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こだまの世界

2004年7月中旬号

正直なところ、ソークラテース、私は大いに愛智学(哲学) にいそしんでいるつもりでした。そしてこの学問こそ、 高雅有徳に達せんことを望む人間に、必須の事物をもっともよく教えて くれるものと、考えていたのです。 ところが、こう何もかもわからなくて、せっかく勉強したのに、 何よりも知って居るべきことをたずねられて、 少しも答えができず、自分ながら情けなくなっているのを、 あなたは何とお思いになるでしょう、しかもこの道よりほかに自分を 改良する道がないのです。

---エウテュデーモス

哲学のうちで第一の、そして一番必要な部分は、 例えば嘘をつくなというような、原理の実行に関する部分である。 第二の部分はその証明に関する部分で、 例えばどこからして嘘はつくべきでないかというようなものである。 第三はそれら自身に関する確実にして明瞭に説明する部分で、 例えばこれが証明であるのはどこからしてであるか、 一体証明とは何であるか、帰結とは何であるか、 矛盾とは何か、真とは何か、偽とは何かという如きである。 (中略) 最も必要にして、そこにとどまるべきものは第一の部分だ。 だがわれわれはあべこべなことをしている。 なぜかというとわれわれは第三の部分の中で時を費しているし、 またわれわれは全くそれに夢中になっているからだ。 だがわれわれは第一のものをまるでおろそかにしている。 だからわれわれは嘘はいうけれども、 嘘をつくべきでないという証明は準備ができてるわけなのだ。

---エピクテートス

毎日同じ主義綱領を語ったり、聴いたり、 同時に日常底に用いたりするのでなければ、 人は容易にその主義綱領を我物となし得るものではないということを知らねば ならない。

---エピクテートス


主な話題


11/Jul/2004 (Sunday/dimanche/Sonntag)

真夜中

今日やったこと。

ほんと、もっともっと勉強しないと。 会議室で議論ばかりしていないで、「現場」も見に行かないとなあ。

旅行中にいるときにノートパソコンの調子が少しおかしくなる。 モニタのあたりからピーという小さな音が継続的に出るようになり、 ちょっと気になるので修理に出すか。


12/Jul/2004 (Monday/lundi/Montag)

お昼すぎ

朝9時に起きるはずが…寝坊してしまう。 Procrastination kills. 今日もがんばろ。


13/Jul/2004 (Tuesday/mardi/Dienstag)

某氏の助言に従い、二度寝防止のために起きてすぐにテレビを付ける。 たしかに効きめがあったが、あまり長いあいだの効果は期待できないかもしれない。 洗濯。

昨日のこと。

今日のこと。

これからベンタムの勉強をしなければ。しかし、眠い…。

先日気付いたが、`Natural Lawson'というのは、「自然法息子」と読めるな…。 道理でオレに対する嫌がらせが多いはずだ。

あれ、もう梅雨が明けたのか。夏だ。


14/Jul/2004 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

真夜中 (午前)

昨夜は、ちょっと某所で寝たあと、ベンタムの勉強。 が、少し始めたところで、某生命倫理専門調査会の傍聴から某氏が戻ってきたので、 一緒に焼酎を飲んでしまう。それからまた少し勉強。 ベンタムのPoor Lawsもちゃんと読まなければならない。 毎日こつこつ勉強すること。

真夜中2 (午前)

帰って寝なければ。I've got my freedom, but I don't have much time...

いや、それほど自由もないか。帰ったらストーンズでも聞こう。

お昼すぎ

なんとか朝に起きて大学へ。朝の勉強会に出席。

お昼、某氏らとイタリア料理屋。ダメ。気分悪くなる。

ついでにみずほ銀行に行って、 ボロボロのキャッシュカードを交換してもらおうとしたが、 3階に行かされたり2階に行かされたり、 また2階に行ったら行ったで、 受付の女性の言っていることと手続をする女性の言っていることが 違っていたりして、書類も書いたが結局徒労に終わってしまった。 良い機会なので、近いうちにみずほは解約してしまおう。

昼下がり

某所で仮眠。復活。

自己決定権について少し

小松美彦氏の『自己決定権は幻想である』を少し読む。 骨のある保守派の議論を展開している。 以下は、第一章にある自己決定権批判の四つの根拠。

  1. 人が生きていくすべての場面において、 個人が何かを決めるということが、 個人の問題にとどまることなど、決してない。(36頁)
    たとえば安楽死の決定。
  2. ナチスの安楽死政策も、自己決定権という美名のもとで行なわれた。 (37-40頁)
  3. 自己決定権は他者同士のコミュニケーションを遮断・排除する道具 として機能する危惧がある。「わがまま」を保証してどうしようという のか。(40頁)
  4. 死は個人の所有物ではないのだから、死を自己決定することはできない。 (44-46頁)

自己決定権そのものの批判というよりも、 「死の自己決定権」に対する批判なのだが、 自己決定権に対する一般的批判と捉えて、言い換えると、 次の二つになる。

  1. 個人によるすべての決定は、必然的に他の人にも影響を与える。 しかるに、他の人にも影響を与えるのであれば、 彼らにも決定権を与えるべきである。 したがって、自分一人で決定を行なうことはできない。
  2. 自己決定権を認めると、国家あるいは個人によって、 望ましくない用いられ方がなされる場合がある。 したがって、自己決定権は認めるべきではない。

先に(2)を考えてみる。たしかに加藤尚武の言う「愚行権」は 批判者に言わせれば「わがまま権」であり、 ときに決定をした当の個人にとっても、 まわりの連中にとっても大きな害悪をもたらすこともありえる。 しかし、何ごとにも弊害はあるものであり、 弊害だけを虫眼鏡で拡大して強調するとバランスを逸した議論になるので、 良い面と悪い面を考慮する必要がある。 たとえば、「じゃあ、自己決定権を排して皆で決めるというんですか。 そしたら結局は全体主義に陥ってしまうでしょうが。 あんたは戦中の日本のように国民が国家に動員されることになってもいいんですか」 というのが偏っているのと同じ。 とくに小松氏のナチスの議論はすべり坂論法であることに注意せよ。

また、自己決定権を「わがまま権」と捉え、 「他人に口を挟ませない権利」と理解するのは、 ミルの『自由論』の時代からある批判だが、 自己決定権の批判者だけでなく、 おそらくは一部の擁護者も同様に犯している誤解である。 たとえば米国の中絶権はプライバシー権であるが、 国家が強制的に介入できない「プライベート」な領域だからといって、 友人や家族が中絶をすべきかどうかについて意見も議論もできない 領域だと考えるのは誤りである。 自律を尊重するというのは、「介入しない」という消極的側面だけではなく、 「適切な情報を与え、本人の価値観にそった決定を助ける」 という積極的な側面もある。 このことはinformed consentについても言える。 「自分で決めることを『尊重』する」ということの意味をしっかり 押さえておかなければ、たしかに保守派の「わがまま」批判が 当たってしまうので、気をつけなければならない。

(1)についてだが、 小松氏は安楽死の決定が、まわりの多くの人に影響を与えると述べてい るが(45頁)、それゆえに安楽死に反対するなら、 結婚も引越しも職業の選択も、 みなの同意を取らなければできなくなってしまう(背理法)。

しかし、結婚や引越しについては 「当人が決めたこと、つまり当人の自由を尊重する」 という合意があらかじめ成立していると言われるかもしれない。 つまり、結婚や引越しについては、 社会があらかじめ自己決定権を尊重する旨を記した「免許証」 を発行しているというわけだ。 だが、だとすれば、安楽死に関しても、同じことが言えるはずである。 すなわち、必要なのは 「安楽死は、他人に影響を及ぼすが、 それでも当人の決定によって行なうことを社会的な合意として認め、 『免許証』を発行した方がよいかどうか」を議論することであり、 「安楽死は、他人に影響を及ぼすがゆえに、 『免許証』は発行できない」というのはおかしい。

この議論には、「社会的合意」をどのようにして決めるかとか、 このように議論を進めれば、 結局は社会的合意は成り立たないので、 当人の自己決定に任せるという結着を見ることしかできないのではないか、 という問題もあるが、それについてはまたいずれ。

ご批判請う。

真夜中

夕方、ジム。体重が62.4キロになっていたのでびびる。 運動後約10分後の血圧、上が122で下が72、脈拍が109。

そのあと、教室の納涼会(飲み会)に参加。 ビール、日本酒を飲む。

さらに、二次会でカラオケ。 一曲歌わされる。

二次会は適当に抜け出し、 某氏らと某所で飲む。 ウツの話など。ここでも焼酎を飲んだりして、かなり酔っ払う。


15/Jul/2004 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

昨夜は少し早目に寝て、さきほど起きる。洗濯。

お昼すぎ

お昼前に大学に来て勉強をはじめたが、眠くなり寝てしまう。 お昼に郵便局に行くついでに、某所で鰻丼を食べる。

なんか頭が痛くなってきた。二日酔いかな。朝はお腹も下したし、 どうも体調がよくないようだ。

今日は職場でてんぱってる人が多い。一人で真面目に勉強していよう。

昼下がり

ベンタムの勉強。しかし、調子が悪くてまったく集中できず。 時間の無駄。別のことをやるべきか。

ちょっと着替えに帰宅する。服がないので、明日にでも買いに行こう。

どうでもいいが、クローニングには「治療目的」のものと「生殖目的」のものが あるのはご存知の通りだと思う。それを念頭に入れると、 先日の新聞の見出しで、「ジェンキンズ氏、治療目的で来日」というのは なんとなくおもしろい。ジェンキンズ氏、生殖目的では来日できないのかな、とか。


16/Jul/2004 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

昨日のこと。

さて、今日はあんまり勉強しなかったので、明日もがんばらなきゃ。 なるべく関心のある勉強をすること。さもなければ集中できないので。

お昼前

研究日。なかなか起きられず。Procrastination kills. がんばれ。

昼下がり

お昼、後楽園の方でちょっと服の買物。収穫はすこし。一人では服を買えず、 二人で行くと気に入らないものを買ってしまう。服を買う訓練をしなければ。

T.REXが急に聞きたくなったので、部屋でCDを探し出してから大学へ。 ちょっと勉強しよう。

`Back to Basics'(基本に戻れ)という言葉をふと思い出す。 英国労働党の最近のスローガンだったか。


17/Jul/2004 (Saturday/samedi/Sonnabend)

真夜中 (午前)

昨日のこと。

真夜中2 (午前)

新聞。もう寝よ。

Don't it always seem to go, that you don't know what you got till it's gone? (いっつもそうだと思わない? あるものの大切さは、 それを失くしてみるまで気づかないって)

あれ、これも「倫理は欠如態」というのと同じか。

そういえば、ケイティ・メリュアがBBC Radio 2にちょっと出演してた。 米国で初ライブをしたときに付けていたブラがきつくて、 緊張していたせいもあってうまく息継ぎができなくなり、 `Bloody bra!'と心の中で呪ったという笑い話をしていた。 米国でもヒットするといいが。

お昼前

さっき起きた。ちょっと勉強。もう行かねば。

Cold turkey, has got me, on the run.

真夜中

今日のこと。


18/Jul/2004 (Sunday/dimanche/Sonntag)

お昼

う、寝すぎた。


19/Jul/2004 (Monday/lundi/Montag)

早朝

昨日のこと。

人生を無駄遣いしている、とつくづく思う。 人生70年と言っても、その3分の1(以上)は寝ているわけだし、 ほんとの意味で「生きている」と言える時間となるともっと短くなる。 それを無限の時間があるかのように生きているのは、 ほんとにprudenceが足りない。

「しかし、人生の大切さに気付くのは、たいていマンガ喫茶に行ったときというのは、 どういうことだ」

「しかたないでしょう。普段の人生があまりに退屈で刺激がないんだから」

「やはり、間違った人生を歩んどるんじゃないのかね」

「いや、それは幻想です。幻想です。 幻想にちがいありません。とにかく、この道をまっすぐいかないといけないんです。 デカルトが言うように、森で迷ったらひたすらまっすぐ歩くべきなんです」

「そのわりにはフラフラ歩いとるようだがね。 まるでお使いのために町まで来たことを数分おきに忘れている子どものような」

「虻が必要なんです。毎日チクリと刺してくれる虻が」

「まだそれが見出せないうちは、フラフラ歩きつづけるんだろうな、君は。 人生の目的もわからず、何か見つけたと思ってもすぐに忘れてしまい、 気付いたときには日は既に西に傾いていることだろう」

お昼

やっと起きる。

先日、 UNDPの人間開発報告書2004年版が出た。 今年のテーマは文化の多元性のようだ。 この報告書は毎年気合いが入っているので、目を通しておく必要がある。

夕方

お昼すぎ、喫茶店に行き、新聞を少し読む。

昼下がり、大学に来てベンタムの勉強を始めるが、 たちまち眠くなり、某所でしばらく寝てしまう。 さきほど起きたので勉強を再開したが、今度は腹が減ってきた。 邪念というか、生理的欲求に応えるのはたいへんだ。

某氏からメール。某仕事を引き受けてしまう。ちゃんとやろう。

そういえば、 喫茶店で浴衣の女性を見かけたが、今日はどこか近くで祭りがあるのかな?


20/Jul/2004 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

昨日の夜は某氏らと研究室で夕食を食べ、 うたた寝しながら夜中まで資源配分の勉強。 そのあと、マンガ喫茶で『20世紀少年』を16巻まで読んでから帰宅。

明日からまた仕事なのでもう寝よう。

お昼前

なんとか朝起きて大学へ。

真夜中

今日やったこと。今日の東京は39.5度を記録したらしい。道理で暑いはずだ。

眠いが、もうちょっとだけ勉強するか…。


何か一言

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sun Aug 22 19:55:00 JST 2004