6月中旬号 / 7月上旬号 / 最新号

こだまの世界

2002年6月下旬号

`Ethical behavior is not treated as a core competency. It's not measured; it's not rewarded. It is given lots of lip service but few resources. And the globalization of business has engendered a cynical, wink-and-a-nod approach because the worldly company understands that in many countries, ethical conduct is optional at best, perhaps even a competitive disadvantage.'

---David Greising, `Ethics: Good conduct mostly gets lip service'

倫理とは本来実践的なものであり、もしそうでなければそれは真実に倫理的ではない。

---ピーター・シンガー、『私たちはどう生きるべきか』
山内友三郎監訳、法律文化社、1999年改訳、260頁

自分を愛するものを愛したとて何の褒美を得よう。 取税人さえもそれ位はするではないか。 あなた方の兄弟にだけ挨拶したとて、何の格別のことをしたのか。 異教徒さえもそれ位はするではないか。

---イエス、マタイ福音書5:46-7

車が運転できたら、と思ったことは今までに何度かあった。 しかしそれは、たとえばつきあっていた女性から 「車を運転できない男性なんて」と言われて傷つく程度のものであった。 しかし今度だって、真実車を運転したいのではない。
そうとも。昔から偉大な学者は、車の運転免許なんて持っていなかった。 アリストテレスも、ガリレオも、ニュートンもダーウィンもだ。 偉大な文学者だって、教習所に通ったりはしなかったぞ。 ゲーテも、ドストエフスキイも、夏目漱石も永井荷風もだ。

---筒井康隆、『文学部唯野教授』


主な話題


21/Jun/2002 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

カミュをパラパラ読む。パスカルの葦にしても、 シシュポスの「すべてよし」にしても、 何が英雄的なのかわからない。 ただの強がりではないか。 自分の運命の苛酷さ、 不条理さを笑いとばせるのは人間の偉大なところなのかもしれないが、 しかしその笑いは長くは続かない。 「不条理なるがゆえにわれ信ず」という態度は単なる怠惰だ。 飛躍するな。理解に努めろ。

「そんなこと言ってるようでは君はまだまだ実存主義がわかっておらんよ」

通勤時の混雑した電車に乗って渋谷へ。 渋谷でBBMobileの使えるマクドに来てみたが、つながらない。 設定がまずいのかな。

朝2

シンガー。

しかし、戦士は「本物の王」につかえているとき--これは自己をこえた大義につかえるということだが--には、 実によくやる。 彼の肉体は働きものの召使になる。 それは、寒さ、暑さ、苦痛、打ち身、切傷、飢え、睡眠不足、 ありとあらゆる困難に耐えるために必要なのだ。 たいてい肉体はよくこたえてくれる。 戦士の気力をもった者は、 長時間倦むことなく働き、 必要なことをやりとげることができる。 脚注をあますところなくつけて博士号をとり、 いやな上司にも耐えることができる。 ラルフ・ネイダーのように質素に暮らし、 T・S・エリオットのようにたった一つの裸電球の下で何年間も執筆することができる。 聖フランシス、あるいはマザー・テレサのように排泄物や汚物を際限なく片づけ続け、 サハロフのように蔑み、嘲笑、亡命にも耐えることができる。 無情な手が安楽をむさぼる赤ん坊を連れ去り、 大人の戦士がその体に宿る。

---ロバート・ブライ (シンガーの『私たちはどう生きるべきか』325頁から)

「さて、きみにとっての大義は何か」

「いや、それがよくわからないんです。いままでがむしゃらに生きてきたんで、 そんなことはあんまり考えなかったんです」

「しかし、きみは最近立ち止まる機会が多くなり、 すこし内省的になってきた」

「そうです」

「そして自分がなぜ研究をするのかについて疑問を抱くようになってきた。 疑問を抱くということは、動機の力が弱まっているということだ」

「そうです。このままでは、 上の人々のような寝食を忘れた生き方はできそうにありません。 しかし、ぼくにも何か大義が見つかるんでしょうか。 あるいは、ぼくやその他の大勢の怠惰な人間には、 そのような大義は見つけることはできないんでしょうか」

「シンガーの言うように、自分の内面に目を向けるのではなく、 世界に目を向け、そこにある多くの問題について頭を悩ませるのだ。 解決すべき問題は国内にも国外にもあふれるほどある。 やるべきことはいくらでもあるのだ。 マクドで本を読んでる場合じゃない」

「じゃあスタバに行きます」

「スタバで本を読んでる場合でもないのだ」

「はあ、そうですか。本を読むことも大切なんですけどね。 けど、ほんとに、人生の目的って何なんでしょうね」

「それは見つけるんじゃなくて、作るものだ。アンガージュマンだ。 コミットメントだ。政治参加しろ。 G8サミットの開催都市に行ってアンチ・グローバライゼーションの運動に身を投じろ」

「そういうのがいいんですかね…」

朝3

あ、マクドを出ようとして気付いたが、入口の付近でしかつながらないようだ。 禁煙席ではダメだということだ。

朝4

マクドを出て、ちょっと歩いたところにある某スタバに来てみる。 ここは店のどこでもネットに接続できるようだ。快適。 ちょっと室温が高いが、そのくらいの方が長居できそう。

3Mbpsぐらい出てる。速い。今後はスタバで生活しよう。 合わせて、「児玉さるとるし」に名前を変更しよう。 「る」は小さめにすばやく発音すること。

お昼

ネットで新聞を読む。

お昼すぎ

まだ某スタバ。昼ごはんも食べる。サンドイッチ。

さらにシンガー。しかし、もうちょっと読みつかれた。他の勉強しよう。

昼下がり

新聞。 そういえば、昨日はじめてフェアトレードのお店に入った。

hot pre-emption (< hot pursuitから)
お返し戦術のように「やられたらやりかえす」ではなく、 「やられる前にやる」という戦略。 ブッシュはテロの時代においては冷戦時代の抑止や封じこめ戦略は 通用しないと述べ、テロリストは先手を打って片付ける必要があることを 強調(see BBC News)。 イスラエルの対パレスチナ戦にも同じロジックが適用可能とされる。 しかし、インドの対パキスタン戦においては、 この戦略で行くと核兵器の使用によって双方が大打撃を被る可能性があるので、 まだ旧来のお返し戦術が取られているとされる。pre-emptive action.

昼下がり2

「先進国の女性が子供を産まなくて困っています。 キャリアのために出産を30台後半にあとまわしにすると、 生殖援助技術を使って産もうと思っても産めなくなっていたりします。 日本の女性が一生涯に産む子供の平均が1.33になりました。 政府はさまざまな援助をすることで国民が子供を産むようにしようとしています。 しかし、なかなか出生率は上がりそうにありません。 どうすべきなんでしょうか」

「女性を職場から追放したらどうだ。セクハラもなくなって一石二鳥じゃないか」

「そんな、タリバン政権じゃあるまいし」

「じゃあ、もう女性に子供を産んでもらうことはある程度あきらめて、 外国人をどんどん労働力として受け入れるしかなかろう」

「それも一手ですけど、日本人がいなくなっちゃうじゃないですか。 われわれは文化としては残っても、人種としては滅びちゃんうんですか?」

「それでもいいんじゃないか。日本の国際化が促進されてさ。 それに、どうしても生みたい人は生むだろうし。 外国人を代理母として安く雇うという手もあるんじゃないか。 女性は働いたままで、夫の精子と卵子だけ提供してさ。 乳母も外国人労働者を雇う」

「そんな代理母業を大々的にやったら非倫理的だと非難されますよ」

「とにかく、いずれにせよ、 男性も女性も子供を産みたくて仕方ないようにしないとな。 しかし、みんな精神年齢が低いので、 20代では子供を産もうという気にならないんだな。 まだまだ遊びたいと思ってるから。 やっぱりムリじゃないの、解決は。先進国の病だよ」

「コンドーム生産会社が、 すべてのコンドームに穴を開けるという手もありますかね」

「そんなの一時的な手段でしかないだろうが」

「そですね。すいません、つまらないアイディアで」

昼下がり3

某スタバ、2時すぎからまた混みだす。

夕方

ようやくベンタムの勉強に着手。文献を調べないとなあ。

BBmobile、30分おきぐらいにパスワード確認がなされるのが ちょっとうっとうしい。その度にtelnetが落ちてしまうので。

机に向かっている時間…6hr
今日の勉強時間…3hr
マルクス係数…18.8


22/Jun/2002 (Saturday/samedi/Sonnabend)

真夜中 (午前)

昨夜は渋谷はBunkamuraで中国映画を観た。

活きる

第二次世界大戦前夜から、70年代ごろまでの中国において、 時代の波に翻弄されながらもたくましく生きていく夫婦の話。

地主階級の家に生まれた主人公は博打で負けて土地と家を奪われてしまい、 妻は子供を連れて実家に帰ってしまう。 男は得意の影絵芝居で生計を立てるために家族を置いて興業に出るが、 途中、国民軍と共産軍の争いに巻き込まれてしまう。 それ以降も、数々の不幸が夫婦を見舞うが、 二人は不条理な(あ、カミュだ)運命に苦しみながらも寄り添いあって生きていく。 影絵芝居の道具は「反体制」のレッテルを貼られるのを恐れて文化革命のときに ついに燃やしてしまったが、 その箱は二人とともに最後まで残っていた…。

笑わせるところ、泣かせるところをちゃんと押えていてよい。 あまりお涙頂戴というわけではなく、抑え気味に表現しているところもよい。 音楽もよい。みな演技がうまい。文句なし。 2時間ぐらいで人の半生を生きた気分になる。 B+。おすすめ。

しかし人生はたいへんだ。オレも自己批判しよう。あれ、意味不明?

早朝

起きて喫茶店(某エクセル…)へ。 新聞を買おうと駅前のコンビニに行ったら、 スポーツ新聞しか置いてなかった。おかしい。

infiltration
パキスタンのイスラム人テロリストたちがひそかにムシャラフ大統領の支援を 受けてカシミールに侵入してくること。ムシャラフ大統領は支援をしていない と主張している。カシミールをパキスタン領にしたがっているイスラム教徒た ちは多いので、ムシャラフ大統領はうまくなだめないと政情が不安定になるお それがある。
Marine Le Pen
こないだフランス大統領選でシラクを脅かした極右のJean-Marie Le Penの娘。 「あたしと父の違いは髪の多さだけよ」というブロンドの極右政治家。34才。 ヘビー・スモーカー。たぶん総選挙では社会党候補に負けたはず (チェックすること)。
the loya jirga
アフガニスタンの多民族議会。1年半後の総選挙までの暫定政権を作るのが 目的。元国王ザヒル・シャーが元首に選ばれかけたが、おしゃれなカルザイ 氏が今後も指導者としてがんばる模様。
hooligan(s)
サッカーの熱狂的なファンのこと。チームが負けると暴れて逮捕される。 よく似た存在として、好きな女性(男性)に振られると追いかけまわして逮捕 されるストーカーがいる。
soccer
米国で人気のないスポーツの一つ。 footballは1875年ハーヴァード対イェール戦における取り決め以後、 手でボールを投げてもいいスポーツのことを指すことになった。

夕方

西武新宿店のマクドから。韓国がPKで勝ったらしく、 パブの外でテレビを見ている人々が盛り上がっていた。 韓国すごい。

机に向かっている時間…1.5hr
今日の勉強時間…0hr
マルクス係数…0


23/Jun/2002 (Sunday/dimanche/Sonntag)

真夜中 (午前)

昨日は、お昼ごろに明治神宮(花菖蒲園)、昼下がりに新宿都庁展望台、 夜にお台場と、 強行軍で観光してきた。

「おい、ちょっと待て。君、観光って言うとるけど、 それは完全にデートコースとちがうんかいな」

「いや、自分探しの旅に出てきただけです」

「何が自分探しやねん。自分探しするために一人で夜にお台場行くかふつう?」

「いや、悟りは思いもかけぬところで開けるものと聞きますから」

「何やそれは。まあええわ、それで悟りは開けたんかいな」

「ええ、ちょっと閉塞的状況から抜けだす道を見出した気がします」

「それでその道というのは何なんやねんな」

「いや、それはまだちょっと企業秘密です」

「何やいつも情報公開、情報公開言うとるくせに」

「いやまあ、まだ自分にも明らかでないので、 もうちょっと待ってください」

朝起きて旅館をあとにする。とりあえず某エクセルシオールへ。 昨日買ったDaily Yomiuriを読もう。

そういえば、昨日はじめて二千円札をおつりとして手渡された。 ちゃんと流通してるんだ。

朝2

シンガー。

spin doctor
英国ブレア政権で広報活動をしている人。 メディアに対する情報操作を行なうを旨とする。 米国大統領流のイメージ戦略を重視するブレア政権は基本的にスピンドクターと 好意的なメディアのおかげで成功してきた。 しかし、米国の同時多発テロのときにスピンドクターの一人が 「(英国政府が行なった)まずいニュースを流すなら今だ」 という趣旨のメイルを配信したことが大問題となり、 現在はメディアとの確執が激しくなっている。
ethics
日本の政治界、米国の経済界に必要とされているもの。 しかし、その実体は不明。ただしシンガーによれば、 すくなくとも「実践とは無関係な一連のルール」ではないらしい。

帰りの新幹線の中。

今日は横浜近辺を探索。ランドマーク・タワー、山下公園、中華街など。 中華街の山下公園に近い出口のところにある某スタバでBBMobileができるようだが、 今回はめんどうなので使わなかった。

さて、明日からバリバリ勉強しなければ。

夜2

食事をしたあと、名古屋まで爆睡。く、首が。

机に向かっている時間…0.75hr
今日の勉強時間…0.75hr
マルクス係数…9.4


24/Jun/2002 (Monday/lundi/Montag)

真夜中 (午前)

さっき帰ってきた。眠い。

お昼前

思いきり寝てしまう。さて、喫茶店に行って勉強しよう。

お昼すぎ

洗濯をし、シャワーを浴びてから、某スタバへ。 東京も涼しかったが、京都も涼しくなっている。 このまま夏が来ないことを祈る。

pre-emptive strikes
1981年のイスラエルによるイラクの核施設の先制攻撃のときは国際的に 非難されたが、今日では英米ともに戦略方針として採用しようとしている 考え方。やられる前にやれ。
gin
英国では伝統的に労働者階級の飲み物。金持ちは輸入物のブランディを飲む。 18世紀前半から中頃にかけてgin crazeと呼ばれるほど流行する。 その後、阿片などの麻薬にとって代わられる。
rightwing revisionism
移民抑制、少数者抑圧を正当化するような保守主義的な歴史解釈の仕方のこと。 「歴史上、もっとも迫害されたのはキリスト教徒だ」など。 現在、イタリアと日本でさかんとされる。

夕方

某氏の修論草稿を読ませてもらう。勉強になった。

夕方2

上記の某氏と待ち合わせして、コメントした草稿を手渡す。

某サンジェルマン云々でタコ焼とタイ焼。

雨の中、大学へ。某ルネでCDを買う。 ムーアの『倫理学』が復刊されている。

大学に行くと、 Past Mastersのベンタムの新全集とCorrespondenceのCD-ROMも届いていた。 これで研究がすこし楽になる(はず)。

ちょっと休憩したら明日の授業の準備をしよう。

宣伝。蔵田伸雄研究室

中央食堂で食事。7月まで試験的に9時までやっている。

ちょっと外食癖がついている。 明日からはまた食事を作るようにしよう。

夜2

授業の準備中。

机に向かっている時間…6hr
今日の勉強時間…2.5hr
マルクス係数…13.0


25/Jun/2002 (Tuesday/mardi/Dienstag)

また寝すぎた。いかんいかん。授業の準備。

お昼すぎ

勉強中。

昼下がり

あ、やばい。時間が。

今回は第九章の倫理の本性について。ヘアとかフェミニズムとか。 後半の「なぜ倫理的に行為すべきか」というのは来週にまわすことにする。

授業終わり。今日も遅刻しそうになる。 RGBケーブルを忘れてきてあわてるが、大学の事務で借りられた。感謝。

買物をしてから下宿へ。はじめて無洗米を買う。

そうめん食べる。

夜中

ドイツ勝ち、韓国負け。ドイツもセンタリングがすごい。

真夜中

インターネット・ジャーニーというサイトを教えてもらう。

机に向かっている時間…6.0hr
今日の勉強時間…5.25hr
マルクス係数…57.4


26/Jun/2002 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

真夜中 (午前)

英国で、横つながりの多装ニワトリカゴ(battery cage for hens)を禁止すべきか どうかの議論が出てきているようだ (BBC NEWS)。ニワトリは卵を産むためにこの狭いカゴに入れて育てられる。 その数は英国で約2400万羽。ケンカやカンニバリズム(共食い)を避けるために、 くちばしの先を切り落とされる。

真夜中2 (午前)

昨日のアンケートを読む。

お昼

う〜ん、朝起きられない…。

シャワー、朝食、洗濯。

勉強しなければ。

昼下がり

某スタバにて読書。 ホワイトヘッド『観念の冒険』をパラパラ読む。 「同胞」という観念と「競争」という観念の拮抗というあたりはおもしろいが、 今いち興奮しない。シンガーの方が書き方が上手なのだろう。 しかし、そのうちもう一度読むべし。

どうもネムイネムイ病が再発しつつあるらしい。 眠くてしかたがない。

夕方

まだ某スタバ。

今日届いたUtilitas (Vol. 14, No. 1)をパラパラと読む。 とくにおもしろい論文はなさそう。 おもしろいかおもしろくないかは、 一つには論文の内容によるし、 もう一つは自分がその内容に関心があるかどうかによる。 問題は、オレが今何にもっとも関心を抱いているかわからないことだ。 一番知りたいことは何だろう? どうもまだ自分探しの旅が終わってないようだ。

夕方2

大学へ。某所で雑誌に目を通したり、調べものをしたり。

まだ大学。

cicero(倫理学の旧サーバ)がそろそろ止まるらしいので、 ためしにciceroのmewのフォルダとメイルをmillのものと統合してみた。 これ (mewの公式サイトにあるメーリングリストのアーカイブ)を参考にした。 一応うまく行った模様。しかし、 英国に行くころからinboxにたまったメイルをソートしなくなったので、 これをどうするかが問題。自動的にソートできるかためしてみるか。

閉店まぎわの中央食堂で食事。

さ、勉強勉強。

机に向かっている時間…9hr
今日の勉強時間…5hr
マルクス係数…34.7


27/Jun/2002 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中 (午前)

やっと新聞のまとめが終わった。今夜はもっと勉強する予定だったのに。

  1. スコットランド、売春「寛容領域」の法制化
  2. エコツーリズムの流行とその問題点
  3. 英国、すしづめ状態の養鶏場の状況改善へ

真夜中2 (午前)

下宿に戻ってきてそうめん。

お昼

う〜ん、ネムイネムイ病。勉強しなければ。

お昼すぎ

シャワー、パン。

昼下がり

大学に来る。ちょっと買物。

ブエノスアイレスで暴動。 オタワでも反グローバライゼーションのデモ。 キューバは国会全会一致で憲法に社会主義政体であることを明記。 ワールドコムの帳簿のごまかし。 オレはラジオでニュースを聴いている。

夕方

某ニューズレター編集委員会。

某氏に、デフォルトのファイルモードはumaskで設定すると教わる。 umask 133としておくと、ファイルモードは644になる。

夕方2

中央食堂で食事。

ちょっとダウン。原因不明。すこし寝よう。

夕方3

1時間ほど寝る。復活。

夕方4

某スタバへ。本日のコーヒー(スラウェシ)。ちょっとニガい。

買物をしてから下宿へ。ネットで新聞など。

36.9度。あれ、調子が悪いと思ったら、また風邪なのか。

机に向かっている時間…6.25hr
今日の勉強時間…4.25hr
マルクス係数…36.1


28/Jun/2002 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

ひさしぶりに海親子丼。

ノラ・ジョーンズが9月に来ることを教えてもらう。 チケット販売は今週土曜日から。ぜったい見に行こう。

真夜中2 (午前)

フェミニズムの歴史についてすこし勉強。 そういうことをしてる場合ではないのだが。

早起き。シャワー。快晴。

朝2

ちょっと郵便局へ寄ってから大学へ。勉強勉強。

フーのベーシストが、全米ツアーの直前に死んだそうだ。合掌。

お昼

ちょっとcrontabの勉強(man 5 crontabでわかる)。viの使い方も復習。

たまてばこ という日記アンテナを使って更新記録を作ってみた。 cronを使って1時間おきに更新される予定。

お昼すぎ

下ネタでごめん。 パンダにも性教育 (写真) (人民日報より)。

中学の修学旅行のとき、 阿蘇の熊牧場で交尾している熊を見て、 盛り上がっている連中(ヒト)がいたのを思い出した。 今から思えば、あれも性教育(ヒト用)だったのか。

昼下がり

中央食堂で食事。

応用倫理学の授業。某自治寮生による、某自治寮についての説明。

「80年代以降に建てられた新しい寮(新々寮)は、 学生運動を抑圧するためにワンルームマンション化している というような話を聞きました。たしかに、 多くの学生がワンルームマンションに住むようになったことと、 学生運動が下火になったこととは、因果関係があるように思えますね」

「ん、どういう因果関係だそれは」

「いや、ワンルームマンションに住むようになって、 濃い人間関係を築くことが難しくなった、というか。 つまり、団体活動の自由を禁止しているわけではないですが、 非常に間接的な仕方でその自由を抑圧しているように理解できるわけです。 いや、もちろん単なる思弁ですけど」

「まあそれだけじゃないだろうけどな、学生が政治に関心をなくしたのは。 それに、学生寮での濃いつきあいを避けたい学生が、 ワンルームマンションを選ぶようになったという逆方向の因果関係もあるだろうし。 しかし、考えてみると君の言うとおりで、 結局のところ、 学生もニワトリのように快適なbattery cageに住まされているのだ。 テレビとフロ・トイレ付きの。 そうだな、君、学生解放団体を作って、 学生用のワンルームマンションを禁止する運動をしてみたらどうだ」

「それで、納屋のかわりに学生寮で学生を育てるんですか? 子供がポコポコ産まれちゃうんじゃないですかね」

「心配のしすぎだろう、それは。 そもそもちゃんと避妊具を配布しておけばいいわけで…。 いったい何の話をしてるんだ、君は」

「いや、例のパンダの話ですが…」

夕方

某スタバにて。

「さっきの授業の最後に話題になっていた 『話し合いの原則を廃止することを話し合いによって決めることはできるか』 という問題ですが、 これは一見矛盾しているように見えますが、 しかしやはりとくに矛盾はないと思います。

「たとえば『話し合いの結果、今後二度と話し合うことも会うこともやめた』 というのはよくある話ですよね。 また、二人の子供が、ある日の朝に相談しあって、 『今日一日のあいだは一切しゃべりあわない』と約束することもできます。 さらに、これはちょっと例が違いますが、 多数決型の民主主義を規定した憲法を、 多数決によって廃止すること、 つまり民主的な手続きによって民主主義を放棄することも、 やはり可能のはずです。

「だから、某学生寮の総会で、 『平等な話し合いによって寮を運営することを今後一切行なわないかどうか』 というのを話し合ったすえに、 多数決か全員一致かなんらかの手段でその決議を採択することは可能だと思われます。 もちろん、自由な言論が根付いているなら、猛烈な抵抗が予想されますが。 しかし、この決議自体には矛盾と呼べるものはないはずです」

「なるほど。ところで君はなぜそういうことを授業中に言わないんだ。 終わってから言うのは卑怯じゃないのか」

「いや、某学生寮の方針だと、 トイレでも洗面所でも、どこで意見を言ってもいいそうなので、 とりあえず日記で言ってみようかと…」

「対話はどこでやってもいいが、独り言はダメなんじゃないのか。 まあ、まずハバマスの『道徳意識とコミュニケーション行為』 をよく読んでみることだな」

「わかりました」

夕方2

う〜ん、スタバ寒い。早く出ていかせるための陰謀か。

そうめん、納豆食べる。

ネットで新聞読む。

夜2

ちょっとウトウトする。

真夜中

ホンデリック読む。次はウォルドロン。 う〜、勉強せねば。まにあわん。

机に向かっている時間…10.0hr
今日の勉強時間…4.5hr
マルクス係数…25.3


29/Jun/2002 (Saturday/samedi/Sonnabend)

真夜中 (午前)

電話代を払おうと思ってコンビニに行ったら、請求書を持っていくのを忘れ、 買物だけして帰ってくる。

「これも遂行的矛盾ですか?」

「いや、サザエさんだろう、それは。 遂行的矛盾というのはだな (…といってハバマスの『道徳意識…』をパラパラとめくる)、 その、あれだ、デカルトロボットが 『オレ、ヒョットシテ電源入ッテナインジャナイカ』 とかしゃべってたら、『オマエ、電源入ッテナカッタラ考エラレナイハズジャナイカ。 電源入ッテルカドウカ疑ッテルトイウコトハ、 ソノ行為自体ガ『電源ガ入ッテイナイ』トイウ言明ト矛盾シテルダロウ』 と言ってやればいいわけだ。つまり、 『電源が入ってない』と発言する行為(発話行為)が、 その発言の中身と矛盾している、これ遂行的矛盾というわけだ。たぶん」

「たぶん、って何ですか、たぶんって」

「いや、自我の存在から確実な推論によって遂行的矛盾の正しさを 確信したわけじゃないからな。しかしだな、 もしデカルトロボットが、 『オレ、明日ハ電源入ッテナインジャナイカ』 とか、『オレ、明日カラズット電源ヲ落トス』と言っても、 この場合は発言の中身と発話行為とのあいだになんら矛盾はないわけだ。 発話行為から示されるのは、今電源が入ってるってことだけだから。 ここまでは同意してくれるかね」

「はい、同意します」

「そうするとだな、同じように、 『次の総会からは、話し合いの原則は無効になる』 ということを話し合いによって決めたとしても、 やはり矛盾はないことになる」

「どうしてですか」

「発言の中身と発話行為とのあいだには矛盾がないからだ。 発話行為が前提としているのは、 『今の総会において、話し合いの原則は有効である』 ということであって、 次の総会についての前提は含まれている必要性はない。 これは、『次の国会からは、多数決の原則は無効になる』 ということを今国会で多数決によって決めても矛盾しないのと同じだ」

「しかし、(ある)ヒューミアンは、 『「話し合いという手続きを廃止する」という決定を 「話し合いという手続き」によって行う場合、その決定の妥当性は 「話し合いという手続き」の遂行に負っているわけなんだから、 「話し合いという手続きを廃止するという決定を変更する」 という決定が「話し合いという手続き」によって行える可能性が保証されて いなければならないが、それは先の決定によって話し合いという手続きが 廃止されてしまうのだから無理である。これは手続き上の遂行矛盾になる』 と述べていますよ」

「ん、何なに、頭が混乱した。もう一度言ってくれ」

「上に書いたからよく読んでくださいよ」

「ふんふん。しかしこれはどこかおかしいんじゃないか。 『「話し合いという手続きを廃止する」という決定を 「話し合いという手続き」によって行う場合、 その決定の妥当性は「話し合いという手続き」の遂行に負っているわけなんだから、 「話し合いという手続きを廃止するという決定を変更する」 という決定が「話し合いという手続き」によって行える可能性が保証されて いなければならない』というのは、どうしてそうなんだろう。 もし、『話し合いという手続き』を『多数決』に変えても同じことだとしたら、 『「多数決を廃止する」という決定を 「多数決」によって行う場合、 その決定の妥当性は「多数決」の遂行に負っているわけなんだから、 「多数決を廃止するという決定を変更する」 という決定が「多数決」によって行える可能性が保証されていなければならない』 ということになるな。 しかし、一見したところ、 前半の内容から後半の内容が帰結するようにはどうにも見えない。 そのような可能性が保証されてなくても、 多数決の廃止を多数決によって決めることは矛盾なくできると思うのだが。 まあ、また(ある)ヒューミアンに話を聞くことにしよう」

「そうですね。ハバマスも読んでみます」

起きた。今日はぜったいにノラ・ジョーンズのチケットを取らねば。 オアシスも来るんだよな、そういえば。

朝2

シャワー。パン。マーガリンがないので古いイチゴジャムを使う。 用心してオーブンでかなりあたためたら、 口の中(口蓋だっけ?)をやけどしてしまう。

あ、チケット簡単にとれた。うれしい。

昼下がり

あああ。寝てた。ばかばか。

昼下がり2

チケットを入手するために近くのぴあに行ったところ、 カードはJCBしか使えないという言われる。う〜ん。

某サンジェルマン・デ・プレでチーズカレー。C。 週末はガキ共が超高音で叫んでいていづらい。寒いし。

夕方

committed open-mindedness
ある信念や理論を情熱的に信奉しつつ、 しかし批判に対しては開かれている態度。 ミルの理想とする、自由主義的態度。 これに対し、どの信念や理論も真剣にはコミットしないがゆえに あらゆる信念の存在を寛容する人は、 ディレッタントあるいは似非自由主義者と呼ばれて非難される。

「君はどんな理論に対してもコミットメントをひかえて、 中途半端だよな。 何にも肩入れしないノンポリな態度が一番賢明だと考えているようだが、 ミルの言うように、そのような中途半端な態度じゃ進歩せんよ。 自由主義というのは、道徳判断を停止することではない。 対人関係にしろ、学問にしろ、 ちゃんとコミットすることを覚えることだな。 間違えることを恐れていてはいかん」

「がんばってますよ、失礼な。 毎日朝晩アンガジェしてますよ」

夕方2

ウォルドロンの、`Mill and the Value of Moral Distress'を読む。 以下、書き殴りメモ。

morally-dependent distressは、 「進歩的存在」としての人間にとっては有益であり、危害ではない、 という議論。苦痛が有益だというのは一見矛盾しているようだが、 たとえばイスラム教徒のあいだで豚を食べている人のおかげで、 イスラム教徒たちは自分の信念を検討する機会を持てるのだから、 結局「豚を食べる人」を見ることによって苦痛を感じるのは 進歩のきっかけであり有益なのだ、という話。

しかし、 すべてのmorally-dependent distressが進歩のきっかけになるから有益と言えるか どうか疑問。とくにウォルドロンも譲歩しているミルのpublic indecency議論は どうなるのか。 また、morally-dependent distressを快苦計算に入れないという主張も まだ納得できない。別にそれを入れても「進歩による利益」の方が圧倒的に 上回ると論じることもできるはずだ。 このdistressは「真の利益」ではないと論じて、進歩による利益だけを「真の利益」 とみなすならば、「進歩さえすれば自由がある程度制限されてもよい」 という議論もできるのではないだろうか(たとえば、 人はみな進歩のために強制的に「ソクラテス反論ロボット」 を一家に一台置かなければならない、など)。 ちょっと長いが、おもしろい論文。B-。

1時間ほど本屋で立ち読み。 本屋に来ると、自分が何も知らないことが痛感される。 あの、ニュートンの砂浜で遊ぶ少年の感じ。 本を一冊買う。

ところで、新書はレイアウトや字のつまりぐあいが良くないものが多いと思う。 この集英社新書のものは読みやすいが。

それから某スタバへ。

買物をしてから帰宅。 『モア・リポートの20年』、おもしろい。

BBC Radio 2で、デヴィッド・ボウイのインタビュー。

夜2

上の本がおもしろいのでまだ読んでいる。

食事。 いわしの生姜煮(惣菜コーナーで買った)、豆腐、納豆など。

机に向かっている時間…6.5hr
今日の勉強時間…3.5hr
マルクス係数…23.6


30/Jun/2002 (Sunday/dimanche/Sonntag)

真夜中 (午前)

昨日買った『モア・リポートの20年』、 おもしろかったので最後まで読んでしまった。 以下、少しだけ引用。

「ひとりの人に一生愛される自信がないし、 愛せる自信もないから、 たくさんの人といろんな経験をしておきたいと思っています」(35頁)。

「つきあっている人がいると、ひとりしかHできないし、 たとえ恋人がいても、他の人とHした時って、 ざいあくかんがあって、すごくイヤ。 だから私は、誰ともつきあわずにHしてる。 ぜったい人は、ひとりの人をずっとスキではいられないもん。 ひとりの人と一生Hしてたら、ぜったいオーガズムなんて感じられなくなるし、 Hが楽しくない」(40頁)

「昔は、愛のないセックスをしていた。 愛がなくてもセックスすれば精神的に落ちつくし、 気楽だったし、 いつ関係が切れても、私自身は崩れないだろうという自信があったから。 けど、今は愛すべき人とのセックスを経験して、 違う自分が見えてきた。 私にとって、愛すること自体はリスク(精神的に、 いつ自分が崩れるかワカラナイという恐れ) を背負う覚悟が必要だけど、愛のないセックスをしている自分より、 愛を感じたセックスをしている自分のほうが、 ずっとやさしくて好き」(133-4頁)

「本命の彼氏とは、つきあいが長くなると、オーガズムのコツは覚えるけど、 ドキドキがへってくる。ウワキじゃなくて、 体だけ気持ちよくなりたい時だってある。 ダイタンにセックスしたいときもあるし……。 バレなければ、誰も傷つかないしね」(140頁)

「これまで男がしてきたように、 女だっていろんな男の人とセックスしてみたい。 性欲だってあるんだから、楽しんだっていいと思う」(143頁)

「本気が怖いから、複数の人に気持ちを分けてます。 そうして彼以外の人に目をそらしておけば、 愛情が彼一人にかたよって、彼一直線にならなくてすむから」(144頁)

質問: セックスでオーガズムを得ることは重要ですか?
回答: 重要。死ぬまでに一度体験してみたい。(54頁)

結婚を含めて、本気の恋愛にコミットすることを恐れる女性が 増えてきているようなので、 実存主義の需要が高まっていると言えそうだ。言えないか。

あ〜、おもしろいけどこんな本を読んでる場合ではない。 発表の準備をせねば。

お昼すぎ

う。もうこんな時間。

米国の某古本屋に注文した本が届く。 両方ともハードカヴァーで高かった。

夕方

ネムイネムイ病炸裂。本を読んでいたらまた寝てしまった。

シャワー、そうめん、豆腐。

夕方2

日記の整理

サッカーを見てはいけない。

夜2

前半終了。

サッカーを見てはいけない。

夜3

あ〜、カーンかわいそう。ブラジル先制点。

ブラジルニ点目。ボールのさばき方がうまい。

ブラジル優勝。おめでとう。

勉強勉強。

机に向かっている時間…4.25hr
今日の勉強時間…1.75hr
マルクス係数…9.0


何か一言

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Thu Jul 11 19:43:15 JST 2002