現在のAさんは1人でトイレに行き、歯を磨き、食事をとり、さらには食器を洗うなど、たいていの日常生活の行動をすることが、ぎこちないながらもできます。受傷当時の診療記録から想像していたAさんとあまりにも異なっていたため、正直言って驚きました。初めてAさんにお会いした時、この人がAさんだとはとても思えなかったので、失礼ながら家族の方に何度か問いただしてしまったほどでした。
現在のAさんの脳には萎縮があり、脳室が拡大しているそうです。しかし、もちろん意識はしっかりしていて、受傷から現在に至るまで機能を確実に取り戻してきました。これは、Aさんと御家族の方々の涙ぐましい努力によって、勝ち取られたものであることがよくわかりました。治したい、きっと、治るんだという強い意志と、これを継続する力には驚嘆しました。驚異的な回復を目の当たりにしてこれは、どこかの神様がその意志を汲んでくれたのだろうと思わざるをえませんでした。