5月中旬号 / 6月上旬号 / 最新号

こだまの世界

2003年5月下旬号

「中国がSARSで苦しんでいるなか、 自分のことだけで右往左往し、企業としての対応が定まらない日系企業が多い。 そういう姿を中国人は見ている。 中国の苦しみは遅かれ早かれ、日本にも跳ね返ってくる。 中国のために何ができるのか。日本人も真剣に考えるときではないか」

---北京在住のある日系企業駐在員、産経2003年5月22日26面 「開龍--中国の大地に挑む--3」

たしかに父は、怒りっぽいところもありましたし、 突発的に激怒することさえありました。 しかし、父は優しく辛抱強いときもありました。 とくに、相手が真剣に自分の意見を明確にしようとし、 わかっていないのにわかったふりをしているのではないと思ったときには、 そうでした。わたしはこれからもずっと、 父の声を耳にすることでしょう--- 「おまえは自分の言っていることを本当に理解しているのか」と尋ねる父の声を。

---John Hare, R.M. Hare's son


主な話題


物欲リスト


21/May/2003 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

真夜中 (午前)

Companion to Contemporary Political Philosophyに収録されている、 Richard Tuckの政治哲学における歴史の意義についての論文を読む。

前半は、 (1)効用の個人間比較についての批判、(2)パレートの登場、 (3)アローの登場、新古典派経済学の党派性の露見、(4)ロールズ登場、 などについて論じ、 なぜ1870-1970年のあいだ、政治哲学が不在だったかを説明。

後半は、スキナーやダンやポーコックが、 政治思想史の方法論を刷新したという話。 ロックの『統治論』のような古典から「永遠普遍の真理」を得ようとするのではなく、 これらの古典を名誉革命やフランス革命と同列の「歴史的行為」と捉え、 その思想が与えた影響や、その思想を生み出した時代背景を緻密に考証するという より歴史学的なアプローチを主張したようだ。 こういうアプローチからすると、「ベンタム哲学の現代的意義」 なんて邪道きわまりないように思えるが、 しかしその一方で、スキナーのようにリベラリズムとコミュニタリアニズムの 現代の対立を解消する第三の道としてマキャベリの共和主義を提起したりもしている ので、なんだか今ひとつわからない。

要するに、現代の思想的対立を、 過去の思想をよく研究することによって解決しようとするわけか。 しかし、なぜ現代の問題を解決するのにあえて思想史的研究をするのか。 起源を辿れば問題は解決するのか。 あるいは歴史の中に問題解決のヒントが隠れているのか。 リベラリズムとコミュニタリアニズムの対立を解消するために、 あえてマキャベリを持ってくる意味はあるのか。 このあたり、もっと自覚的に考えてみる必要がある。

「なぜベンタムの代議制民主主義論について研究するのか」

「意味なんてない。やりたいからやるだけだっ。うおー」

じゃダメだよなあ、やっぱり。

真夜中2 (午前)

さらに読書。 次は同書所収のRobert Brownの政治哲学に対する社会学の貢献について読み始めるが、 これは今いち。おもしろくないと読むのが億劫になるので、飛ばしてしまうか。

お昼

遅寝遅起き。朝食。

ひさしぶりに天気が良い。面倒がらずに布団を干そう。

新聞。米国の女性プロゴルファーが男性のトーナメントに出場するというので 話題になっているそうだ。 否定的なコメントとして日本人女性プロゴルファーのコメントもいくつか出ているが、 藤井かすみという選手は「男子なら男子のプライドがある。 私が小学生とやって負けたら恥ずかしく思う。それと同じこと」 と述べているらしい(「"嵐"呼ぶ女王の冒険」産経本日付3面)。 男性=大人、女性=子供という図式を明言しているのがすごい。

お昼すぎ

洗濯もする。

東ティモール独立1周年。しかし、国づくりはまだまだたいへんだそうだ。 失業率は80%というとんでもないことになっているらしい。

スタバ赤字転落。いや、それだけ。

昼下がり

アマゾンからモンティパイソンのDVD (Vol. 5)が届く。

カレー。

夕方

眠かったので風呂に入って休息。

夕方、某東急ストアまで買物に行く。

ちょっとギターを弾いてみたり。

真夜中

カレーを全部食べる。ぼーっとしているとこんな時間になってしまう。


22/May/2003 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

早寝早起き。朝食。散歩。

心配だった庭の草の山を処分する。 やはり、一部の草はすでに土になりはじめていた。 全部集めると大きなゴミ袋にいっぱいになった。 マルムシなどの虫もけっこうゴミ袋に入ってしまったかもしれない。 すまん。

Badly Drawn Boyのライブセッション。 いわゆるLive at BBCというやつだ。 `You Were Right'という曲が名曲だと思う。

毎日新聞(アンマン空港爆発事件)に続き、朝日新聞にも醜聞 (曽我ひとみさんの家族の北朝鮮の住所盗み見事件)。 産経抄は高らかに笑っている。しかし、明日は我が身かも。

首が凝る。机に向かって座っているときの姿勢が悪いようだが、 どうしたらいいのかわからず。ちょっとググって調べてみる。 背もたれを使うと良いそうだ。

お昼すぎ

新聞を読んでからちょっと寝てしまう。

昼下がり

近くのスーパーで買物を済ませたあと、 大学に来てちょっと作業(旅費申請)。

夕方

研究室の一階下にある社会科学用の図書室を初めて訪問し、 けっこう便利なことがわかる。雑誌は限られているが (EthicsThe Journal of Philosophyは 個人研究室にある…)、 コピー機も近いし、利用させてもらおう。

夕方2

「ベンサムは設計主義者か?」を読む。 ベンタムをゴリゴリの合理主義者ではなく、 バーク的な「理性懐疑、偏見尊重」型思想家と見るべきだという主張。

ベンタムがウィグと同様に所有権の安全を重視し、 消極的自由の保障を政府の大きな役割と考えていたという点と、 彼は世論を考慮した漸進的な改革者だったという点は同意するが、 しかし、「設計主義批判」や「偏見」についての定義があいまいだと思う。 まず、ベンタムの自然権論批判を設計主義批判と呼んでいるふしがある。 快楽計算が不確実であることを認めていた点や、 帰結を考慮せずに改革・革命を主張する自然権思想を批判していた点をもって、 バークやハイエクと同様の「理性に対する懐疑」を共有していたとは言えない。 ベンタムを(ハイエクの言うような)設計主義者でないと言うのであれば、 コモンローを廃止して法典化を主張した点や、 混合政体ではなく代議制民主主義政体を主張した憲法典を主張した点を どう理解すればいいのかを提示すべきだろう。

また、「偏見」も「習俗」や「慣習」全体を含む非常に広い意味で使われている。 この広義の意味でならば、ある程度「偏見」を考慮に入れて当然だろう。 しかし、習俗や慣習をベンタムが尊重するのは、それ自体で価値があるからとか、 またその不合理さのゆえだとかではなく、それが有益だからか、 あるいは廃止した場合の不利益がそのまま継続した場合の利益を上まわるからだろう。 これは『統治論断片』の「いつ政府に不服従すべきか」という問いに対する 答えと同じだ。

というわけで、全体的には納得しなかったが、参考になる点が多くあった。 とくに「立法問題における場所と時間の影響」は精読すべきであることを知った。

帰宅。海親子丼。


23/May/2003 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

いつのまにかこんな時間。

早寝早起き。朝食。散歩。

エジンバラにいる友人からメール。11月に結婚するらしい。お幸せに。

朝2

そろそろ行かねば。

A Companion to Contemporary Political Philosophy所収の Geoffrey Brennanの論文(「経済学の貢献」)、おもしろい。 いろいろ蒙を啓かれた。勉強すべきことはまだまだ山積みだ。

お昼すぎ

新幹線にて。

近くの郵便局に寄ったあと、電車で新横浜へ。 今回は遅刻することなく、予定通りのひかりに乗る。けっこう混んでいる。

車内では眠るつもりだったが、ずっと新聞を読んでしまう。 大教大付属池田小の児童殺傷事件に関して、 検察側論告要旨が掲載されていたので、 勉強がてら読んでみる。何の落度もなく、いきなり刃物を突き刺されて 死傷した先生や児童はほんとに気の毒。 ただ、この論告要旨には倫理学的に興味深いことが書かれていたので、 不謹慎かもしれないがちょっとメモ的なコメントをしておく。

[責任能力に関して]
被告は犯行に及ぶまで、多くの病院で多数の医師から診察を受け、 一部の担当医は統合失調症の診断病名を付けていた。 しかし、疑いがあるとの暫定的な診断にすぎないものであったり、…、 薬を投与した医師が診療報酬の支払いを得るため診断病名を付けたり したものであって、いずれも明確な根拠はなかった。 (産経本日付29面、強調はこだまによる)

う〜ん、論告ではこんなことが堂々と言われているのか。 いいかげんな診察をしている医師の責任は問われないのだろうか?

[犯行の経緯・動機に関して]
事件は、自己の生活に行き詰まりを感じ、 自暴自棄に陥った被告が、多くの者に自己と同じ苦しみを与えて社会に対する 恨みを晴らそうとして敢行した。 そもそも自暴自棄になったこと自体、自業自得で、 酌量の余地はない。原因はすべて被告自身の生活態度や性格に起因する。 (同上)

極刑を請求しているから、このぐらいの強い主張を行なう必要があるものと 想像されるが、それにしてもまったく環境に起因する原因に言及せず、 すべて本人の性格や生き方の問題だ、とするのはすごい。 オーウェン先生だったらなんと言うのだろうか。 こういう記事を読むと、 自由意志論とか、 環境決定論とか真剣に勉強しないといけないという気になるな。 責任の軽減についてのベンタムの見解もよく勉強しよう。

昼下がり

ひさしぶりに京都へ。2月はじめに引越して以来だから、 ほぼ4ヶ月ぶりか。

帰りの特急券を買ってから出発しかけのバスに乗る。 下車時に運賃を払うバスの良いところは、 お金を事前に用意している必要がないこと。 この下車時が乗車時かっていうのは、 日本の東と西で違うのだろうか。 先払いは客を信用しない都市、後払いは客を信用する都市という違いか。 あ、それともあれか、運賃が均一ではなくて 途中で上がっていくような路線があるところは 自然と後払いということになるのだろうか。

河原町通りを北上。気付いたこと。 湿度が高い。神社仏閣が多い。 四条河原町はパチンコ屋が多くてけばけばしい。

さらに北上。三条河原町、京都市役所、御池、丸太町、道が細くなって荒神口、 中古楽器屋、府立医大病院、河原町今出川、人と自転車が憩う鴨川 (ニュージーランドは人よりも羊の方が多いそうだが、 京都は人口よりも自転車の台数の方が多い…気がする)、…。

なんて書いていると、百万遍に着いたので、下車。茶色い看板のマクドに入ろうと 思ったが、時間がなかったので銀行に立寄って某研究室へ。ここも変わっていない (あたりまえだが)。某秘書さんに借金を返済して、一服し、 中央食堂でパンを購入して某応用倫理の授業に出席。狐の嫁入り雨が降り出す。

夕方

動物保護の話。雨止む。

夕方2

ね、眠い。

真夜中

夕方から夜まで、某所で飲み会。 ごちそうになってしまう。感謝。

出町からてくてく歩いてホテルへ。 もう寝て、朝早めに起きて勉強しよう。

プリペイド携帯が受信もできなくなっていて困った。 東京に戻ったらPHSか携帯に加入しよう。


24/May/2003 (Saturday/samedi/Sonnabend)

お昼

朝は早起きできず。

チェックアウトして、某同志社で開かれている某学会に参加する。 ミル、ランゲについての発表を聞く。

真夜中

お昼はモスバーガーで買い、某氏らと同志社キャンパスで食事。 そのあと、まじめに学会に出る。 夜も夕食を食べたあと、懇親会などには出ず、ミル研究会に出席。 めずらしく超まじめだ。

研究会のあと、某氏と某所で食事をしたあと、 三条まで歩いて行き、マンガ喫茶へ。


25/May/2003 (Sunday/dimanche/Sonntag)

マンガ喫茶で朝までかかり、 『ブラックジャックによろしく』、 『BM[ネクタール]』(全巻)、『あずみ』、『ヨリが跳ぶ』を読む。

完全に徹夜してしまったので、 今出川河原町の鴨川岸に行き、少し寝ようとするが、 芝生の上で寝ているとハトが近寄ってきたり、 小雨が降ってきたりするので、そこで寝るのは断念。 ふらふら歩いて御所に行き、 警察の目を気にしながらベンチに身を横たえる。 小鳥のさえずりと木洩れ日という牧歌的な条件が揃い、 うとうとしはじめたところ、 ベンチからボトリと落ちてしまい、目覚める。

そんなことをやっていたら学会のはじまる時間になったので、 大学に来る。今日もまじめに参加中。 学会にこんなにまじめに出るなんて、はじめてかもしれない。 ついにひきこもり卒業か。

昼下がり

午前中の一つ目の発表は最後まで聞き、質問もできたが、 二つ目は爆睡。お昼をカレー屋で食べたあと、 午後のシンポジウムでも最初の2時間は爆睡。 おでこに赤いアザを作ってしまう。 う〜ん、何をしに来てるんだか…。

夕方

シンポジウムの後半は完全に内職。勉強は進んだが、これでは学会に出ている 意味がない…。

夜中

さきほど帰宅。帰りの新幹線の中でも爆睡。

こっちは涼しいな。

小さな中国のお針子』、 Guardian Weeklyに載っていた映画評を読むと たいへんおもしろそうなので、 終わる前に観に行こう。


26/May/2003 (Monday/lundi/Montag)

早寝早起き。首が痛い。朝食、散歩。 留守のあいだにたまっていた新聞を読まねば。

先日のアルジェリアの地震では2000人以上の死者が出たとのこと (BBC News)。合掌。

朝2

楽天ショップで本棚を三つ注文する。

お昼

新聞を読んでいるともうお昼。

夕方

ちょっと昼寝をするともう夕方。寝すぎた。

このダチョウの写真、 おもしろい(拡大写真も見れる)。

夕方2

新聞代を払う。

昨日の新聞の正論「フェミニズムは誰のためのもの」(和田秀樹) についてちょっと考える。 この人の主張は要するに、「フェミニズム運動によって、労働力の余剰が生じ、 その結果、男性の収入が減るため、 働きたくない専業主婦も働かざるを得ない状況になるという弊害が生じる」 ということだ。 議論は次のような構造と思われる。

  1. 米国のフェミニズム運動→大量の女性が労働市場に流入
  2. 1の結果、労働力の買い手市場が出現→労働賃金の値崩れが発生
  3. 2の結果、男性一人では家計を支えることができなくなったため、 女性がいやがおうでも働かざるを得なくなった。
  4. 3の結果、中流階級の崩壊が起こり、共稼ぎ家庭が増え、少年犯罪が増えた。
  5. 日本の男女共同参画社会でも同じことが起きるのではないか。 フェミニズム運動は「女性はだれでも男性と同じように働きたいはずだ」 と女性を一括りにして考えている(専業主婦をしたい女性だっているはずだ)。 フェミニズムによって得をするのは一握りの優秀な女性だけだ。

フェミニズム運動によって労働賃金の値崩れが発生したというのは 非常に怪しい話だが、いちおう議論のためにこれが正しいとしておこう。 しかし、「女性が男性と平等に扱われるようになった結果、 男性労働力の市場価値が下がった」からといって、 「女性と男性を平等に扱うべきではない(なかった)」と言うべきだろうか。 むしろ、労働市場から女性を排除することによって 男性は自己の市場価値を不当に高くしていたと言うべきなの ではないか。 これが「黒人が白人と平等に扱われるようになった結果、 白人労働力の市場価値が下がった」という主張だったらどうだろうか?

また、短期的には男女平等という価値を優先することによって経済不況が起きる (その結果兼業主婦(?)が増えて、さらにその結果少年犯罪が増える) ということが起きるかもしれないが、 女性の平等な社会参加が長期的にみて経済にとって有益でないとはかぎらない。 女性の労働価値が正しく評価され、 能力が生かされることによって日本の国際競争力が増し、 さらに男女差別がより強い国から女性の労働力が日本に流入するとすれば、 結果的に女性の平等な社会参加が日本経済の底上げにつながるかもしれない。 そうすれば、専業主婦(or主夫)をどうしてもしたい人は、 することができるようになるだろう。

まだいくつか書くべきことがあるかもしれないが、このぐらいにしておこう。

わ、地震。東北地方で震度6弱だそうだ。大丈夫か。

地震の記事をいろいろ見ていて、勉強できず。やばい。

真夜中

晩ごはん。餃子、サラダ、みそ汁、その他。


27/May/2003 (Tuesday/mardi/Dienstag)

早寝早起き。朝食、散歩、新聞。昨晩は少し雨が降ったようだ。 首は少しましになった。

お昼前

そうめん。ベンタムの勉強。

Utilitasが届く(Vol. 14, No. 3 2002 November)。 ヘアの自伝とか息子とシンガーによる追悼講演とか。

お昼すぎ

シンガーはヘアの三大業績として、 (1)道徳の議論に理性の役割を認めたこと(普遍化可能性)、 (2)直観レベルと批判レベルを区別したこと(二層理論)、 (3)応用倫理学への道を切り開いたこと、を挙げているようだ。

昼下がり

少し寝てた。風呂。さて、行かねば。

夕方、新宿へ。某ビックカメラでDDI Pocket(エッジ)のPHSを購入、 新規加入する。 食事をしたあと、都庁に行き、ピーター・ケイン教授のセミナーに出席する。 英国の帝国と保護主義について(チェンバレンを中心に)。 質問はできなかったが、話はとてもおもしろかった。

駒沢駅前で中華料理を食べてから帰宅。眠い。


28/May/2003 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

早寝早起き。どうも風邪らしい。軽い頭痛、扁桃腺の腫れ。 体温は36.2度。

新聞。京大で国内初のES細胞作成。

朝2

最近、某君の日記の更新がなくてさみしいので、 かわりに首相官邸のサイトをアンテナに追加:)

お昼前

本棚が来た。さっそく組み立てよう。

昼下がり

三つ来た本棚を組み立て、混沌とした部屋の中で作業。 ようやく文明の光が見えはじめてきたところで、遅い昼ごはん。 ぶっかけうどん、ほうれん草のおひたし。

眠い。

ようやくなんとか片付いた。本棚はこれで6つあるが、 あと2つぐらいあれば小説なども全部入りそうだ。が、 まあ部屋が狭くなるので当面はこれでがまんしておこう。

ダンボールを開けて、 過去の授業のファイル(物理的なファイル)の一部を捨てる。 二度と見なさそうなものはどんどん捨てないと、たまる一方だ。 高校のときの数学のテキストや辞書も一部捨てる。 二度と聞きそうにないカセットテープがダンボールに二箱ちょい、 二度と見そうにないビデオテープもダンボールに一箱あるので、 これも捨ててしまおう。捨てる技術を身につけなければ。 あと、要らない本を買わない技術も。

夕ごはんはパスタにしたいのだが、もう力尽きてしまった。 どうしようか。

夜2

ツナトマトソースのスパゲティを作る。味が薄い。 スパゲティも食器を片付けているうちに延びてしまった。 ちゃんと味見をすること。

BBCラジオで「神は存在するか」という議題で侃々諤々やっていた。 ヒュームが生きていたら、良い時代になったものだと言うことだろう。

一人前食べたあと、バターと唐辛子を入れてみる。

たかの爪を三本入れたら辛くなりすぎた。今度から一本にしよう。


29/May/2003 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

早寝早起き。寝ているときに布団をはねのけるのか、 どうも風邪気味で調子が悪い。

書き忘れていたが、昨夜、夜中に某マルエツに行こうと思い立ち、 自転車で駒沢公園を全速力で駆け抜けていたら、 うしろから自転車に乗った警官二人に呼び止められた。 二人ともぜいぜい言ってたので、かなり長い時間追いかけていたようだ。

どこに行くのかと尋ねられたので、もうすぐ閉まるマルエツに行くと応えると、 それだけでは許してもらえず、名前を尋ねられたり、 酒は飲んでいるのかとか尋ねられたりしたうえ、 防犯登録も調べられた。「ええと、こだま…はじめさんですか」 「いえ、さとしです」「住所は○○町の23…」「いえ、27です」等々。 あとで考えると、 警官は名前や住所をわざと言い間違えていたのかもしれない。

それで解放してもらったが、けっきょくマルエツには間に合わず。 仕方なく手ぶらで戻ってくる。

朝2

新聞。「『子供持つべきだ』賛成半減--既婚女性の意識、急速崩壊」 (本日付第一面)。意識の「変化」ではなく「崩壊」と書くところに、 産経の価値観が垣間見えるな。

燃えるゴミを出す。

ポール・マッカートニーの妻のヘザー・ミルズが妊娠したそうだ (ananova, 産経)。 マッカートニーは60才。やるな。 奥さんの方は子宮ガンと二度の子宮外妊娠の経験があったので、 妊娠はしないかもしれないと以前言っていたが、 運よく妊娠できたようだ。元気な子が産まれることを願う。

昼下がり

昼、ぶっかけうどん。

以前、読みさしにしていた『蝿の王』 を読了。ひさしぶりに小説を読んだので、はじめはついつい飛ばし読みをして しまったが、後半は筆致のすばらしさを味わいながら読んだ(翻訳だけど)。

あらすじ: 絶海の孤島に不時着した少年たちは、 しばらく楽園のような島でイギリス人らしく規則を守って生きようとするが、 やがて文明を象徴する焚火は絶えがちになり、 少年たちは自分の中の獣性に目覚めていく。 理性を訴えるグループは、野蛮なグループに圧倒され、 権威と正統性の象徴であるほら貝も破壊されてしまう。

個性的なキャラクターもよい。カリスマはあるものの、熱狂が好きで、 しばしばなぜ自分が文明的でなければならないのか忘れてしまう主人公、 プライドが高くいつも血に飢えているアーチライバルのジャック、 話の筋は通っているが「メガネブタ」のゆえにみなから相手にされないピギー、 言動が神秘的なサイモン、等々。

始まりは唐突だが、 終わりはとてもよくできている。 とくに、最後の主人公のラーフが追いつめられるところは、 『七瀬ふたたび』の最後の息を飲む展開を思い出した。B++。

う。今日こそは大学に行こうと思っていたのだが…。

スパゲティをたらふく食べてから少し寝てしまう。 目を開けて勉強せねば。

夜2

某紀伊国屋がいつまで経っても新しいアカウント(BookWeb Pro)を作ってくれないので、 しびれを切らしてメールで注文を送りつける。 ア、アマゾンで注文さえできればこんなことせずに済むのだががが…。

路上で背広に大便をかけられた被害者が洗面所で洗っているうちに、 カバンを盗むという新手の窃盗術 (朝日)。 汚なくてやだなあ。

あれ、上の文はどうにもわかりにくいな。 「盗人の一人が路上でターゲットの背広に大便をかけ、 その仲間が被害者を助けるフリをして店のトイレに連れ込んでいるあいだに、 カバンを盗んでしまうという犯罪」か。 こういうのは一文で正確に記述するのが難しいな。 新聞記者にすれば腕の見せどころなんだろうけど。

真夜中

いろいろ片付けものなどをしていると、ようやく勉強する気になってきた。

今日の英語: uncool

クールでないこと、イカしてないこと、イケてないこと。

(「イカす」は死語だと思うが、「イケてる」もすでに死語なのだろうか。 「イカす」は「〜させる」という使役動詞であるのに対して、 「イケてる」は自動詞である。想像するに、「A(人、物)がイカしている」 というのは、Aを見た人が「イカされる」のに対し、 「Aがイケてる」というのは、Aそれ自身が「イッテいる」ということか。 この場合、「イク」というはどういう意味なのだろうか。 また、どこに「イク」のだろうか)

こないだ読んだガーディアンの記事では、 米国でSUV (ジープとトラックのあいの子のような、ガソリンを大量に食う巨大自動車) の使用に反対する人々が、「SUVはuncoolだ」という運動を展開しているそうだ。

coolの反対はwarmだろうと言いたくなるが、 最近の人はオーウェルが描いた『1984』の世界のように、 ニュースピークを使用して 思考を単純化しているものと思われる。

というのは正確ではないか。「冷たい」という意味でのcoolの対義語はwarmで、 「カッコいい」という意味でのcoolの対義語はuncool、という風に区別して 使用しているわけだ。 したがって、必ず思考を単純化しているわけではないと思われる。


30/May/2003 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

ベンタムの勉強。バウリング版の小さな文字を読んでつかれる。もう寝よう。

遅寝早起き。不燃ゴミを出し、シャワーを浴びる。もう行かねば。

さきほど南大沢から帰宅。

朝、渋谷経由で京急で南大沢に行く。ひたすら遠い。 お昼前から昼下がりまで、みっちりフリーデンのイデオロギーに関する本の 第一章、第二章を読む。勉強になるなあ。 再来週に発表することになった。

帰りは自由ヶ丘駅前のファーストキッチンで一服。 小学館の某本が出たといううわさを聞いたので、 駅前の小さな本屋に行ってみたが、見つからず。 が、帰ってくるとポストに著者謹呈の本が三冊ほど入っていた。 あれ、新書じゃないのか。

まえがきでいきなり某名誉教授が『異議あり! 生命・環境倫理学』 本批判(らしきもの)をやっていて驚く。 やはり、あれは『異議あり! 加藤尚武の生命・環境倫理学』 であることに気付いていたのか。

う〜ん、あんまりおもしろい本ではないな。散発的におもしろい文章もあるけど。

某名誉教授による総合解説に出てくる 「ノーベル経済学賞を受けたインド人のアマトリア・セン」 という記述も気になるな…。 総合解説がわりとしっかり書かれているので、 (読者が読むかどうかは別にして)少し救われているな。

あ、メモメモ。ジョン・クリーズもオーストラリアの哲学教授を扱った 「ブルース」というスケッチ(第二シリーズ第9話)で、 「ベンサム」ではなく「ベンタム」と発音していた。

夜2

つかれた…。

明日こそは掃除機をかけること。天気が良かったら洗濯もしよう。

今月はカードの請求額が少ない。う、うれしい…。

本棚の整理がだいたい終わったのはいいが、地震が起きたら、 とにかくこの部屋から逃げ出さないとな…。

真夜中

ちょっと寝た。


31/May/2003 (Saturday/samedi/Sonnabend)

早寝早起き。朝食はキウイ。熟れさせるために外に出しておいたら、 腐りかけていた。

台風4号の影響で天気が悪いので洗濯は見送り。 代わりにトイレやキッチンの掃除をする。

朝のニュース

「おはようございます。朝のニュースです。

「先日、国立歴史民俗博物館(新館)の研究者たちが、 ロンドンのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)にある ベンタムのミイラの年代測定をするために、渡英しました。 そして、炭素14年代測定法を用いて調査をしたところ、 ベンタムの生存時期がこれまでの通説であった 1748-1832年よりも約500年遡ることがわかりました。

「これにより、ベンタムは中世の神学者トマス・アクィナスと同時代人で あったことになり、学界では大きな波紋が生じています。

「ここで、評論家の某名誉教授にご意見を伺いたいと思います。 某名誉教授、今回の発見についてはどう思われますか」

「ええ、そうですね、発表通りだとすると、ベンタムはロックやルソーが 社会契約説を主張する400年前にすでにそれを批判していたことになりますね。 また、ブラックストーンという法学者が『英国法註釈』を書く500年前に、 すでに批判していたことになります。このことの整合性が証明されたなら、 今回の発見は西洋哲学史の全面的な見直しが要求される、 画期的なものと言えるでしょう」

「ありがとうございました。某名誉教授でした。それではまた明日の朝。 ごきげんよう」

お昼は駅前でそば。それから関内へ。 大雨の影響で電車が遅れていたが、無事に関内に着き、 映画を見る。

中国の小さなお針子

あらすじ: 文革の時代、都会住んでいた二人の少年が「再教育」のために田舎の村に送られる。 そこで出逢った無学のお針子に教養を与えようと バルザックの小説を読んできかせるうちに、 少年たちはお針子に恋ごころを抱くようになる。 しかし、バルザックによって目を開かされたお針子は、 新しい人生を歩むべく都会へと旅立っていく。

中仏合作の美しい映画。予想していたほどユーモアはなく、 それほどドラマチックな部分があったわけでもないが、 雰囲気が良く、後味も良かった(終わり方はタイタニックみたいだった)。 B。

それからみなとみらいでタイ屋台料理を食べてから戻ってくる。 横浜は広々としていて楽しいが、いささかつかれた。


何か一言

your name:

subject:

body:

/


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Mon Sep 29 14:16:13 JST 2003