなんかまぬけで可笑しい。許す。


・夜・

 バンドの練習(4時間)終わりっ。これからバンドの忘年会っ。これでいいのかっ。ほんとにこれでいいのかっ。

 次は、(出来れば来たくないが自転車を河原町において帰るので)月曜日に来ますっ。みなさんお元気で。


12/24/96(火)

・朝・

 コンピュータ、しばらく落ちていたのではなかろうか。僕がやったのではない。念のため。

 電車で聞いた馬鹿げた話を読んでいただきたい。ただし、例のペルーの事件についての不謹慎な話なので(僕がしたわけではないが)、僕に非難の投書を送るつもりを万が一でも持っている人は、これを読んではならない。

 土曜日は三条で飲み食いした後、ボーリング。自慢じゃないが僕はヘタクソである。球威がないのでピンが倒れない。月曜日に来なかったのは、祝日だと気付いたため。祝日には自転車撤去されない。

 ところで、リンリー教授が今月号の「京大教員新聞」に「エログロ学者のマジカル漫画狂」というエッセイを書いていることをご存知であろうか。前に会ったときにリンリー教授が、一カ月経ったらホームページに載せておいてくれ、と僕に言っていたので、後日ここにも掲載することにする。

 卒論は進んでいる、と言えなくもないかも知れない。現在本文一万字余り、注が二千字強である。現在児玉69号が執筆中。


・夕方・

 今日は一日中加藤研究室でヘーゲリアンズの集会があったため、午前中はそしらぬ顔でこの部屋に紛れ込んでいたが、午後は倫理研究室で勉強していた。

 三回生の林君の指摘で、Harrison RossのBenthamの存在を知り、哲閲で借り出す。洋書は一度に五冊しか借りられないはずだったのだが、それは建前上のことらしく、六冊目も借り出せた。ま、読めるかどうかわからんが。

 というわけで今日はそろそろ実家に帰らせてもらいます。

 (日本の論点97をちょっと読んだが、やはり茶髪論争などということをやっていたのは毎日新聞だけであったらしい。夫婦別姓は来年も燃え上がりそうなので、来年存分に書くことにする)


12/25/96(水)

・朝・

 昨日は世間ではクリスマスイブだと言うので、何か悪いことが起きるのではないかと不安に思っていたら、案の定災難にあった。

 高槻に戻って家の扉の前に立ってから、家の鍵を研究室に置いてきたことを思い出したのである。かぎっ子ブルーズ。家には誰もいないので、しかたないから近くのお好み焼きやさんで時間をつぶして、それから友達のうちで2時間ほどお世話になり、11時前にやっと帰宅できた。自殺しようかと思っちゃったよ、ほんと。

 鍵を一セット(自転車の鍵以外のすべての鍵がまとめてある)加藤研究室に置いてきたので、今日もこの部屋(加藤研究室)に入れないんじゃないかと思ってびくびくしながらここまで来たのだが、幸い中哲の人が倫理・中哲研究室(一つの研究室を共有しているのである)にいたので事なきを得た。奥田君に泣きつかずに済んだ。

 今日はまた卒論の品評会。先週から全然進んでないんだけど...。


・夜・

 幸か不幸か今日の卒論品評会は奥田君のみで終わってしまった。蔵田さんありがとうございます。続きは金曜日の午後にすることになった。今日はもう帰る。


12/28/96(金)

・昼過ぎ・

 蔵田氏、奥田君と卒論合評会中。


・夜・

 ぼくの卒論合評会は5時間ほど続いた。蔵田さん、奥田君超さんくす。蔵田氏とコレクションで夕食。

 江口さんが今夜つきあってくれるので続・卒論合評会。

 最近太ったかと思って体重計に乗ったら、ほんとに2キロほど太ってた。食っちゃ寝食っちゃ寝せずにちっとは運動せねば。


・さらに夜・

 卒論はしばらく寝かしておくとよい、といううわさを聞いた。

 ウェイター「3年ものの卒論ですね、かしこまりました」

 カスタマー「う〜ん、まろやか。さすが3年ものは違うな」

 ところで、あのペルーの話を塾の中3の生徒にしたら、ある女の子が、「スマップを送ればいいんちゃう」と言っていた。一瞬で全滅するってば。


・もっと夜・

 江口さんを含め、皆さんにけちょんけちょんに言われてすでにサンドバック状態。さ、さんくす。(バタッ)


12/29/96(土)

・早朝・

 おはようございます。ぼくは工学部8号である。生まれ変わってがんばるのである。


・朝・

 工学部8号敢えなく挫折。昇天。

 (書けねぇ、おれには書けねぇ)

 自宅療養することに決定。帰ります。今年はもう来ないかな?

 (とにかく一気呵成に書く必要がある)


 ところでラファエロ前派っていいですよね。やっぱロセッティですよね。こういうのとかビアズリーとかミュシャとかが好きだといったら、ミーハーだと言われたことがある。そういえば確かにみんなマンガ絵である。キリコは?あれもマンガ絵か。

 みい-はあ(俗語)「みいちゃんはあちゃんの略」

 みいちゃん-はあちゃん(俗語)流行に影響されやすく、スターなどの動静に夢中になるような人たち。とくに若い女性に多く、女性は「み」「は」で始まる名前が多いことからといわれる。みいはあ。

 あえて弁明するなら、ぼくは流行に影響されているのではなく、ただ単 にマンガ絵が好きなだけなのであるっ。難解な文章、難解な哲学、難解な音楽、 難解な絵画、断固反対っ。(日本単細胞学会96年12月宣言)


 ところで、死刑に興味のある諸君は、昨夜未明にリンクを貼ったアムネ スティ・インターナショナルの、 死刑の廃止に関するところを読んでいただきたい。日本語なので怖がらな くてよろしい。


Satoshi Kodama
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Last modified: Thu Jan 21 01:40:54 JST 1999