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協会について

ご挨拶

2025年4月から代表世話人を務めております小川弥生です。 日本腎病理協会のホームページをご覧いただきありがとうございます。 当会は幅広く腎病理に関心を持つ医療従事者180名の会員で構成されています。 ここではご挨拶を兼ねて、協会の設立背景、目的や活動内容についてご紹介させて頂きます。

腎臓の役割と協会の目的

腎臓には血液ろ過および尿生成、電解質・体液量の調整、ホルモン分泌等、多様な生理機能がございます。これらの機能は循環・血行動態、免疫学的要素、薬剤排泄等の影響を受け、複数の要因が相互作用して腎機能障害を引き起こします。腎生検所見からは疾患病理診断のみならず、重症度評価、治療選択の指標、臓器関連を含む全身病態の把握など重要な情報を読み取ることができます。日本腎病理協会は、腎生検診断に関する知識の普及と診断技術の向上、腎病理学研究の促進を通じて、腎臓病学および腎疾患診療の発展、並びに腎病理学分野に従事する後進の育成を目的として2003年1月に設立されました。

協会の活動

当協会では、腎疾患診療に従事する医療従事者を対象とした年次研究会を世話人が順番に開催し、多くの会員が集う主要な活動の一つとなっています。また、教育・育成という観点からは、腎病理夏の学校(日本腎臓学会と共催による実習および講義)、腎生検病理診断研修(会員施設における短期研修の提供)、教育プログラム(学術委員を中心としたオンライン・オンデマンド配信)、日本病理学会他の関連学会との連携によるコンパニオンミーティングや各種シンポジウムを企画委員や事務局などで提案しています。研究分野では、会員による臨床病理学的研究が行われています。国際活動としては、中国・韓国との腎病理カンファレンスから始まり、現在は国際協力委員が中心となって東アジア腎病理カンファレンスが3か国で持ち回り開催されています。また、日本腎臓学会と共同で出版された「腎生検病理アトラス」や「腎生検病理診断取り扱い規約」は、腎生検の標準参考書として幅広く病理・臨床の現場で愛読されています。これらの多彩な活動は、設立当初約40名の会員から始まり、現在まで継承されてきました。歴代代表世話人の先生方の功績を顧みてその重さを痛感します。今までの基盤を大切に育み今日的なニーズにも答えてゆく所存です。

協会のこれからとお願い

腎生検病理診断には、微細で繊細な生検組織から精密な情報を抽出し、正確な判断を行うために、多大な時間と労力、専門的知識、そして広範な臨床病理学的知識と経験が必要です。今後も会員同士の交流を通じて診断技術を向上させ、関連学会や各種企画を通じて普及活動に尽力してまいります。厳しい医療経済状況下においても、適切な腎病理診断を安定的に提供し続け、非営利的な活動を継続するためには、会員の皆様のご協力と社会の理解および支援が不可欠です。ご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

日本腎病理協会代表世話人

小川弥生