AHA新ガイドラインPart 7.4

第7部(4) モニタリングと薬物治療
(Part 7.4: Monitoring and Medications)

目次
はじめに(Introduction)
切迫心停止期、心停止中、心拍再開直後のモニタリング
心血管系補助のための薬物療法
結語(Summary)
まとめ
参考文献


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■はじめに(Introduction)

 この部分では、CPR施行中や心停止前後に有用となりうる モニタリング方法と薬物治療についての概要を述べる。


■切迫心停止期、心停止中、心拍再開直後のモニタリング
(Monitoring Immediately Before, During, and After Arrest)

心肺蘇生(CPR)中の評価
(Assessment During CPR)

 現在のところ、臨床家がCPRの有効性を評価するための臨床上の基準で、信頼できるものは存在しない。 呼気終末二酸化炭素分圧(end-tidal CO2)は胸骨圧迫に よってもたらされた心拍出量の指標となり、ひいては自己心拍再開の指標にもなりうる1,2。 しかし、その他には CPRの有効性をリアルタイムでフィードバックできるような 方法はほとんどない。

循環動態の評価(Assessment of Hemodynamics)

冠(動脈)灌流圧(Coronary Perfusion Pressure)

 CPR中の冠還流圧(CPP=大動脈弛緩期(拡張期)圧 - 右心房弛緩期血圧)は 心筋の血流状態と(訳者註:期待される)心拍再開率の両者 に関連がある(LOE 3)3,4。 CPPが 15 mmHg以上ある場合には、心拍再開が期待できる。 動物実験では、CPP の上昇と 24時間生存率 の改善が相関しており(LOE 6)5、またアドレナ リン、バソプレッシン、アンギオテンシンIIについての動 物実験では、CPPの増加は心筋血流の改善や心拍再開率との関連性が認められている(LOE 6) 5-7

 蘇生中に、動脈圧モニタが施行されている場合には(例えば(「例えば、集中治療室で)、 臨床家は拡張期動脈圧が最大となり、その結果適切な CPPが得られるように努力するべきで ある。 右心房の拡張期圧を 10 mmHg と仮定した場合に、CPR中のCPPを 20 mmHg以上に 維持するためには、大動脈拡張期圧は理想的に は少なくとも 30 mmHgなければならない。 残念ながら、このようなモニタリングは集中治療室 以外ではほとんど実施できない。

脈(Pulses)

 臨床家は、胸骨圧迫の有効性を評価する目的で、胸骨圧迫中の動脈触知をしば しば試みる。(訳者註:しかし、)CPR 施行中の脈拍確認 の臨床上の正当性、有用性を証明した研究はない。 下大静脈には弁がないため、静脈系を流れる逆行性の血流により大腿静脈 の拍動が生じるかもしれない8。 この場合(thus)、大腿三角の部位での脈拍の触知は動脈血流よ りもむしろ静脈血流である可能性がある。 CPR 中の頚動脈の拍動は冠血流や心筋血流、脳血流の有効 性を示す指標とはならない。

呼吸ガスの評価(Assessment of Respiratory Gases)

動脈血液ガス分析(Arterial Blood Gases)

 心停止中の動脈血液ガスのモニタリングは、末梢組織の低酸 素血症や高二酸化炭素血症 、またはアシドーシスの重症度の信頼できる指標ではない (故に CPR 中の換気が適切か否かの指標にもならない)。 この結論は、1つの連続症例検討(LOE 5)9と10編の症例報告10-19 によって支持されている。これらの報告によると、動脈血液ガス分析の値は院内および 院外において心停止に対し蘇生処置を実施している際の、組織のアシドー シスの重症度の指標としては不正確である。

酸素測定法(Oximetry)

 心停止の中、末梢組織の血管床には十分な拍動性の血流がないため、pulse oximetry ( パルスオキシメーター:酸素飽和度測定装置)は機能しない。 しかし、救急外来(ED)や集中治療部では、心停止でない患者のモニタ リングにパルスオキシメーターがよく用いられ ている。その理由は、簡便で、血色素の酸 素飽和度を連続的に観察できる方法であるからだ。 しかし、通常はパルスオキシメーターが示す 酸素飽和度では、適切な全身の酸素運搬能があるのかどうかは確信できない。 なぜなら酸素飽和度は総酸素含有量(ヘモグロビン結合型酸素+溶存酸素) や、血流量(心拍出量)が適切かどうか を計算しているわけではないからだ。

 末梢組織の酸素分圧が CPR中に評価されることはあまりないのだが、これは組織の灌流状態を評価する方法となり得 る。なぜなら、結膜上の酸素分圧は心停止とともに直ちに低下し、心拍が再開すると元の値に戻るからである20,21

呼気終末二酸化炭素分圧モニター(End-Tidal CO2 Monitoring)

 呼気終末二酸化炭素分圧のモニタリングは、CPR中の心拍 出量を予測する上で安全かつ効果的で非侵襲的な指標とな り、また気管挿管されている患者では、心拍再開をいち早く示す指標となるかも知れない。 心停止中にも二酸化炭素は全身で産生され続けている。そして、その排出の主た る決定因子は末梢産生部位から肺への運搬速度である。 CPR中で血流が少ない状態では、血流に比べ換気 量が相対的に多いため、呼気終末二酸化炭素濃度が低値となる。 換気がほぼ一定であるなら、呼気終末二酸化炭素濃度の変化は心拍出量の 変化を反映する。

 心停止後、蘇生に成功した患者 8例の症例検討では、蘇生が不成功であった 患者と比較して、呼気終末二酸化炭素濃度が有意に高いことが認められている(LOE 5)2,22-28。 二酸化炭素測定は心拍再開の早期指標としても使用可能できる(LOE 529,30、LOE 631)。

 気管挿管下に CPRを施行され、呼 気終末二酸化炭素分圧の最大値が 10 mmHg未満であった 744人の成人心停止症例では、 CPRが適切におこなわれていたにもかかわらず、予後が不良であった1,2,24,25,32,33。 しかし、(訳者註:他の)4編の研究では、この予後の指標は、 CPR開始直後の場合には信頼できないとされた(LOE 5)1,2,32,33。これら の研究によると、最初の呼気終末二酸化炭素分圧が 10 mmHgの患者 群とそれより高い分圧を持つ患者群の間では、心拍再開率と生存率に差がな いことが示されている。 5例の患者は初期の呼気終末二酸化炭素分圧が 10 mmHgであった にもかかわらず、心拍再開(1名は生存退院)に至った。

 要約すると、心停止中の呼気終末二酸化炭素モニタリングは CPRによってもたら される心拍出量の非侵襲的な指標として、有用である可能性がある(Class IIa)。 呼気終末二酸化炭素モニタリングが、より積極的な処置を行うかどうか、あるいは 蘇生努力を断念するかどうかを決定するための指針となり得るかを明確にするためにはも っと多くの研究が必要である。

 心拍再開した患者では、連続あるいは間歇的な呼気終末二酸化炭素モニタ リングは、気管チューブが気管内に留置されていることの確証となる。 呼気終末二酸化炭素は、特にこれが動脈血液ガス分析のPaCO2値と 相関している場合には、換気の指標となり得る。


■心血管系補助のための薬物療法
(Medications for Cardiovascular Support)

 血管作用薬は心拍出量、特に心臓と脳への血流を維持するために心停止の前後や心停止中に直ちに投 与される。 心拍数(変時作用)や心筋収縮性(変力作用)、 動脈圧(血管収縮作用)を改善するか、あるいは後負荷を軽減する(血管 拡張作用)目的で、様々な薬剤が選択される。 不運にも多くのアドレナリン作動薬は作用が選択的ではなく(not selective) 心拍数や後負荷が増減し、不整脈が増し、心筋への酸素需給の不一 致が生じることにより心筋虚血が悪化する。 この心筋虚血により心機能が低下することにもなる。 さらに、血糖値や乳酸値を上げ代謝率を上昇させるなど の代謝作用のある薬剤もある。

 重篤な患者における個々の薬剤の推奨される投与 量には薬物動態学的(用量と濃度の関係)および薬力学的(薬の濃度と効果 な個人差があって、決められない34,35。 それゆえ、初回投与量の範囲を以下に示した。 血管作動薬は副作用を避けながら計画された効果を 確保するために、ベッドサイドで投与量を調節しなければならない。 プロバイダーはまた、投与された薬剤の血中濃度が どのくらいになるか、また過去に投与された薬剤 や併用薬との関連性についても知っておく必要がある。

 一般に、アドレナリン作動薬はアル カリ性溶液中で不活化されるというエビデンスがあるので、 アドレナリン作動薬は静脈(IV)ラインで炭酸水素ナトリウムまたは他のア ルカリ溶剤と混合されるべきではない36,37。 ノルアドレナリンやα-アドレナリン作 動性受容体を活性化する、他のカテコールアミンはもし血管外へ溢出すれば組 織壊死を起こす可能性がある。 その場合、組織壊死と脱落を予防するために、 薬剤が漏れた部位に(into the site of extravasation)できるだ け早く、生理食塩水 10〜15 mLに希釈したフェントラミンの 5〜10 mgを局注 する。

アドレナリン(Epinephrine)

 心停止におけるアドレナリンの使用については第7部(2):「心停止の管理」で述べられている。 アドレナリンは心停止ではないが変力作用や昇圧作用を必要とする患者に も使用できる。 例えば、アトロピンと経皮的ペーシングが奏効しない、またはペーシングが利用 できない(例、院外にいる)場合、アドレナリンは症候性除脈に対して Class IIbとされている。 本薬は血行力学的に不安定または呼吸困難 を伴う、アナフィラキシーの場合にも使用 される。

 除脈または低血圧の治療を目的に塩酸アドレナリンの持続投与を行うには、 1 mg (1:1,000 溶剤の 1 mL)を生理食塩水または 5%ブドウ糖液(D5W )500 mLに加える。 成人の初回投与量は 1μg/minであり、必要な血行動態の反応が 得られるように調節する。それは通常、2〜10μg/min の投与で得られる。 なおこれは非心停止時の(例えば徐脈や低血圧に対する)投与濃度 と投与量であることに注意する。

バソプレシン

 心停止におけるバソプレシンの使用については第7部(2)で述べられている。 アドレナリン同様、バソプレシンを切迫心停止状態(in prearrest and postarrest conditions)で使用してもよい。 バソプレシンは敗血症性ショック(septic shock)または セプシス症候群(sepsis syndrome)のような血管拡張性シ ョックに使用されて来た39,40。 血管拡張性敗血症性ショックの標準治療には抗菌薬と血管内用量負荷(volume expansion)、 血管収縮薬および心筋収縮力を増やす強心薬をがある。 しかし、ここで一般に使用される強心薬と血管収縮薬では十 分な血管収縮作用が得られないことがある41。 もし従来のアドレナリン作動性血管収縮薬が無効である場合、 バソプレシンの連続投与が有益である可能性がある(Class IIb)42

ノルアドレナリン(Norepinephrine)

 ノルアドレナリン(レバルテレノール)は生体内で生じる強力な血管収縮薬であり強心薬である。心拍出量はノルアドレナリンによって増加または減少するが、それは血管抵抗や左室機能、反射(例、頸動脈と大動脈の圧受容体によって調節される反射)に依存する。 ノルアドレナリンは通常、腎臓と腸間膜の血管を収 縮させる。本薬はしかし、セプシスにおいては腎血流と尿量を改善する43,44。 本薬は重症の低血圧(例、収縮期血圧<70mmHg)とドパミンや フェニレフリン(phenylephrine)、メトキサミン(methoxamine)のような やや弱いアドレナリン作動薬に反応しない、全末梢血管抵抗の低い患者の管理に有効だろう。

 ノルアドレナリンは循環血液量減少患者には相対的禁忌である。 本薬は心筋の酸素消費を増やすかも知れないので、 虚血性心疾患の患者に慎重な使用が求められる。 上述したように、血管外に漏れて虚血性壊死と皮膚組織の脱 落を引き起こすことがあり、この場合すばやく治療をする。

 ノルアドレナリンは 16μg/mLのノルアドレナリンまたは 32μg/mL酒石水素酸 ノルアドレナリンの溶液にするために、ノルアドレナリン 4 mgまたは酒石水素酸ノ ルアドレナリン 8 mg(ノルアドレナリン1mgは酒石水素酸ノルアドレナリン 2mgと同等である)を D5Wまたは 5%ブドウ糖液入りの生理食塩水 (生理食塩水単独ではなく)250 mLに加えて投与する。 ノルアドレナリンの初回投与量は 0.5〜 1μg/minであり、反応を見ながら調節する。 本薬はアルカリ性溶液により不活化されることがあるので、同じ静 脈ラインから同時に投与しない。

ドパミン

 塩酸ドパミンはカテコラミン様薬剤でまた ノルアドレナリンの前駆体であり、αおよびβ受容体の両者に作用する。 加えて、この薬剤への特異的受容体(DA1, DA2, ドーパミン性受容体)が ある。生理学的にはドパミンはα、β両受容体を通じて心 臓を刺激する。 生理学的にはドパミンはα、β両受容体を通じて心臓を刺激する。 薬理学的にドパミンは強力なアドレナリン受容体作 動薬であり、強力な末梢ドパミン受容体作動薬であ る。これらの効果は用量 依存性である。

 蘇生中、ドパミンは、特に症状のある徐脈を伴う、あるいは自己心拍再開後の低血圧を治 療するのにしばしば用いられる。 ドブタミンを含む他の薬剤と組み合わせ てドパミンを用いることは蘇生後の低血圧管理時の選択肢の一つである。 もしも充満圧(例えば血管内容量)が 適正化されても低血圧が持続するなら ば、アドレナリンやノルアドレナリンのように変力効果と血管収縮効果のある薬剤 を使用してもよい。効果があれば心拍出量と動脈潅流圧の両者が増加する。低用量 ドパミンは腎血流維持や腎機能改善にしばしば推奨されてきたが、最近のデータではそのような 治療による利益が示されていない。

 ドパミンの通常の用量は 2〜20μg/kg/minである。 それ以上の用量では、全てのアドレナリン性血管収縮薬のように、内臓環流での副作用を伴う可能性がある。 10〜20μg/kg/minよりも多い投与量では体血 管と内臓血管の収縮を伴うことがある。高用量のドーパミンは全てのアドレナリン性血管収縮薬 と同様、患者によって内臓灌流を損なう可能性がある(can be associated with adverse effects on splanchnic perfusion)。

ドブタミン

 塩酸ドブタミンは合成カテコラミンであり、重症収縮 性心不全(systolic heart failure)の治療に用いられる強力な陽性変力作用薬である。 ドブタミンは光学異性体が混じるため、複雑な薬理作用を持つ。 (+)異性体は強いβアドレナリン受容体刺激作用を持ち、一方、 (-)異性体は強いα1作働薬である47。 (+)異性体の血管拡張性β2アドレナリ ン性効果は血管収縮性αアドレナリン性効果と拮抗し体血管抵抗を変化 させないことが多いが、減少させることもある。ドブタミンの利点は、左 室充満圧の減少に関連している。直接の陽性変力作用に加えて、ドブタミ ンは反射性末梢血管拡張(圧受容体を介する)による左室後負荷の減少を おこすことにより一回拍出量を増加させる。それゆえ、心拍出量の増加に もかかわらず血圧は変化しないか、または低下する。ドブタミンの使用に 際しては、特定の投与量を指標とするよりも目標とする血行動態が得られ るように用量を調節するべきである。

 通常の使用量は 2〜20μg/kg/minである。しかし、重症例(critically ill patients)において、 個々の反応は様々である。高齢者ではドブタミンへの反応性が著しく 減弱しているかも知れない。 20μg/kg/min以上の投与量では10%以上の心拍数の増加が 心筋虚血を引き起こしたり、それを悪化させたりするかもしれない。40μg/kg/min 以上の高用量での使用例があるが、頻脈や低血圧などの副作用を 著しく増加させる可能性がある。

強心性血管拡張薬(Inamrinone と Milrinone)

 イナムリノン(以前のアムリノン)とミルリノンはホスホジエステラーゼ III阻害薬であり、陽性変力作用と血管拡張作用をもつ。ホスホジエステラーゼIII阻害薬 はしばしばカテコラミンとともに、カテコラミン単独治療に反応しない重症心不全や心原 性ショック、様々なショックに対して用いられる。適切に使用するには血行動態のモニタリングが必要である。 これらの薬剤の使用は心拍出量を制限するような狭窄性弁膜症を持つ患者には禁忌である。

 イナムリノンは 0.75 mg/kgを初期量として10〜15分かけて(左 室不全がなければ 2〜3分でもよい)投与し、続いて臨床効果を見ながら 5〜15μg/kg/minを投与する。30分以内に追加の急速投与を 1回してもよい。

 ミルリノンはイナムリノンに比較して半減期が短く、血小板減少症を起 こしにくいため近年よく使用される48,49。ミルリノンは半減期が 1.5〜2時 間で腎より排泄される。そのため初期投与なしで一定の血中濃度を得るた めには 4.5〜6時間時間を必要とする。ミルリノンの初期 静注量(50μg/kgを10分かけて)を緩徐に投与した後に、0.375〜0.75 μg/kg/minで 2〜3日間持続投与する。腎不全症例においては用量を減 少させるべきである。副作用には悪心、嘔吐、低血圧がある。

カルシウム(Calcium)

 カルシウムイオンは心筋収縮や電気刺激発生に重要な役割を果たしている が、心停止状態での後ろ向きおよび前向き研究においてはカルシウム投与 の有用性は示されていない50,51。それどころか、カルシウム投与による血清 カルシウム高値は有害となる可能性がある。このため、心停止時の循環補助 のためにカルシウムをルーチン 投与してはならない。 高カリウム血症や低イオン化カルシウム血症(例えば頻回の輸血後)、カ ルシウムチャネルブロッカー中毒などの場合には、カルシウムの使用は有 益であろう52。理想的にはイオン化カルシウム濃度を測定すべきである。 なぜなら重症患者では、総カルシウム濃度とイオン化カルシウム濃度は良い 相関関係にないからである53,54

 必要なときは、10%塩化カルシウム溶液(100 mg/mL)を、塩類として 8〜16 mg/kg (通常 5〜10 mL)投与してよい。必要に応じて繰り返し投与 する(10%溶液は 1.36 mEq/mlのカルシウムイオンまたは 27.2 mg/mlのカル シウムを含む)。

ジギタリス(Digitalis)

 緊急心血管処置におけるジギタリスの陽性変力作用薬剤としての役割は 限られている。ジギタリスは心房粗動や心房細動の患者 において、房室結節伝導を遅延させることにより心拍数を減少させ得る。 中毒域と治療域が近く、特に低カリウム血症があるときにはその傾向が顕著である。 ジギタリス中毒では、重症心室不整脈をきたし、心停止に至る恐れも ある。重症の中毒の治療として、ジゴキシン特異抗体 (Digibind, Digitalis Antidote BM)を使用することができる。

ニトログリセリン(Nitroglycerin)

 硝酸塩は血管平滑筋を弛緩させる作用を持つことから使用される。ニトログリセ リンは、虚血性の痛みや不快感が疑われるときの初期治療薬として第一選択である (第8部:「急性冠症候群の患者の安定化」を参照)。

 静注ニトログリセリンは、さまざまな原因で生じるうっ血性心不全治療 の有効な補助治療薬である55。特に容量負荷と関連した高血圧性緊急症に おいて有効であろう。ニトログリセリンの作用機序は、特に静脈容量系 における、一酸化窒素の局所血管内皮での産生である。ニトログリセリンは血管 内容量の増加した患者において、もっとも有効な薬剤である。循環血液量 の減少はニトログリセリンの血行動態への有効性を鈍らせ、低血圧の危険 性を高める。この、硝酸塩が引き起こした低血圧は輸液負荷によ く反応する。静注ニトログリセリンによる他の起こりうる合併症には、頻脈、 奇異性徐脈、肺換気血流不均衡が原因の低酸素血症、頭痛がある。ニトロ グリセリンは徐脈や極端な頻脈のときや、またホスホジエステラーゼ阻害 薬が勃起障害の治療として 24〜48時間以内に使用された場合には避けるべ きである。

 ニトログリセリンは(5%ブドウ糖または生理食塩水250mlにニトログリセ リン50または100mgを溶かし)10〜20μg/minで持続注入し、望ましい血 行動態または臨床反応が生じるまで、5〜10分ごとに 5〜10μg/min ずつ増 量する。低用量(30〜40μg/min)では優位に静脈拡張作用を有し、高用量 (150μg/min以上)では細動脈拡張作用も生じる。ニトログリセリンの連 続投与では(24時間を超える場合)耐性が生じる56

ニトロプルシドナトリウム(Sodium Nitroprusside)

 ニトロプルシドナトリウムは、強力かつ即効性で、直接の末梢血管拡張作用 を持ち、重症心不全や高血圧緊急症に有効である57。その直接の静脈拡張作 用は、静脈コンプライアンスを増加させ、右室および左室充満圧を低下させる。 静脈潅流(前負荷)への最終的な効果(the net effect)は、血管内容量に依存する。 多くの患者で、ニトロプルシドナトリウムの後負荷減少作用のため心拍出 量が増加する。このことは静脈還流量も増加することを意味する。このと き静脈潅流量増加はより低い拡張末期圧で起こるため肺うっ血の改善、左室 用量と圧の低下につながる。細動脈弛緩は末梢動脈抵抗(後負荷)を減らし、その結果、 左室容量と壁負荷の低下を伴って収縮期の駆出が促進され、 また心筋酸素消費量が抑えられる。 循環血液量が低下している場合、ニトロプルシドナトリウム は反射性頻脈を伴う低血圧をおこす可能性がある。ニトロプルシドを使った治療中は侵襲的な血行動態モニタリ ングが有用である。

 ニトロプルシドナトリウムは、肺高血圧の治療に有効であるかもしれな いが、肺疾患(肺炎、成人呼吸促迫症候群など)の患者における低酸素性 肺血管収縮を抑制する。このため、肺内シャントを増悪させ、低酸素血症 の悪化を招く可能性がある。ニトロプルシドナトリウムの主要な合併症は 低血圧である。また、患者が頭痛、悪心嘔吐、腹痛を訴えることもある。

 ニトロプルシドナトリウムは、酵素を介さない方法で急速にシアン 化物に代謝される。そして肝臓と腎臓で解毒され、チオシア ン酸塩に代謝される。シアン化合物はまたビタミンB12と複合体を作るこ とによっても代謝される58。チオシアン酸塩は腎で排泄される。肝または 腎機能障害患者や 3μg/kg/min以上の投与量で72時間以上投与された患者で は、シアン化合物やチオシアン酸塩の蓄積が生じる可能性がある。そのた めシアン化合物やチオシアン酸塩による中毒の徴候、例えば代謝性アシド ーシスなどをモニタリングすべきである59。チオシアン酸塩濃度が 12mg/dl を越えると、中毒症状として錯乱、反射亢進、最悪の場合全身痙攣を呈す る。シアン化合物やチオシアン酸塩濃度上昇の治療は、即時の投与中止で ある。シアン化合物中毒の徴候や症状を呈しているならば、亜硝酸ナトリ ウムやチオ硫酸ナトリウムを投与するべきである。

 ニトロプルシドナトリウム溶液は 5%ブドウ糖または生食 250mlに 50mgまたは100mgを加えて作る。ニトロプルシド ナトリウムは光にあたると劣化するため、その溶液とチューブを不透明な もので覆うべきである。ニトロプルシドナトリウムの推奨投与速度は 0.1〜5μg/kg/minである。しかし さらに多量(10 μg/kg/min まで)が必要となることもある。

静脈内輸液投与

 治療の指針となるようなエビデンスはあまり存在しない。 心停止中の輸液負荷は大動脈圧よりも右房圧の上昇をきたし60、 その結果、冠環流圧(CPP)が低下してしまうかも知れない。 犬を用いた研究において、蘇生中のエピネフリンによるCPPの増加は、静脈 内または大動脈内輸液投与により増強されないことが示されている61

 もし心停止が過度の循環血液量減少により生じているならば、循環血液 量減少性心停止を疑うべきである。このような患者では、無脈性電気活動 (PEA)に進行する循環性ショックを呈している。このような場合、 血管内容量を速やかに回復させるべき である。輸液負荷による PEA心停止の治療に関するヒトでの研究は存 在せず、動物での実験結果から得られたエビデンス60-63に基づいてい る。心室細動を呈している患者に対するルーチンの静脈内輸液については、現在のところ 支持も拒否もされていない(Class Intermediate)。

 動物実験では、高張食塩水は生理食塩水と比較して心室細動からの救命 率を改善することが示唆されている64,65。しかし高張食塩水が推奨される 以前に、ヒトでの研究が行なわれる必要がある。心 停止時に輸液を行なう際には、低血糖の証拠がない限り、ブドウ糖を含んだ 輸液を避けるべきである。

炭酸水素ナトリウム

 心停止時および蘇生中には、血流途絶(心停止時)または 血流減少(蘇生中)の結果、組織のアシドーシスやそれに引き続く 酸血症がどんどん進行する(are dynamic processes resulting from)。 これらの過程は心停止の持続時間、血流量、心蘇生中 の動脈血酸素含量などの影響を受ける。 酸素を用いた適切な換気による酸素含量の回復、良好な胸骨 圧迫による組織還流と心拍出量の保持、そして(その結果としての) 速やかな心拍再開は心停止中の酸塩基平衡回復のための頼みの綱であ る。

 心停止中の緩衝液を用いた治療を支持するデータはほとんどない。動物 におけるVFの心停止での実験では、除細動の可能性や生存 率を炭酸水素ナトリウム>が改善させるとする根拠は存在 しない。様々な種類の副作用が心停止中の本剤投与と 関連している。(また)本剤は全血管抵抗を低下させる ことによって、冠灌流圧を悪化させる66。 細胞外アルカローシスをひきおこし、酸素ヘモグロビン飽和曲線を移動さ せ酸素解離を妨げる可能性がある。また高ナトリウム血 症となり、それゆえ高浸透圧を誘発する。過剰な二酸化炭素を産生し、そ れが心筋細胞や脳細胞へ自在に拡散して逆説的に細胞内アシドーシスをも たらす67。中心静脈のアシドーシスを助長して、同時に投与されたカテコ ラミンを不活化させるかもしれない。

 代謝性アシドーシス、高カリウム血症、三環系抗うつ薬の服用過多など の、いくつかの特別な蘇生の状況においては炭酸水素ナト リウムが有用である(第10部:「特殊な状況における蘇生」を参照)。

 炭酸水素ナトリウムは心停止患者に対する薬剤の初期投与薬とはみなさ れていない。ある特別な状況で本剤が使用される場合、 通常の初期投与量は 1 mEq/kgである。可能ならば、血液ガス分析や血液検査 から重炭酸濃度や塩基欠乏量を求め、その値により補正を行うべきである。 医原性のアルカローシスを避 けるためには、計算による塩基欠乏量を完全に補正しようと してはならない。他の CO2を産生しない緩衝液、Carbicabo, Tham, Tribonateなどでは、CO2産生、高浸透圧、高ナトリウム血症、低血糖、細胞 内アシドーシス、心筋アシドーシス、そして「オーバーシュート」アルカロ -シス("overshoot" alkalosis)などの 副作用を最小限にできる可能性が示されている68-70。しかしそれらの臨床使用例は非常に少なく、転帰についての研究は行 なわれていない。

利尿薬

 フロセミドは強力な利尿剤であり、近位および遠位尿細管やヘンレ脚でのナ トリウムの再吸収を抑制する。フロセミドには血管への直接作用はまったくな いかあってもわずかである。しかし、局所のプロスタグ ランディンの産生を刺激することにより静脈および肺血管抵抗を減少 させる71ので、肺水腫の治療に非常に 有効かも知れない。血管作用は 5分以内に生じるが、利尿作用は遅れる。 しばしば急性腎不全の際に尿量増加を目的として使用されるが、この適応を 支持するデータはない。それどころか死亡率の増加を示唆する報告がある72。 フロセミドの初期投与量は 0.5〜1mg/kgで、緩徐に静注する。

 フロセミドと類似した作用機序と副作用を持つ新しい「ル ープ」利尿薬にトルセミドとブメタニドがある。ループ利尿薬のみの大量 投与によっても反応しない患者では、近位尿細管に作用するサイアザイド系 利尿薬(たとえばクロルサイアザイドまたはメトラゾン)との併用が有用な ことがある。 この併用療法においては、本治療に伴う著しいカリウム欠乏 を避けるために、血漿電解質を定期的に測定しながら厳重に監視する必 要がある。


■まとめ(Summary)

 十分な冠環流圧の維持は蘇生後の生存率と密接に関係している。救助 者は十分な頻度と深さによる胸部圧迫を行い、圧迫ごとに十分に胸郭が元 に戻る様に注意し、過度な呼気吹き込み量を避け、そして心臓マッサージ の中断を最低限にすることで適切な冠環流圧を保つことができる( 第4部:「成人BLS」参照)。呼気 CO2は 心臓胸骨圧迫による心拍出量の有用なモニ ターである。パルスオキシメトリーは心停止中には有用ではない。しかし (自己心拍のある)重症患者においては、酸 素化が適切に行なわれているか確認のためモニターするべきである。心停止か ら神経学的に正常な状態で回復する頻度を上昇させると示された薬剤は存在 しない。心肺蘇生の有効性を実証(monitor)していくため には、よりよい器具(better tools)が必要である。


References

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