愛媛県におけるMC体制の現状3

県立新居浜病院麻酔科 越智元郎(資料制作:2003年10月)


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 ここでは昨年3月、中国四国地方の救急医療関係者がつくる相互研鑽の 集まりである中国四国救友会が実施したアンケートの結果に沿って、お話 をさせていただきます。この調査では 1)救急救命士の特定行為と連絡・指示体制 2)救急救命士の特定行為と事後検証 3)救急救命士の病院実習 などに関して、中国四国地方のすべての消防本部に質問状を送付しました。


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 まず、救急救命士の特定行為に関して、医師の指示を受けることの できる時間帯について聞きました。愛媛、島根を含むほとんどの地域で、 24時間態勢で医師の指示を受けることができる体制でした。しかし一部の 消防本部では医師の指示を受けられるのが平日の日勤帯に限られていまし た。


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 愛媛県では特定行為の指示要請の電話に直接医師が出るのは20%余りに 過ぎませんでした。島根県では40%余りの消防本部が、指示要請の電話 に主に医師が出ると答えました。


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 愛媛県では半数以上の消防本部が特定行為を実施する前に心電図伝送を 実施していました。心電図伝送は「早期除細動」の観点から、重要な時間 のロスとなります。一方、島根県では大部分の消防本部で心電図伝送が不 要となっていました。


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 愛媛県のように特定行為前に心電図伝送を実施している地域では、最初 の除細動は患者を救急車内に収容した後となります。患者の枕元で除細動 を行う場合に比べて、除細動が3、4分は遅れる計算で、心室細動患者の 生存退院率は約30%低下することになります。


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 最初の除細動については脈拍確認や医師の指示要請をはさまずに3回連 続して実施するのが国際ガイドラインにもかなっています。3回連続除細 動については中国四国地方では定着しているように思います。


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 つぎに事後検証体制ですが、昨年4月の段階では指示医師等との事例検 討会が行われていた消防本部は鳥取県を除いて半数以下でした。


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 心肺停止患者に関する国際的な記載様式であるウツタイン様式は島根県 では20%の消防本部で導入されていましたが、愛媛を含むほとんどの地域 では考慮されていませんでした。


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 平成13年のデータですが、市民による一次救命処置の実施率は中四国全 体で28.5%でした。島根県は40.1%で鳥取県と並んで最も高く、愛媛では 23.5%にとどまりました。消防本部や医療機関による心肺蘇生法に関する 市民指導に対しても検証が必要であると思います。


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 市民による心肺蘇生法の実施率のこれまでの推移をみてみますと、中国四 国地方そして全国のデータは平成6年の10%余りから最近では25%以上に上 昇しています。本日ご紹介した平成6年の松山、米子などのデータは10%以 下でしたので、関係者の努力により改善が認められます。ただ、心停止が目 撃された例であっても、心肺蘇生法の実施率は愛媛で35%、中国四国の平均 で40%にとどまっています。目撃例での実施率100%を目標に、一層の市民 教育が必要であると思われます。


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