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 研究テーマ
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 ---新プロジェクト 2013〜


 ---痛みと鎮痛の生理学  痛みは不快なものであるが、”生体が損傷したことを示す警告系”として重要なものである。しかし、痛みを放置したのでは、痛みの悪循環が生じ、痛みが新たな痛みに関連した反応を生み出す。痛みに苦しむ患者から痛みを開放するためには、痛み(侵害受容)と鎮痛(抗侵害受容)のメカニズムを明らかにすることが必要である。

研究テーマ1. 軸索反射を利用した新しい痛みの検査法


<軸索反射のメカニズム>
 侵害(痛み)刺激によって生じるインパルスは、侵害受容線維を介して脊髄後角に達し、視床を経由して大脳皮質体性感覚野に到達した時、痛みの感覚が生じる。
 痛み刺激によるインパルスは、軸索反射により、軸索分岐部から逆行性にも伝わり、無髄C侵害受容線維末梢終末部からも、脊髄内終末から放出されるのと同じ伝達物質:CGRPPや物質などが遊離され、血管が拡張する。


研究の内容
 サーモグラフで軸索反射性皮膚温の上昇を記録することによって、無髄C侵害受容線維を介して脊髄後角で生じる現象を、間接的にモニターしている。サーモグラフを使って、実験中に刻々と変化する皮膚温の変化を面で観察し、実験終了後に綿密な解析を行う。


この研究のユニークなポイント
  1. これまで、軸索反射の研究には、肉眼的フレアの観察とレーザードップラー血流計の記録であった。前者は、軸索反射の広がりが記録でき、後者はポイントの軸索反射の量的変化が記録できる。サーモグラフィーでは、その両者が解析できる。
  2. メリチン(ハチ毒主要成分)などによる痛みのメカニズムを解明する。
    (蜂に刺されると痛いのは誰でも知っているが、ハチ毒を使った痛みの研究はこれまでほとんどなかった。ハチ毒は副作用を伴うが、メリチン単独ではハチ毒全体では生じる副作用がほとんど生じない。)
  3. ニューロパチーによる痛みの他覚的診断に取り組む試みをしている。

研究テーマ2. 未知の内因性疼痛抑制系の探索

☆脊髄から視床に至る痛みの伝導路には、感覚的側面を司る外側伝導路と、情動的側面を司る内側伝導路とがある。
☆中枢神経系内には痛みを伝える系だけではなく、内因性の疼痛抑制系がある。

 既知の疼痛抑制系:
  1.中脳中心灰白質から大縫線核を経由するセロトニン作動性の下行性疼痛抑制系
  2.青斑核からのアドレナリン作動性の下行性疼痛抑制系 など

 中枢痛の除痛には、視床に作用する上行性抑制系を解明することが必要である。これまで私たちは、外側伝導路と内側伝導路に作用する上行性抑制系を比較して、研究してきた。

 今日行われている治療では除痛できない痛み除去のために、私たちは現在”未知の内因性疼痛抑制系”を探索している。

痛みと鎮痛のデータベース→→→Analgesia
論文の要約PublicationPresentation *
デ−タベース 123


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